COVID-19情報:2023.08.07

皆様

本日のCOVID-19情報を共有します。

本日の論文は、NEJMから1編、LANCET系列から2編です。
NEJM論文は、コロナウイルス2019(COVID-19)のパンデミック時に発症率が増加することが広く報告されている小児1型糖尿病に関する調査結果の論文です。生物学的な関連があることは確かですが、パンデミック前およびパンデミック中の子どもの前向き多国籍コホートにおけるウイルスと1型糖尿病の系統的検査では、COVID-19検査が行われなかった研究とは対照的に、COVID-19が1型糖尿病を誘発することは示されませんでした。
LANCETの1編目は、COVID-19感染のハイリスク外来患者において、エンドセリン受容体遮断薬としてのボセンタンの病勢進行に対する効果を評価した研究です。ボセンタンの早期投与はCOVID-19の高リスク外来患者における疾患の進行と血栓塞栓性イベントを予防する可能性があるとのことです。
2編目は、SARS-CoV-2感染の急性後遺症(PASC: Post-acute sequela of SARS-CoV-2 infection)においてインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ-2(IDO2: indoleamine 2,3-dioxygenase-2)が発現し活性を示すかどうか、また病態生理と相関する可能性があるかどうかを検討した探索的観察研究です。SARS-CoV-2感染はIDO2発現を持続的に誘発し、これはAHRアンタゴニストによって停止させることができました。特異的なキヌレニン異化物は、SARS-CoV-2が誘発する症状や病理に関係している可能性があるとのことです。

本日の報道関連での必読はなんといっても、「新型コロナ戦略:ワクチン接種から「定点把握」とサーベイランスまで」です。渋谷健司先生が率いる東京財団政策研究所の企画です。日本のサーベイランスの第一人者 谷口清洲先生(国立三重病院院長)と、東日本大震災直後から、福島を拠点に住民の健康問題に取り組んで来た坪倉正治先生(福島県立医大教授)の対談です。非常に示唆に富む発言が散りばめられていて、私は、情報を少しでも取りこぼさないように、メモをしながら読み込んでしまいました。
先日来、注目を集めつつある新変異株としてのEG.5が、韓国でも発見されたそうです。感染力は強いようですが、ウイルス毒性からみると、オミクロン系統の子孫であるということに変わりはないようです。
また、NY Timesの記事、”Amid Signs of a Covid Uptick, Researchers Brace for the ‘New Normal’”も、米国の冬に向けた状況を垣間見ることができるため、要点のみをまとめました。

高橋謙造

1)論文関連      
NEJM
SARS-CoV-2 — No Increased Islet Autoimmunity or Type 1 Diabetes in Teens

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2216477?query=featured_coronavirus

