最適なギア比とは?
何かタイトルから仰々しい感じですが、小難しい計算式とか出しません(というか出せませんw) また、クロスカントリーとかラリーとかハイスピード系だと全然違うと思うので、ここではハードエンデューロ向けに最適なギア比とはなんだろう?という部分を書いてみます。
まず、ハードエンデューロで一番の勝負所といえばやはりヒルクライムだと思います。登れるか登れないかで周回出来るかどうかも決まりますので。
ヒルクライムで重要なのは登り切るだけのスピードが出せるかどうかです。(クラッチワークなどのライダーの技術は抜きにして)助走部分での初速を出す為の加速力も必要ですし、坂に入ってから失速しないが吹け切らないエンジンの回転数が維持できるかどうかも大事です。これらはキチンとスプロケットのギア比が合っていないと上手くいきません。
では、ヒルクライムに最適なギア比を考えるとして、合わせるのはトコトコ登れるようなヒルでは無いですよね。勢いをつけてスピードが無いと登れない急で長いヒルのはずです。
下の図はSL230の各ギアの範囲ですが、バイクに限らずクルマでもそうですが一般的に1速は発進用にギア比が低く、2速との間が3速~以降と比べて開いています。なので、仮に1速でもスピードが出てヒルクライムも登れるようなハイギアードなセッティングだと、2速にした時に加速しづらいし、1~2速の間が離れている為、1.5速くらいのギア比が欲しいな~と感じるはずです。
なので、ハードエンデューロだと2速を基準にギア比を決めて、1速はガレ場でフロントを振ったり、イゴリ用として、ほとんどの場所は2速以上で走るものだと考えてください。
では、2速で合わせるとして一体何丁位が最適なのか?ですが、自分は最低でもF12ならR48、F13ならR52=4.00は無いと厳しいかな思います。KTMで現在F12R50=4.16、SLはF10R42=4.2となっています。(KTMはF12R51=4.25、SLはF10R43=4.3にしました。2速ヒルクライム時の回転落ちせずスピードが適度であり、1速が遅過ぎず使えるギア比になりました)
単にローギアードにすれば良いという訳でもなく、その分スピードが出ない&スピードに対して回転のトルクが強すぎて掻いてしまって登らない問題が起きますので、ヒルクライムを登れるだけのスピードが出せて、かつ回転落ちせず、半クラを当ててもうひと伸び出来るだけの回転数が維持できるギア比かどうかがポイントです。ライダーのスキルがあれば少しハイギアードの方がスピードが乗せられる為より登れるかと思います。
そういう意味でも、3速で登るという選択の為にF12R52=4.33とか思いっきりローギアードにする選択肢もあります。そうする事で2~3速の間は1~2速程離れていない為、ヒルクライムの状況に合わせて2速か3速かを選べるのがメリット。デメリットはシフトチェンジが忙しくなるのと、トップスピードが下がります。ハードエンデューロだとそこまでトップスピードで問題になる事が無いので、こういうセッティングもあります。
ただ、半クラで溜めて登れないとか、スピードが速すぎるとコントロール出来ないとかいうライダーなら特にですが、助走や失速した時にも付いてくるだけの加速や、回転数とスピードのバランスが大事かと。なので、人によってギア比の最適解も違います。
スプロケット選びですが、SL230のF10はトライアル用の流用なので特殊ですが、基本的なオフロードバイクだとフロントスプロケットは12、13、14丁辺りが通常のラインナップです(バイクによっては15、16辺りもありますがオンロードツーリング向けですね)リアスプロケットは39~52位がラインナップでしょうか?
それをラインナップがある中で4.00よりローギアードになる組み合わせは以下の通りです。
F12ならR48=4.00、R49=4.08、R50=4.16、R51=4.25、R52=4.33
F13ならR52=4.00
F14ならR56…って通常は無いですねw
なので、必然的にF12でR48~R52の間で探す感じになります。数字で見ると小数点以下の小さな違いに見えますが、実際はリア2丁も違えば大幅な違いを感じるはずです。
普段ツーリングでも使いたいしローギア過ぎるとなぁ…って人もツーリングの時だけフロントを変えれば対応できます。ちなみにSL230の純正はF13R40=3.07ですが非力過ぎてまともに加速しませんw 今のF10R42=4.2でも6速全開で80kmは出るので一般道の移動なら問題ないです。まあ、ツーリングとかでも使うならF12R50=4.16⇔F13R50=3.84が良いのでは無いかと。F12R50⇔F14R50の2丁アップだと、もしかしたらチェーンの長さ的に厳しいかもしれませんが。
スプロケットもセッティングパーツだと思いますので、既に大きなリアスプロケットに交換している人でも、どうもヒルクライムで上手くいかない、ウッズとかでもクラッチワークが疲れるという人は試しに1、2丁変えてみるのをお勧めします。
最後に注意として、小さなフロントスプロケットだとスイングアームの所のスライダーが減り易くなりますし、大きなリアスプロケットだと岩にヒットし易くなりますので、トレールの純正のままから変更する人は気に留めておいてください。