Fluxの裏側|#1 アイデアのひきだし
はじめに
みなさまこんにちは。kern typefaces デザイナーの小柴(@ririridesign)です。今回から「Fluxの裏側」と題して、私が制作を担当しているFluxフォントの開発ストーリーをシリーズでお届けしていきます。どうぞよろしくお願いします!
Fluxは、SansからExtra Serifへとスタイルを自在にコントロールできることが特徴のバリアブルフォントです。今回は、このアイデアを着想するきっかけとなったユニークな変化軸を持つフォントの試みをご紹介します。
Universal Sans
スタイルをカスタムできるフォントとして私が初めて認識したのはFamily Typeが提供するUniversal Sansです。ウェブサイト上で好みに合わせサンセリフ体の文字を調整し、そのスタイルを購入することができます。調整できる項目は、太さや字幅はもちろん、大文字に対する小文字の高さや先端の処理など多岐に渡ります。
VARIANZ
Unversal Sansはサンセリフのジャンルの中での微細なカスタムが魅力ですが、より幅広いジャンルを1つのフォントとしてパッケージした試みとして興味深いのがVZWO TypeのVARIANZです。ExpressionとSerifsという2つの軸によるコントロールで、低コントラストのサンセリフ〜分厚いスラブセリフ〜ハイコントラストのセリフ〜カリグラフィー調といった幅広いスタイルを直感的に指定することができます。
Bedow
上で紹介したユーザーによるカスタマイズ/コントロール重視している2つのフォントに対して、Bedowはまた違った意義を持ったフォントです。Bedowはスウェーデンにある同名のデザインスタジオのためにつくられました。知性の合理性・論理性を表現したグロテスクサンセリフのHeadと、手仕事の繊細さや不規則性を表現したHandという2つのスタイルが、バリアブルフォントでシームレスに行き来することで、「優れた仕事とは頭と手が一体となって生み出すものだ」というスタジオの信条を示しています。
こうしたフォントの先行事例に触発され、Fluxの開発はスタートしました。
今回はここまでです。次回もまたお付き合いください!
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