*コロナウイルス2019(COVID-19)のパンデミック時に発症率が増加することが広く報告されている小児1型糖尿病に関する調査結果の論文です。
米国、スウェーデン、フィンランド、ドイツの9~15歳の子ども4586人を対象とした研究で、子どもたちは2020年1月(プレパンデミック)から2021年12月(パンデミック)まで追跡され、膵島自己抗体がある場合は3カ月ごとに1型糖尿病の検査を受け(440人)、ない場合は6カ月ごとに検査を受けました(4146人)。子どもたちは、追跡調査のたびに、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)のヌクレオカプシド(感染)抗体とスパイク(ワクチン接種)抗体の検査を受けました。
4586人の小児のうち、705人(15.4%)がSARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体陽性:膵島自己抗体のない子ども4146人のうち623人(15.0%;95%信頼区間[CI]、13.9~16.1)、膵島自己抗体のある子ども440人のうち82人(18.6%;95%CI、15.0~22.3)でした。膵島自己抗体のない子ども4146人のうち、膵島自己抗体の陽性が持続的に確認されるセロコンバージョンが起こったのは40人(1.0%;95%CI、0.7~1.3)でした。この40人の子どものうち5人だけがヌクレオカプシド抗体を有していましたが、これはセロコンバージョン後に出現したものでした。残りの35人の子どもは、ヌクレオカプシド抗体が陽性になることはありませんでした。したがって、膵島自己抗体のない子どもでSARS-CoV-2感染に罹患した子ども(623人中0人)ではセロコンバージョンが起こっていませんでした;膵島自己抗体のない子どもでSARS-CoV-2感染に罹患していない子ども(3523人中40人[1.1%;95%CI、0.8~1.5])でのみセロコンバージョンが起こりました。
24ヵ月の追跡期間中に1型糖尿病の診断を受けた子どもは合計45人でした。5人の子どもは、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体が陽性となる前に診断を受けました。1人の子どもはSARS-CoV-2感染の検出後に1型糖尿病の診断を受けました。残りの39人の1型糖尿病の子どもは、ヌクレオカプシド抗体が陽性となることはありませんでした: 30人はワクチン未接種、2人は1型糖尿病の診断前にワクチン接種、4人は診断後にワクチン接種、3人は未検査でした。研究期間内の最後の検体がCOVID-19または膵島自己抗体陽性であった場合、研究期間後に得られた検体を含めても、膵島自己抗体が持続陽性にセロコンバージョンした子どもの数がSARS-CoV-2感染者より多いことを示すエビデンスはありませんでした。1型糖尿病と診断された子どもの数は、SARS-CoV-2感染の有無で差はありませんでした。すべての子どもは、膵島自己抗体の状態によって、2年間で4回または8回受診しました。
生物学的な関連があることは確かですが、パンデミック前およびパンデミック中の子どもの前向き多国籍コホートにおけるウイルスと1型糖尿病の系統的検査では、COVID-19検査が行われなかった研究とは対照的に、COVID-19が1型糖尿病を誘発することは示されませんでした。これらの所見は、1型糖尿病の遺伝的リスクが高い子どもたちの狭い年齢範囲を反映しているため、いくらか緩和されなければなりません。より長期間の追跡調査により、さらなる知見が得られるかもしれないとのことです。

LANCET
Bosentan for high-risk outpatients with COVID-19 infection: a randomized, double blind, placebo-controlled trial

https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(23)00294-8/fulltext

*COVID-19感染のハイリスク外来患者において、エンドセリン受容体遮断薬としてのボセンタンの病勢進行に対する効果を評価した研究です。背景として、COVID-19では、エンドセリン-1の過剰分泌により内皮が活性化され、損傷を受けると考えられています。
2021年12月15日から2022年5月15日まで、高リスクの外来患者を、登録から30日間、ボセンタン62.5mgまたはプラセボを1日2回投与する群に無作為に割り付けました。両群とも標準的な内科的治療も受けました。試験開始30日目に、患者は無症候性血栓塞栓イベントを検出するために下肢の完全ドップラー超音波検査を受けました。この試験の主要アウトカムは最初の15日以内の入院または何らかの原因による死亡でした。副次的アウトカムは、無作為化後30日以内の血栓塞栓イベント、無通院日数、およびあらゆる原因による死亡でした。
結果ですが、両群の基本的特徴は類似していました。主要転帰はボセンタン群129例中3例(2.3%)に発生したのに対し、プラセボ群130例中15例(11.5%)に発生しました[リスク差:-9.2%(95%CI:-15.3~-3.1)、P = 0.006]。無入院日数の中央値はボセンタン群で有意に高く(P = 0.004)、死亡は合計3例で、すべて対照群でした。ボセンタンはプラセボと比較して有意ではない死亡率の低下と関連していました(P = 0.24)。血栓塞栓イベントは無作為化後30日以内にボセンタン群97例中1例(1%)に発生したのに対し、プラセボ群104例中9例(8.7%)に発生していました[リスク差:-8.3%(95%CI:-14.4〜-2.2)、P = 0.008]。
ボセンタンの早期投与はCOVID-19の高リスク外来患者における疾患の進行と血栓塞栓性イベントを予防する可能性があるとのことです。

