感染症関連知見情報:2024.02.22

皆様

本日のCOVID-19情報を共有します。

本日の論文は、LANCET系列より3編、Nature,BMJより各1編です。

Lancetの1編目は、急性下気道感染症(ALRI: Acute Lower Respiratory Infection)の疫学が、世界中で実施されているCOVID-19に関連した非薬剤介入(NPI: Non Pharmaceutical Infection)の影響を強く受けている事について、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を例に取り上げて
論じたCorrepondenceです。フランスでは、この調査期間中に18歳未満の小児で748,579件のALRIによる入院が発生しましたが、季節調整した準ポアソン回帰モデルを用いて、2020年にはRSV陽性ALRIによる入院の発生率が70.6%(95%CI 27.0, 100.0)減少したと推定されました。
2編目は、COVID-19患者において呼吸器疾患の長期的リスクが増加するかどうかを検討すること目的とした研究です。COVID-19患者が呼吸器疾患を発症するリスクが高く、そのリスクは感染や再感染の重症度とともに高くなる可能性を示唆されました。
3編目は、エビデンスに基づいた意思決定の指針とするために、カナダのNational Collaborating Centre for Methods and Tools in Canadaが継続的に行って来た、COVID-19感染における学校と保育所の役割に関するliving rapid reviewの最終版論文です。感染予防・管理対策が実施されている場合、学校環境における二次感染率は低い状態であり、マスクは感染を減少させる可能性があり、検査から滞在までの方針は強制隔離と比較して感染リスクを増加させない可能性があり、コホーティングとハイブリッド学習は感染にほとんど差がない可能性があり、学校内でのサーベイランス検査の効果は依然として結論が出ていませんでした。

Nature論文は、初期および後期のCOVID-19患者における脳幹、小脳、嗅覚組織のプロテオームおよびトランスクリプトーム・プロファイリングについて考察した論文です。
中枢神経系にSARS-CoV-2ウイルスが存在しないにもかかわらず、局所免疫反応が優勢でした。これらの反応は機能障害を引き起こし、COVID-19患者に観察された神経症状の一因となる可能性があります。

BMJ論文は、BMJ論文は、COVID-19パンデミックにおける重要な労働者の役割を強調し、特に雇用のアウトソーシングと自動化の脅威に直面する中で、彼らの価値と貢献に対する社会の再評価を提唱することを目的としたOpinion論文です。

報道に関しては、「コロナ・インフル・風邪の後、せきが長引く原因とは? ナショナル ジオグラフィック」、「紛争で悪化する感染症 サリム・アブドゥル・カリム氏/カライシャ・アブドゥル・カリム氏 南ア・エイズ研究プログラムセンター所長/同次長」の2編は必読でしょう。

また、日本のメディアはどこも扱っていませんが、麻しんの流行が、米フロリダや世界各地で生じているようです。

高橋謙造

1)論文関連      
LANCET
Evolution of respiratory syncytial virus burden in young children following the COVID-19 pandemic: influence of concomitant changes in testing practices

https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(24)00081-1/fulltext

*急性下気道感染症(ALRI: Acute Lower Respiratory Infection)の疫学が、世界中で実施されているCOVID-19に関連した非薬剤介入(NPI: Non Pharmaceutical Infection)の影響を強く受けている事について、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を例に取り上げて
論じたCorrepondenceです。
Cong博士らは、COVID-19パンデミックの最初の1年間に、5歳未満の小児における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連のALRIが大幅に減少したことを、系統的な解析によって明らかにし、NPI解除後、特に高所得国において、RSV関連ALRIの重要なリバウンドがあったことを示しました。この所見では、小児におけるRSV陽性ALRIの大流行について記述した数ヵ国からの報告も含まれ、パンデミック前の傾向を大きく上回っていた。
Congらの分析はRSV陽性のALRIに限定されていたため、彼らの分析はRSV検査の実施状況に直接依存していたという限界があります。
これらの限界を検討した結果、RSV関連ALRIの推移を分析する上で、RSV検査方法の変化とその影響を調査するために、Congらの研究期間と一致するように、2015年1月から2022年6月までの網羅的な全国サーベイランスシステムに基づいて中断時系列分析を行いました。
フランスでは、この調査期間中に18歳未満の小児で748,579件のALRIによる入院が発生しました。季節調整した準ポアソン回帰モデルを用いて、2020年にはRSV陽性ALRIによる入院の発生率が70.6%(95%CI 27.0, 100.0)減少したと推定されました。
その後、RSV陽性ALRIの発生率は強く回復し、2022年6月まで61.1%(-26.1~148.4)と流行前のトレンドを上回りました。
この所見は、ALRI全体の入院患者数の推移とは異なっており、同じ期間に6.3%(2.5, 10.2)だけ回復しました。さらに、文書化されていないALRIの割合(-20.5%[-39.3,-1.7])が同期間に大きく減少しており、小児ALRIのウイルス検査の重要な増加を示唆していました。今回の所見は、COVID-19パンデミック後に小児ALRIのウイルス検査が大幅に増加したことを示す他国の結果と同様でした。
小児のALRIに対するNPIの正確な中期的効果を確立することは、将来の意思決定の指針として非常に重要です。RSV陽性のALRIに限定して解析すると、検査方法の変化によるバイアスが露呈する可能性があります。特に、COVID-19パンデミック後のRSV検査の増加は、RSV関連ALRIのリバウンドの過大評価につながる可能性があるり、小児のALRIに対するCOVID-19パンデミックの影響を正確に評価するためには、同定された病原体とは無関係にALRI全体を考慮する、あるいはRSV陽性、RSV陰性、未検査のALRIを区別する、より広範な分析がより適切な結果かもしれないとのことです。

