昨日よりも
昔からゲームが好きだ。
今はスプラトゥーン、RPGやパズルゲームなども好きだったが、その中でも一番熱心に遊んだのはマリオカートだ。
一人暮らしをしていた頃で、その当時のハードは確かスーパーファミコン。
マリオカートの中でも特に私が熱中していたのは、タイムアタックというものだ。
タイムアタックには自分の記録(ゴースト)と戦える機能があり、私は自分の記録を抜くことに夢中になった。
毎朝出勤前に昨日の自分と戦う。それが日課だった。
我ながら何やってたんだ。
そして今。
娘が置いていったSwitchのマリオカートソフトで、私はまたタイムアタックで昨日の自分に勝つことに熱中している。
だが、その当時と違うことが1つある。それは、最大のライバルは昨日の自分ではないということ。
息子だ…。
高校生、ゲームの反射神経は私は足元にも及ばない息子が、私のライバルなのだ。
全く勝てる気がしない…
そう思いながらも、あの頃培った技術を思い出しながら総動員し、私は今日、とうとう息子のゴーストに勝ったのだ!
喜ぶ私に一言
「1箇所明らかにミスしてるんだけど、まさか負けるとは思わなかったよ」
ふっ…何を言っても所詮負け惜しみよ。
毎日昨日の自分と、そして息子のゴーストと戦う私に感化され、息子もお気に入りのコースで自分のゴーストと戦うようになった。
そんな息子が昨日、突然悟った。
「自分に勝つっていいね。昨日より今日のが成長したって実感出来る。俺、まだまだこれからできるようになること、分かるようになることいっぱいだわ。なんか未来に期待が持てる」
と。
マイナス思考で、先のことを考えるのが苦手な息子にいつも伝えていた
『昨日よりましな今日の自分を目指せばいいんだよ』
が、こんな形で伝わるなんて!
明日もきっと息子はゲーム三昧だ。
だけどきっとそれが無駄なことではない。
昔の私のそれが無駄ではなかったように。