Prolonged indoleamine 2,3-dioxygenase-2 activity and associated cellular stress in post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection

https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(23)00294-3/fulltext

*SARS-CoV-2感染の急性後遺症(PASC: Post-acute sequela of SARS-CoV-2 infection)においてインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ-2(IDO2: indoleamine 2,3-dioxygenase-2)が発現し活性を示すかどうか、また病態生理と相関する可能性があるかどうかを検討した探索的観察研究です。SARS-CoV-2感染の急性後遺症(PASC)には、疲労、労作後倦怠感、認知障害が含まれ、致死性/重症COVID-19では、トリプトファン異化酵素であるIDO2が豊富に発現していることが研究の背景にあります。
典型的な特徴をもつPASC患者とPASCを発症していないSARS-CoV-2感染者から血漿または血清、末梢血単核球(PBMC: peripheral blood mononuclear cells)を得て、トリプトファンとその分解産物をUPLC-MS/MSで評価しました。別のPASCコホートのPBMCにおいて、IDO2、IDO1、AHR、キヌレニン代謝産物、オートファジー、アポトーシスの免疫組織化学(IHC: Immunohistochemistry)により、IDO2活性、その潜在的な結果、およびIDO2発現におけるアリール炭化水素受容体(AHR)の関与を決定しました。これらのPBMCは、メタボローム解析と呼吸測定によるミトコンドリア機能の解析も行いました。また、2人のPASC患者の剖検脳のIHCも行いました。
IDO2は、SARS-CoV-2感染後長い間、脳組織と同様にPASC患者のPBMCにおいても発現し、活性化していました。これはオートファジーと並行しており、血液細胞ではミトコンドリア機能の低下、アミノ酸とクレブスサイクル関連化合物の細胞内レベルの低下によっていました。IDO2の発現と活性はSARS-CoV-2感染によって誘発されますが、SARS-CoV-2に誘発される病態の重症度は、生成される特異的なキヌレニン代謝産物に関連しているようでした。生体外では、IDO2の発現とオートファジーはAHRアンタゴニストによって停止させることができました。
SARS-CoV-2感染はIDO2発現を持続的に誘発し、これはAHRアンタゴニストによって停止させることができました。特異的なキヌレニン異化物は、SARS-CoV-2が誘発する症状や病理に関係している可能性があるとのことです。

2) 治療薬、 ワクチン関連       
国内     
コロナワクチンの秋接種、9月20日開始 XBB対応1価ワクチン - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20230807/k00/00m/040/134000c
*コロナワクチン追加接種は9月20日から 全世代で「XBB」対応へ
https://www.asahi.com/articles/ASR874FDRR87UTFL003.html
*「接種可能な全ての年代を対象とする新型コロナウイルスワクチンの秋接種を巡り、厚生労働省は6日までに、現在流行の主流となっているオミクロン株派生型「XBB」に対応した1価ワクチンを使い9月20日から始めると、都道府県などに周知した。」

海外     
モデルナ、23年コロナワクチン売上最大40億ドルも 商業販売移行で
https://jp.reuters.com/article/moderna-results-idJPKBN2ZE28O
*「今年の政府契約からの売上高は40億ドルの見込み。従来50億ドルとしてきたが、10億ドル分は来年に持ち越された。
モデルナとライバルのファイザーは現在、新型コロナのオミクロン株派生型「XBB.1.5」対応ワクチンを政府契約時よりも大幅に高い価格で、秋の接種向けに投入することを目指している。秋の接種期間にモデルナが想定している米国の需要は5000万-1億回分だ。
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モデルナは新型コロナワクチン売上高の落ち込みを穴埋めするため、同ワクチンと同じメッセンジャーRNA技術を利用したインフルエンザワクチンやRSVウイルスワクチンの臨床試験も進めている。」

治療薬      
自分で買える薬、販売好調 第一三共系は解熱剤増産:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC215N10R20C23A7000000/

3)診断・検査、サーベイランス関連
変異株     

Long COVID

国内        
「ゆっくり、じわじわ」コロナ拡大 警戒強める医療現場 移行3カ月
https://www.asahi.com/articles/ASR846RPKR84UTFL01X.html
*「新型コロナウイルスが感染症法上の5類になって8日で3カ月になる。全国の新規感染者は11週連続で増加が続いている。連日の猛暑で熱中症患者も増える中、医療現場はコロナ感染者の急増に警戒を強める。
 東京都立多摩総合医療センター(東京都府中市)は7月からコロナの入院患者が増え始め、いまはかかりつけ患者や救急外来を受診した人を中心に、重症患者も含め、常に20~30人が入院する。1カ月前の約2倍に相当する。市中の感染拡大に伴い職員の感染も増えてきた。」