Long-term risks of respiratory diseases in patients infected with SARS-CoV-2: a longitudinal, population-based cohort study

https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(24)00079-8/fulltext

*COVID-19患者において呼吸器疾患の長期的リスクが増加するかどうかを検討すること目的とした研究です。SARS-CoV-2感染後の呼吸器疾患のリスクは包括的に理解されていないという課題が本研究の背景にはあります。
この縦断的集団ベースコホート研究では、UK Biobankデータベースを用いて37~73歳の3つの異なるコホートを構築しました;2020年1月30日から2022年10月30日の間に医療記録で診断されたCOVID-19群と、現代対照群と歴史的対照群の2つの対照群であり、それぞれ2022年10月30日と2019年10月30日をカットオフ日としました。
3群すべての追跡期間は2.7年でした(追跡期間の中央値(IQR)は0.8年)。医療記録で診断された呼吸器系の転帰には、一般的な慢性肺疾患(喘息、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(ILD)、肺血管疾患(PVD)、肺がん)が含まれました。データ解析のために、逆確率重み付け(IPTW: inverse probability of treatment weighting)を適用したCox回帰モデルを用いて、ハザード比(HR)とその95%CIを算出しました。
COVID-19群112,311人、平均年齢(±SD)56.2(8.1)歳、現代対照群359,671人、歴史的対照群370,979人。現代の対照群と比較して、SARS-CoV-2感染者は呼吸器疾患の発症リスクが高い状態でした。これには喘息(HR1.49、95%CI1.28-1.74)、気管支拡張症(1.30、1.06-1.61)、COPD(1.59、1.41-1.81)、ILD(1.81、1.38-2.21)、PVD(1.59、1.39-1.82)、肺癌(1.39、1.13-1.71)が含まれました。COVID-19の急性期の重症度が高くなるにつれて、前述の呼吸器系の転帰のリスクは徐々に増加しました。その上、24ヵ月の追跡期間中、喘息と気管支拡張症のリスクが経時的に増加する傾向が観察されました。さらに、0-6ヵ月追跡における肺がんのHRは3.07(CI 1.73-5.44)であり、肺がんとCOVID-19疾患との関連は6-12ヵ月追跡(1.06;0.43-2.64)および12-24ヵ月追跡(1.02;0.45-2.34)で消失しました。SARS-CoV-2に1回感染した患者と比較して、再感染患者は喘息(3.0;1.32-6.84)、COPD(3.07;1.42-6.65)、ILD(3.61;1.11-11.8)、肺癌(3.20;1.59-6.45)のリスクが高くなっていました。喘息(1.31;1.13-1.52)、気管支拡張症(1.53;1.23-1.89)、COPD(1.41;1.24-1.59)、ILD(2.53;2.05-3.13)、PVD(2.30;1.98-2.66)、肺癌(2.23;1.78-2.79)など、対照群として過去のコホートと比較した場合も同様の所見が認められました。
今回の研究は、COVID-19患者が呼吸器疾患を発症するリスクが高く、そのリスクは感染や再感染の重症度とともに高くなる可能性を示唆しています。24ヵ月の追跡期間中でさえ、喘息と気管支拡張症のリスクは増加し続けました。したがって、これらの患者に対して適切な追跡調査戦略を実施することは、長期にわたる呼吸器系の健康問題の可能性を監視・管理する上で極めて重要です。さらに、COVID-19患者における肺癌リスクの増加は、おそらく実施された診断検査と偶発的診断によるものであろうとのことです。

