技適未取得機器を用いた実験等の特例制度の申請に九州総合通信局に行った話。
令和元年11月20日、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」がいよいよ施行されました。
「え?なにソレ?」って思う方が大半だと思うのです。「え、何ソレ、美味しいの?」と7歳の次男にも言われました。
(申請方法だけ知りたい人は下の方にある申請方法からご覧ください。)
電波のルール
電波というのは見えないものですが、きちんとしたルールがあって、それに基づいて使用されています。
日頃私たちが使っているスマホも通信するのに電波を出していますが、スマホを使うのに免許はいりません。それは、使用する私たちが無免許でも使える電波帯域と通信規格と出力を使った通信だからです。アマチュア無線も随分下火になっているし、そもそも電波を出すのに認定や免許がいると知らない方も多いのかもしれませんね。
日本で販売されているスマホやパソコンなどの通信機器は、きちんと検査を受けていて、いわゆる「技適」と呼ばれる日本独自の認定を通っています。技適済み通信機器は違法電波をだしていません!というお墨付きをもらっているので、この認定が通っていないと基本的には日本国内で使うことができません。(詳しくは電波利用ルールのページを貼っておくのでご覧ください。)
違法電波の懸念と技術格差
違法電波を取り締まらないとどうなるか・・・例えば人命を救う為の通信が違法無線によって妨害されたり・・・ということも考えられます。なので無線通信は何でもオープンにはできないと思います。そこはきちんと守りつつ、問題ないと思われるものについては緩和される方がよいと思うのです。
あまり問題がないのに、「技適の壁」によって、日本では使えない通信機器があることで、海外との技術格差がもっと広がるのではという危機感。
特に新しい技術、例えばXR界隈などで、海外では販売されている無線を使う製品で、きちんとした海外の無線規格の認証がおりているのに、いわゆる「技適」を取得していないがために、購入しても電波暗室(電波が外には漏れない部屋)でしか使えないということが実際に何度もありました。
ただ、ここで使えなくても仕方がないなと思うケースもあって、それは日本での使用目的と、諸外国の使用目的が違う電波帯域があり、それは日本では使ったらダメだなって思うものがあります。(詳しくは周波数割当てのページを貼っておくのでご覧ください。)
特例制度について
そこをきちんと考慮しつつ、180日間、技適未取得な機器をつかえるようにした法律が、この『技適未取得機器を用いた実験等の特例制度』なんです!
前置きが長かったですね。まだまだ言いたいことが沢山あるけど、もっと長くなりそうなのでこのあたりで前置きは終わりです。どうです??なんか良さそうな制度だって思いませんか?
この「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」のページに飛ぶと、この制度を適用できる機器や法令について詳しく書いあります。ぜひご確認ください。
施行前夜
特例制度の法案が通り、実際に施行されるのは来年春だと私は思っていましたが、突然「11月20日に施行される」という発表がありました。
書類を書いて住所に割り当てられている総合通信局に提出すれば即日使えると聞いて、もうすぐ日本版が発売になるけれど、まだ使えないRaspberryPi4を購入して、使えるようにしたい!!ってう気持ちがムクムクと湧いてきました。
もうこうなると、「やらないより絶対にやる派」の私は、その日朝から展示のお仕事がありましたが、問題ないように前日に用意を済ませ、新幹線のチケットを取りました。
施行当日
たまたま熊本に到着する時間が8時だったので、あずさ2号の歌詞を思い出して、こんなツイートをついしてしまいました。(自分の気持ちをうまく替え歌で表現できて自己満乙!)
あ・・・・「の」が抜けている。「まぶしいひとつの青春」ですね。
そう。近日中に日本版が発売されるとわかっていました。実際RaspberryPi4は11月26日に日本版が発売されるそうです!でも、申請しなければ、先走って買ったRaspberryP4は使えないのです。
施行されたら利用しそうなIoT主婦枠でこの法案施行に関する意見交換会にも出席していましたので、これは期待にこたえねば!っていうのもあり、遠足前に眠れない小学生のように、ドキドキワクワクで眠れず、いつもより早い時間からお弁当や朝ごはんを作った後に、いつもとは違って家族の誰よりも早く家を出ました!