海外       
韓国でも発見された「新変異EG.5」拡散…日米、新型コロナ再流行に警告 #ldnews
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24738505/
https://co192021.blog.jp/archives/22190351.html
*「米国・日本など世界各国で新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の再流行に対する警告音が高まっている。各国の保健当局は、社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保戦略の緩和による屋内外での活動増加、感染やワクチン接種で得た免疫力の減少などを原因として挙げている。世界保健機関(WHO)は、韓国でも発見された新たなオミクロン株の下位変異EG.5が各国に急速に拡散していると懸念を示した。WHOによると、EG.5変異株はこれまで約40カ国で発見されている。」
*EG.5系統(主にEG.5.1)はXBB.1.9.2 系統の子孫株のようです。
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_virus/worldmutation/
*WHOは、EG.5をthe list of Omicron variants under monitoring (VUM)に加えたようです。
WHO adds Omicron EG.5 to variant monitoring as global COVID markers decline further July 21, 2023
https://www.cidrap.umn.edu/covid-19/who-adds-omicron-eg5-variant-monitoring-global-covid-markers-decline-further

4)対策関連
国内      
新型コロナ戦略:ワクチン接種から「定点把握」とサーベイランスまで   
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4317&fbclid=IwAR2q_PRNp7urS3bZPSMw1HraMkU_wMPKpO-fNia3Anl41W98_5pQXwgJKyc
*「谷口 サーベイランスは、Information for Action、すなわち、感染症対策に必要な情報をどう集めるか、この考え方に基づき、様々な種類があります。過去の「全数把握」や5類移行により始まった「定点把握」もサーベイランスの一種です。
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「全数把握」Representative (population-based) system、「定点把握」Sentinel system、いずれも収集する内容によってCase-based(症例報告)とAggregated data(集計報告)に細分できます。注意するべきは、日本の感染症法の定める全数把握、定点把握はいずれも「届出」を基本としておりますが、個人情報を含めた届出は、その個人に対して公衆衛生的、医療的介入を行うためのものであって、本来の対策に必要な情報を集めるためには個人情報は必要ありません。届出以外にも収集する方法はあります。また定点把握というのは、本来はSentinel surveillanceであり、数をカウントするだけではなく、後述するILIサーベイランスなども含まれます。
、、、、、
5類とは、国民がリスクについて自己判断する感染症であるということで、つまり、誰もが自己判断ができるよう、国が情報を提供する必要があります。

渋谷 ILIサーベイランスは、他の国ではパンデミック初期から実施していた中、日本では何故クラスター調査がメインになったのでしょう。
谷口 法律でサーベイランスを行う国は少ないです。法律で強制するというより、基本的に公衆衛生、感染対策のための必要情報をどう集めるか議論の上、法律ベースというより協力ベースで進めています。日本の場合「法律」の先にうまく進めなかった、というのが大きいと思います。
日本では法律にあるので、男女別で届出報告していますが、あまり意味がないです。「法律に基づき実施する」と「何の目的でサーベイランスを行うか」ここに温度差があったのかもしれません。
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坪倉 抗体価の上昇が、3回目と4回目であまりはっきりしていない一方、重症化に効果があるとされる細胞性免疫は繰り返しのワクチン接種で、全体として数値の上昇が確認できています。
重症化予防に対してワクチン接種はかなり良い推移を見せている一方、オミクロン株のRBD(Receptor Binding Domain)に対する抗体は十分ではないと思います。武漢株には十分な抗体がありますが、別のオミクロンに対してはRBDに対する抗体は対応しきれていません。新しい株に対する免疫について、早期のモニタリング体制が重要になると考えています。
、、、、、
コホート調査の検査体制は、福島第一原発事故後、内部被ばくの検査体制を構築した、相馬市の立谷秀清市長や平田村の医療法人誠励会 佐川理事長らがコロナ禍に再度立ち上がり、検査体制を構築されました。継続的に検査をしてデータを分析する重要性は、放射線の被ばく検査の時に我々が得た教訓ともいえます。」