What is the specific role of schools and daycares in COVID-19 transmission? A final report from a living rapid review

https://www.thelancet.com/journals/lanchi/article/PIIS2352-4642(23)00312-7/abstract

*エビデンスに基づいた意思決定の指針とするために、カナダのNational Collaborating Centre for Methods and Tools in Canadaが継続的に行って来た、COVID-19感染における学校と保育所の役割に関するliving rapid review(その時点で、入手しうるエビデンスを用いた迅速なレビューのことでー、エビデンスの追加によって、内容は変わりうる事を前提としています)の最終版論文です。
2022年10月17日まで31の情報源を検索しました。最終版では、学校または保育所でのCOVID-19の伝播、伝播に対する感染予防・制御対策の効果、または地域レベルのCOVID-19率に対する学校または保育所の運営の効果について、2021年1月1日以降のデータを報告した適格な研究を対象としました。迅速なレビューとして、タイトルと抄録のスクリーニングを1人のレビュアーが行い、後のバージョンには人工知能が組み込まれました。全文スクリーニング、データ抽出、批判的評価は1人のレビュアーが行い、2人目のレビュアーがチェックしました。批判的評価にはJohanna Briggs Instituteのツールを用いた。エビデンスの確実性は、Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluationの手法を用いて評価し、結果は叙述的に統合しました。最終的な解釈については、3人の市民パートナーが意見を提供しました。この最終更新版には73の主要研究が含まれており、感染予防・管理対策が実施されている場合、学校環境における二次感染率は低い状態でした(中程度の確実性)。マスクは感染を減少させる可能性があり、検査から滞在までの方針は強制隔離と比較して感染リスクを増加させない可能性があり、コホーティングとハイブリッド学習は感染にほとんど差がない可能性があり(確信度は低い)、学校内でのサーベイランス検査の効果は依然として結論が出ていませんでした(確信度は非常に低い)。
このLivingレビューは、COVID-19における学校と保育所の役割に関する世界的なエビデンスの統合を提供するものであり、将来のパンデミックに役立つ可能性があるとのことです。

Nature
Proteomic and transcriptomic profiling of brainstem, cerebellum and olfactory tissues in early- and late-phase COVID-19

*初期および後期のCOVID-19患者における脳幹、小脳、嗅覚組織のプロテオームおよびトランスクリプトーム・プロファイリングについて考察した論文です。認知障害や疲労などの神経症状は、COVID-19の急性感染期と後期の両方で起こりうる。これらの症状に寄与するメカニズムはよくわかっていません。
COVID-19の様々な段階にある死亡者の脳幹組織の単核トランスクリプトームとプロテオームをプロファイリングしました。急性COVID-19症例では炎症性I型インターフェロン反応が検出され、それは病期後期に消失しました。単核RNA配列決定と空間トランスクリプトミクスを統合し、脳幹における重篤な全身性炎症の反応を局在化さました。
1つは脳神経核に影響を及ぼすもので、もう1つは脳幹全体に拡散的に影響を及ぼすものでした。後者は呼吸器感染のバイスタンダー効果を反映しており、主にオリゴデンドロサイト、ミクログリア、アストロサイトが関与していました。この研究は、局所免疫反応がCOVID-19の神経学的合併症に寄与する機能障害につながる可能性を示唆しています。
中枢神経系にSARS-CoV-2ウイルスが存在しないにもかかわらず、局所免疫反応が優勢でした。これらの反応は機能障害を引き起こし、COVID-19患者に観察された神経症状の一因となる可能性があります。
この結果は、中枢神経系にウイルスが存在しない場合でも、局所免疫反応がCOVID-19患者の機能障害や神経学的合併症を引き起こす上で重要な役割を果たしていることを示唆しています。この研究は、脳幹における免疫反応とCOVID-19患者の神経症状に対するその意味を理解することの重要性を強調しているとのことです。