九州総合通信局へ
熊本駅から歩いて5分ぐらいのところの合同庁舎の11階が、申請の受付場所です。(住所:熊本市西区春日2-10-1)
1階の受付で技適未取得の申請にきましたと言ったら、カードを渡してくれて、名前や所属や電話番号などを書いて、カードをかざしてゲートを通り、エレベーターで11階へ。
8時半から九州総合通信局が始まるので、8時半からだと思っていましたが、施行は9時半からだと聞いてちょっとショック!帰りの新幹線に間に合わない!
ネットから予約してた新幹線のチケット、帰りの分も事前にきっぷに変えてもらっていたので、ネットからの変更ができず、一旦熊本駅に戻りました。
その後、9時半ちょっと過ぎにサイトがオープンしましたが、一旦ページが消されて書類が見られない状態になり大ピンチ!!
振り替えた新幹線にも間に合わないかも!って思いましたが、九州総合通信局さんのおかげで書類を無事提出でました。そして走ってなんとか新幹線にも乗れて無事仕事にも行けました!皆さま本当にありがとうございました。
申請方法
それでは申請方法を解説します。
まずは、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度をご覧になって、必ず申請しようとしている機器が条件にあうことをご確認ください。
1)届出書の作成に進む
確認が終わったら、ページの最後の方にある
「届出書の作成に進む」をクリックします。
2)確認メールの送信
クリックしたら「確認メールの送信」をクリックして空メールを送ります。
Gmailなど、立ち上がったメールクライアントとは違う方法でメールを送る場合はメールの件名を、
[技適未取得機器実験等特例][メールアドレス確認]
にしてサイトに書いてあるメールアドレスをコピーして■を@に変えて送信してください。
私はここで、件名を空で送ったり、わざわざ[技適未取得機器実験等特例]自分のメールアドレスに変更して送ってしまって失敗しました。
失敗すると、空メールの返信が来ません。成功すると
(技適未取得機器実験等特例)メールアドレス確認通知
という件名のメールが届きます。
そのメールの中にある【届出用URL】をクリックするか、Webブラウザにコピー&ペーストして手続を開始してください。
3)届出書の記入
まずは届出するメールアドレスを入力します。
次に届出者の情報と緊急連絡先を入力します。
私は担当者も自分の名前を書きました。
そして実験等の目的を記入します。ひな形から選べますのでそれを使って記入します。私は「RaspberryPi4とRaspberrPi3の比較実験」と記入しました。
その後、無線設備の規格をチェックする必要があります。なのでご自分の申請する該当規格を調べておくことが必要です。私はRaspberryPi4の規格についてチェックをしました。
次に運用開始の予定期日と無線局ごとの情報を記入します。私は以下のように記入しました。
届出書を作成できたらプリントして、自署または押印と書いてあるところに署名します。
4)郵送
署名まで終わったら、届出する総合通信局に郵送します。私の場合は九州通信管理局です。
5)メール受信
郵送した届出書が各総合通信局で受理されると
(技適未取得機器実験等特例)届出を受け付けました
というメールが届きます。
そのメールには
・届出番号
・開設届出日
・廃止の期限
が書いてあります。廃止期限までに廃止届けを提出しなければならないので、このメールは保存しておいてください。(廃止届けを忘れないように)
以上が申請手順です。
3月には郵送ではなく、ネット完結になるらしいです。
最後に
「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度の申請に九州総合通信局に行った話。」いかがでしたか?
これで気軽にいろいろな機器に挑戦できますね!沢山の方に興味をもってもらって、いろいろな機器を試す人がでてきてくれたらいいな!って思っています。
次は、技適申請するのを経験できたらいいなあ・・・。
(おしまい)