海外       
Amid Signs of a Covid Uptick, Researchers Brace for the ‘New Normal’
https://www.nytimes.com/2023/08/02/health/covid-rise.html?smid=nytcore-ios-share&referringSource=articleShare
*本記事の概要は、以下にまとめました。
◯この冬に予測されうる混乱:多くの人々が命を落とすことになる
・例年との顕著な変化は、コロナウイルスのオミクロン株が1種類ではなく、オミクロン株から派生したウイルスが混在していることである。このウイルスは、インフルエンザ・ウイルスの進化のペースに似た、より一定の速度で変異している。
・あらゆる年齢層の人々が最新のワクチンとそのワクチンに感受性のある株を選択した場合という最良のシナリオでも、COVIDは48万4000人の入院と4万5000人の死亡を引き起こす可能性がある。
・これらの予測に基づけば、COVIDは当分の間、米国における主要な死因の1つであり続ける可能性が高く、最も楽観的なシナリオでも、米国における死因トップ10の死亡率の範囲に入る。
◯混合流行への懸念
・専門家たちは特に、COVIDとRSウイルス、インフルエンザ、その他の病原体との混合流行を懸念している。昨年はCOVID、インフルエンザ、R.S.V.のいわゆる三大流行が起こり、多くの病院がその重圧に屈した。
・インフルエンザやR.S.V.は暖かい季節になると消える傾向があるが、コロナウイルスは7月に流行し始め、2月まで流行が続く。
◯医療システムへの重圧
・COVID以前でも、医療システムが患者の急増に対応するのは非常に困難であった。
・今後毎年予想されることであるならば、その負荷の増加に対応するために、医療システムを調整しなければならなくなる。
◯ワクチンの役割:すべての年齢のアメリカ人にワクチンを接種することで、入院や死亡の数を約20%減らすことができるとの推定
・今秋予定されているワクチンは、今春優勢だったXBB.1.5と呼ばれる株をターゲットに設計されている。たとえワクチンが今後数カ月間に流行する株と完全に一致しないとしても、感染症はともかく重症化や死亡は防げる可能性が高い。

パンデミックの最悪の日々に戻ることを予見している研究者はいないが、感染者数が増えたら、人混みの多い屋内では再びマスクを着用し、症状が出たら検査し、万が一感染した場合にリスクの高い周囲の人々に気を配ることを検討するよう勧める研究者がいることは確かである。

5)社会・経済関連     
私のコロナ感染 発症数時間ですっかり回復 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230728/med/00m/100/022000c

COVID-19情報:2023.08.07

皆様

本日のCOVID-19情報を共有します。

本日の論文は、NEJMから1編、LANCET系列から2編です。
NEJM論文は、コロナウイルス2019(COVID-19)のパンデミック時に発症率が増加することが広く報告されている小児1型糖尿病に関する調査結果の論文です。生物学的な関連があることは確かですが、パンデミック前およびパンデミック中の子どもの前向き多国籍コホートにおけるウイルスと1型糖尿病の系統的検査では、COVID-19検査が行われなかった研究とは対照的に、COVID-19が1型糖尿病を誘発することは示されませんでした。
LANCETの1編目は、COVID-19感染のハイリスク外来患者において、エンドセリン受容体遮断薬としてのボセンタンの病勢進行に対する効果を評価した研究です。ボセンタンの早期投与はCOVID-19の高リスク外来患者における疾患の進行と血栓塞栓性イベントを予防する可能性があるとのことです。
2編目は、SARS-CoV-2感染の急性後遺症(PASC: Post-acute sequela of SARS-CoV-2 infection)においてインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ-2(IDO2: indoleamine 2,3-dioxygenase-2)が発現し活性を示すかどうか、また病態生理と相関する可能性があるかどうかを検討した探索的観察研究です。SARS-CoV-2感染はIDO2発現を持続的に誘発し、これはAHRアンタゴニストによって停止させることができました。特異的なキヌレニン異化物は、SARS-CoV-2が誘発する症状や病理に関係している可能性があるとのことです。