BMJ
Essential workers during covid-19: how quickly we forget

*COVID-19パンデミックにおける重要な労働者の役割を強調し、特に雇用のアウトソーシングと自動化の脅威に直面する中で、彼らの価値と貢献に対する社会の再評価を提唱することを目的としたOpinion論文です。
COVID-19のパンデミックは、私たちの社会の活動を維持した数え切れないほどの名もなき英雄たちを明らかにしました。医療従事者だけでなく、給食サービスのような重要な役割を担う労働者は、平常を維持し、病院スタッフを支える上で極めて重要な役割を果たしました。ある病院が給食サービスをアウトソーシングするという決定を下したことで、こうした重要なスタッフが解雇されたことは、医療危機の際に重要な役割を果たした不可欠な労働者の価値を見過ごすという懸念すべき傾向を浮き彫りにしています。
ここでは、病院のコーヒーラインを重要な社会的拠点として取り上げ、こうしたサービスが医療スタッフの士気と幸福に果たす重要な役割を説明することで、こうした労働者の重要性を強調しています。特定の仕事がアウトソーシングや自動化の影響を受けないという思い込みに警鐘を鳴らし、他者の苦境に無関心であることの危険性についての歴史的警告との類似性を示しています。
パンデミックの後、雇用の力学は、「偉大な辞職」、「静かな辞職」、「静かな解雇」によって証明されているように、シフトしており、過小評価されていると感じている労働力を反映しています。社会的価値観の再評価を提唱し、必要不可欠な労働者を認識し支援することの重要性を強調しました。パンデミックによって深刻化した医療や物流などの分野における危機的な労働力不足に焦点を当て、必要不可欠な労働者の価値を認め、その役割を維持するための新たな取り組みを呼びかけています。
この包括的なメッセージは、パンデミック時の必須労働者の貢献を忘れないだけでなく、パンデミック後の世界においても、彼らの役割と貢献が評価され、保護されることを確実にするよう呼びかけるものであり、社会の幸福は、すべての労働者の集団的な支援と承認にかかっていることを認識しています。

2) 治療薬、 ワクチン関連       
国内     

海外     

治療薬      

3)診断・検査、サーベイランス関連
変異株     

Long COVID

国内 
コロナ・インフル・風邪の後、せきが長引く原因とは? ナショナル ジオグラフィック
*「呼吸器ウイルスに感染した後の咳は、通常2〜3週間で治る。シロー氏とマクガービー氏は、咳が8週間以上続くようであれば病院に行くべきだと言う。咳のほかに、発熱、息切れ、血の混じった痰、体重の減少などがある場合にはもっと早く受診するほうがよい。
オーストリア、ウィーン医科大学の呼吸器専門医であるウカシュ・アントニエビッチ氏も、呼吸器ウイルスへの感染後2〜3週間咳が出るのは正常だと言う。咳が8週間以上続く場合は「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼ばれるが、そこまで待たずに受診してよい場合もあるという。」

       
コロナ接種証明アプリ、来月終了
https://www.asahi.com/articles/DA3S15868578.html
*政府の新型コロナワクチン「接種証明書」アプリ、3月末で終了 提示機会ほとんどなくなり 
https://www.sankei.com/article/20240221-B2PLCWJQTZIIXPKO7K47SYXEMM/
*接種証明アプリ、来月末終了 コロナワクチン―デジタル庁
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022000582&g=cov
*「デジタル庁は20日、新型コロナワクチンの「接種証明アプリ」を3月末で終了すると発表した。新型コロナウイルスに関連する行動制限などの状況が変わり、「アプリが必要な場面がほとんどない」ためだという。新たに必要が生じた場合には、市区町村が発行する紙の証明書が引き続き利用できるという。」

新型コロナ公費支援、3月末で完全廃止 厚生労働省
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA209L10Q4A220C2000000/
*コロナ公費負担全廃へ 治療薬や入院費補助など―4月から通常診療と同じに
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024022000946&g=cov
*「厚生労働省は新型コロナウイルスの医療費にかかる公費支援を3月末で終了する。新型コロナ治療薬は患者の支払額に上限を設けてきたが、4月からは他の病気と同様に負担割合に応じた支払いを求める。厚労省が近く全国の自治体などに通知を発出する。
コロナ治療薬は高額のため治療1回あたりの患者負担に上限額を設けていた。たとえば窓口負担が1割負担の人は3000円、3割の人は9000円に抑えられていた。重症化リスクがある人を対象にした「パキロビッドパック」は治療1回につき9万9000円かかる。今後は3割負担の人の場合で2万9000円あまりの負担となる。
月1万円の入院医療費の支援や、入院患者を受け入れるために病床を確保した医療機関への支援も終了する。」

