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Photo by
mitsuki_haruta
だいじょばない
20代前半に勤めていた職場で出会った友達の話。
彼女は、順番でまわってくるお茶当番の日、嫌いな男性の同僚のコーヒーに塩を入れるような、気の強い子だった。
塩コーヒー あとで別の友人と飲んでみたけど恐ろしくまずく、それを知らずに飲まされた同僚には同情したな。
そんな彼女とは、休日も数人で遊びに行ったり、お酒を飲みに行ったりする仲だった。気が強いところもそれはそれで面白かった。
ある日、午後から調子が悪そうだけど、我慢して働いていた彼女。
どうやら重めの生理痛だったよう。今とは違い、その頃はなかなか生理だと言って休ませてもらうのがはばかられた時代。
終業時刻になり、辛そうながらも帰り支度をしていた彼女に、私と友人は声をかけた。
「大丈夫?」
友人は答えた。
「だいじょばない!!!」
?
だいじょばない???
固まる我々をよそに、彼女は足早に帰っていった。
大丈夫?と声をかけたら、大丈夫とかえってくると、何となく思っていた。
でも違った。
だいじょばない。
衝撃だった。
あの頃は。
今はこう思う。彼女はなんて正直なんだろう。
確かに心配はしていた。ずっと痛そうにしていたし、我慢しているもの見ていたし。
大体そういうときって、「大丈夫?」って声かけるものだ。そう思っていた。
でも大丈夫なわけないよね。
そしてきっと、私はあの時大丈夫って言ってほしかったんだと思う。
自分が安心したかったから。
本当に相手を心配しているなら、大丈夫と言わせるのは、なんか違うのかも。大丈夫じゃない に寄り添える人に、あの頃よりも近づけていたらいいな。