本日の報道関連での必読はなんといっても、「新型コロナ戦略:ワクチン接種から「定点把握」とサーベイランスまで」です。渋谷健司先生が率いる東京財団政策研究所の企画です。日本のサーベイランスの第一人者 谷口清洲先生(国立三重病院院長)と、東日本大震災直後から、福島を拠点に住民の健康問題に取り組んで来た坪倉正治先生(福島県立医大教授)の対談です。非常に示唆に富む発言が散りばめられていて、私は、情報を少しでも取りこぼさないように、メモをしながら読み込んでしまいました。
先日来、注目を集めつつある新変異株としてのEG.5が、韓国でも発見されたそうです。感染力は強いようですが、ウイルス毒性からみると、オミクロン系統の子孫であるということに変わりはないようです。
また、NY Timesの記事、”Amid Signs of a Covid Uptick, Researchers Brace for the ‘New Normal’”も、米国の冬に向けた状況を垣間見ることができるため、要点のみをまとめました。

高橋謙造

1)論文関連      
NEJM
SARS-CoV-2 — No Increased Islet Autoimmunity or Type 1 Diabetes in Teens
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2216477?query=featured_coronavirus
*コロナウイルス2019(COVID-19)のパンデミック時に発症率が増加することが広く報告されている小児1型糖尿病に関する調査結果の論文です。
米国、スウェーデン、フィンランド、ドイツの9~15歳の子ども4586人を対象とした研究で、子どもたちは2020年1月(プレパンデミック)から2021年12月(パンデミック)まで追跡され、膵島自己抗体がある場合は3カ月ごとに1型糖尿病の検査を受け(440人)、ない場合は6カ月ごとに検査を受けました(4146人)。子どもたちは、追跡調査のたびに、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)のヌクレオカプシド(感染)抗体とスパイク(ワクチン接種)抗体の検査を受けました。
4586人の小児のうち、705人(15.4%)がSARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体陽性:膵島自己抗体のない子ども4146人のうち623人(15.0%;95%信頼区間[CI]、13.9~16.1)、膵島自己抗体のある子ども440人のうち82人(18.6%;95%CI、15.0~22.3)でした。膵島自己抗体のない子ども4146人のうち、膵島自己抗体の陽性が持続的に確認されるセロコンバージョンが起こったのは40人(1.0%;95%CI、0.7~1.3)でした。この40人の子どものうち5人だけがヌクレオカプシド抗体を有していましたが、これはセロコンバージョン後に出現したものでした。残りの35人の子どもは、ヌクレオカプシド抗体が陽性になることはありませんでした。したがって、膵島自己抗体のない子どもでSARS-CoV-2感染に罹患した子ども(623人中0人)ではセロコンバージョンが起こっていませんでした;膵島自己抗体のない子どもでSARS-CoV-2感染に罹患していない子ども(3523人中40人[1.1%;95%CI、0.8~1.5])でのみセロコンバージョンが起こりました。
24ヵ月の追跡期間中に1型糖尿病の診断を受けた子どもは合計45人でした。5人の子どもは、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体が陽性となる前に診断を受けました。1人の子どもはSARS-CoV-2感染の検出後に1型糖尿病の診断を受けました。残りの39人の1型糖尿病の子どもは、ヌクレオカプシド抗体が陽性となることはありませんでした: 30人はワクチン未接種、2人は1型糖尿病の診断前にワクチン接種、4人は診断後にワクチン接種、3人は未検査でした。研究期間内の最後の検体がCOVID-19または膵島自己抗体陽性であった場合、研究期間後に得られた検体を含めても、膵島自己抗体が持続陽性にセロコンバージョンした子どもの数がSARS-CoV-2感染者より多いことを示すエビデンスはありませんでした。1型糖尿病と診断された子どもの数は、SARS-CoV-2感染の有無で差はありませんでした。すべての子どもは、膵島自己抗体の状態によって、2年間で4回または8回受診しました。
生物学的な関連があることは確かですが、パンデミック前およびパンデミック中の子どもの前向き多国籍コホートにおけるウイルスと1型糖尿病の系統的検査では、COVID-19検査が行われなかった研究とは対照的に、COVID-19が1型糖尿病を誘発することは示されませんでした。これらの所見は、1型糖尿病の遺伝的リスクが高い子どもたちの狭い年齢範囲を反映しているため、いくらか緩和されなければなりません。より長期間の追跡調査により、さらなる知見が得られるかもしれないとのことです。