海外    
紛争で悪化する感染症 サリム・アブドゥル・カリム氏/カライシャ・アブドゥル・カリム氏 南ア・エイズ研究プログラムセンター所長/同次長 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD07C960X00C24A2000000/
*「感染症が広がるのは、人が大規模に動くときだ。原因は大きく3つある。まず紛争だ。たとえばイスラエルの攻撃を受けたパレスチナ自治区ガザでは、大勢の人たちが住む場所を追われている。2つ目は都市化に伴う、郊外から都市部への人口のシフトだ。そして3つ目は気候変動などに伴う災害による移動だ。いずれの場合も、きれいな水やヘルスサービスへのアクセスに問題が生じる。
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サーベイランスの重要性は我々のエイズ対策の経験からも明らかだ。南アはエイズ感染がもっとも深刻化した国の一つで、政府はウイルスの広がりを把握する仕組みづくりに力を入れた。治療薬に耐性をもつウイルスが現れないか調べるため、ゲノム(全遺伝情報)解析システムの整備に思い切った投資を実施した。データから、どんなウイルスがどう広がったか追跡できるようになった。
コロナが発生するとエイズのゲノム解析能力をコロナにすぐ転用した。毎月、データを精査し、初めて変異型を検出した。当初、間違いかと思ったが世界保健機関(WHO)に報告した。これを機に英国をはじめ世界でデータ解析が進められ、オミクロンが各国に広がっていることがわかった。世界がつながっていると実感した。
エイズは原因ウイルスの特定に約2年かかった。診断法の確立にはさらに時間を要した。コロナではわずか10日ほどでウイルスが特定された。技術が進んで迅速化できた。ただオミクロンの非常に強い感染力から考えると、渡航や入国制限はよくない決定だった。ウイルスはすでにまん延し、制限しても意味はなかった。それなのに相手国に感染拡大の原因があるといわんばかりだった。」   

More than half the world faces high measles risk, WHO says 
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/more-than-half-world-faces-high-measles-risk-who-says-2024-02-20/?fbclid=IwAR3pySewD7yfZOZwweRA2agnaXWV8yor767KPVSfHRrlW74mVyU5JSFccUE
*「 世界保健機関(WHO)は火曜日、緊急の予防措置を講じない限り、年末までに世界の半数以上の国が麻疹(はしか)発生のリスクが高いか非常に高くなると警告しました。
はしかの患者数はほとんどの地域で増加しており、その主な原因はCOVID-19時代に予防可能な病気に対する定期的な予防接種が遅れ、保健システムに負担がかかっていたために予防接種を受けられなかったとのことです。」

Measles outbreak in Florida grows: What to know about virus flare-ups across the US 
https://www.usatoday.com/story/news/health/2024/02/20/florida-measles-outbreak-cases-grow/72669939007/
*「フロリダ州の小学校で発生した麻疹(はしか)集団感染は、予防可能な感染症が増加しているとして保健当局が警告する中、全米のほぼ12州で相次いで発生している感染症の最新事例です。
ブロワード郡の保健局職員は、発疹、発熱、咳を引き起こすことが多く、かつては米国で撲滅されたと考えられていた感染力の強いウイルス感染症である麻疹の少なくとも6人の患者を確認しました。はしかは、子どもや赤ちゃんにとって特に危険で、死に至ることさえあります。」

4)対策関連
国内  
水際対策の「特定検疫」 新千歳、那覇の2空港も 厚労省が追加案 
https://www.asahi.com/articles/ASS2H61TQS2HUTFL00L.html?iref=pc_special_coronavirus_top
*「新たな感染症発生時の水際対策として、厚生労働省は15日、発生国からの航空便の検疫を集中的に行う「特定検疫飛行場」に新千歳、那覇の2空港を追加する案を専門家委員会に示した。政府が今夏までに改定する政府行動計画のガイドラインに盛り込む方向で、今後関係省庁と議論する。」    

海外       

5)社会・経済関連    
「志村さんにコロナうつした」とデマ、2人に計24万円の支払い命令…北新地のママ勝訴 
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240222-OYT1T50132/
*「判決によると、2人は、志村さんがコロナによる肺炎で亡くなった2020年3月、インターネット掲示板に「志村けんにコロナうつしたのまりこママだよ~」などと投稿。藤崎さんは当時、コロナに感染しておらず、志村さんと会ったこともなかったが、ネットでデマが拡散した。中尾彰裁判官は「国民的な人気の芸能人にコロナを感染させて死亡させたかのような印象を与え、精神的苦痛の程度は相当強い」と述べた。」
 


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