LANCET
Bosentan for high-risk outpatients with COVID-19 infection: a randomized, double blind, placebo-controlled trial
https://www.thelancet.com/journals/eclinm/article/PIIS2589-5370(23)00294-8/fulltext
*COVID-19感染のハイリスク外来患者において、エンドセリン受容体遮断薬としてのボセンタンの病勢進行に対する効果を評価した研究です。背景として、COVID-19では、エンドセリン-1の過剰分泌により内皮が活性化され、損傷を受けると考えられています。
2021年12月15日から2022年5月15日まで、高リスクの外来患者を、登録から30日間、ボセンタン62.5mgまたはプラセボを1日2回投与する群に無作為に割り付けました。両群とも標準的な内科的治療も受けました。試験開始30日目に、患者は無症候性血栓塞栓イベントを検出するために下肢の完全ドップラー超音波検査を受けました。この試験の主要アウトカムは最初の15日以内の入院または何らかの原因による死亡でした。副次的アウトカムは、無作為化後30日以内の血栓塞栓イベント、無通院日数、およびあらゆる原因による死亡でした。
結果ですが、両群の基本的特徴は類似していました。主要転帰はボセンタン群129例中3例(2.3%)に発生したのに対し、プラセボ群130例中15例(11.5%)に発生しました[リスク差:-9.2%(95%CI:-15.3~-3.1)、P = 0.006]。無入院日数の中央値はボセンタン群で有意に高く(P = 0.004)、死亡は合計3例で、すべて対照群でした。ボセンタンはプラセボと比較して有意ではない死亡率の低下と関連していました(P = 0.24)。血栓塞栓イベントは無作為化後30日以内にボセンタン群97例中1例(1%)に発生したのに対し、プラセボ群104例中9例(8.7%)に発生していました[リスク差:-8.3%(95%CI:-14.4〜-2.2)、P = 0.008]。
ボセンタンの早期投与はCOVID-19の高リスク外来患者における疾患の進行と血栓塞栓性イベントを予防する可能性があるとのことです。

Prolonged indoleamine 2,3-dioxygenase-2 activity and associated cellular stress in post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection
https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(23)00294-3/fulltext
*SARS-CoV-2感染の急性後遺症(PASC: Post-acute sequela of SARS-CoV-2 infection)においてインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ-2(IDO2: indoleamine 2,3-dioxygenase-2)が発現し活性を示すかどうか、また病態生理と相関する可能性があるかどうかを検討した探索的観察研究です。SARS-CoV-2感染の急性後遺症(PASC)には、疲労、労作後倦怠感、認知障害が含まれ、致死性/重症COVID-19では、トリプトファン異化酵素であるIDO2が豊富に発現していることが研究の背景にあります。
典型的な特徴をもつPASC患者とPASCを発症していないSARS-CoV-2感染者から血漿または血清、末梢血単核球(PBMC: peripheral blood mononuclear cells)を得て、トリプトファンとその分解産物をUPLC-MS/MSで評価しました。別のPASCコホートのPBMCにおいて、IDO2、IDO1、AHR、キヌレニン代謝産物、オートファジー、アポトーシスの免疫組織化学(IHC: Immunohistochemistry)により、IDO2活性、その潜在的な結果、およびIDO2発現におけるアリール炭化水素受容体(AHR)の関与を決定しました。これらのPBMCは、メタボローム解析と呼吸測定によるミトコンドリア機能の解析も行いました。また、2人のPASC患者の剖検脳のIHCも行いました。
IDO2は、SARS-CoV-2感染後長い間、脳組織と同様にPASC患者のPBMCにおいても発現し、活性化していました。これはオートファジーと並行しており、血液細胞ではミトコンドリア機能の低下、アミノ酸とクレブスサイクル関連化合物の細胞内レベルの低下によっていました。IDO2の発現と活性はSARS-CoV-2感染によって誘発されますが、SARS-CoV-2に誘発される病態の重症度は、生成される特異的なキヌレニン代謝産物に関連しているようでした。生体外では、IDO2の発現とオートファジーはAHRアンタゴニストによって停止させることができました。
SARS-CoV-2感染はIDO2発現を持続的に誘発し、これはAHRアンタゴニストによって停止させることができました。特異的なキヌレニン異化物は、SARS-CoV-2が誘発する症状や病理に関係している可能性があるとのことです。

2) 治療薬、 ワクチン関連       
国内     
コロナワクチンの秋接種、9月20日開始 XBB対応1価ワクチン - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20230807/k00/00m/040/134000c
*コロナワクチン追加接種は9月20日から 全世代で「XBB」対応へ
https://www.asahi.com/articles/ASR874FDRR87UTFL003.html
*「接種可能な全ての年代を対象とする新型コロナウイルスワクチンの秋接種を巡り、厚生労働省は6日までに、現在流行の主流となっているオミクロン株派生型「XBB」に対応した1価ワクチンを使い9月20日から始めると、都道府県などに周知した。」

海外     
モデルナ、23年コロナワクチン売上最大40億ドルも 商業販売移行で
https://jp.reuters.com/article/moderna-results-idJPKBN2ZE28O
*「今年の政府契約からの売上高は40億ドルの見込み。従来50億ドルとしてきたが、10億ドル分は来年に持ち越された。
モデルナとライバルのファイザーは現在、新型コロナのオミクロン株派生型「XBB.1.5」対応ワクチンを政府契約時よりも大幅に高い価格で、秋の接種向けに投入することを目指している。秋の接種期間にモデルナが想定している米国の需要は5000万-1億回分だ。
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モデルナは新型コロナワクチン売上高の落ち込みを穴埋めするため、同ワクチンと同じメッセンジャーRNA技術を利用したインフルエンザワクチンやRSVウイルスワクチンの臨床試験も進めている。」

治療薬      
自分で買える薬、販売好調 第一三共系は解熱剤増産:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC215N10R20C23A7000000/

3)診断・検査、サーベイランス関連
変異株     

Long COVID

国内        
「ゆっくり、じわじわ」コロナ拡大 警戒強める医療現場 移行3カ月
https://www.asahi.com/articles/ASR846RPKR84UTFL01X.html
*「新型コロナウイルスが感染症法上の5類になって8日で3カ月になる。全国の新規感染者は11週連続で増加が続いている。連日の猛暑で熱中症患者も増える中、医療現場はコロナ感染者の急増に警戒を強める。
 東京都立多摩総合医療センター(東京都府中市)は7月からコロナの入院患者が増え始め、いまはかかりつけ患者や救急外来を受診した人を中心に、重症患者も含め、常に20~30人が入院する。1カ月前の約2倍に相当する。市中の感染拡大に伴い職員の感染も増えてきた。」

海外       
韓国でも発見された「新変異EG.5」拡散…日米、新型コロナ再流行に警告 #ldnews
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/24738505/
https://co192021.blog.jp/archives/22190351.html
*「米国・日本など世界各国で新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の再流行に対する警告音が高まっている。各国の保健当局は、社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保戦略の緩和による屋内外での活動増加、感染やワクチン接種で得た免疫力の減少などを原因として挙げている。世界保健機関(WHO)は、韓国でも発見された新たなオミクロン株の下位変異EG.5が各国に急速に拡散していると懸念を示した。WHOによると、EG.5変異株はこれまで約40カ国で発見されている。」
*EG.5系統(主にEG.5.1)はXBB.1.9.2 系統の子孫株のようです。
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_virus/worldmutation/
*WHOは、EG.5をthe list of Omicron variants under monitoring (VUM)に加えたようです。
WHO adds Omicron EG.5 to variant monitoring as global COVID markers decline further July 21, 2023
https://www.cidrap.umn.edu/covid-19/who-adds-omicron-eg5-variant-monitoring-global-covid-markers-decline-further

4)対策関連
国内      
新型コロナ戦略:ワクチン接種から「定点把握」とサーベイランスまで   
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4317&fbclid=IwAR2q_PRNp7urS3bZPSMw1HraMkU_wMPKpO-fNia3Anl41W98_5pQXwgJKyc
*「谷口 サーベイランスは、Information for Action、すなわち、感染症対策に必要な情報をどう集めるか、この考え方に基づき、様々な種類があります。過去の「全数把握」や5類移行により始まった「定点把握」もサーベイランスの一種です。
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「全数把握」Representative (population-based) system、「定点把握」Sentinel system、いずれも収集する内容によってCase-based(症例報告)とAggregated data(集計報告)に細分できます。注意するべきは、日本の感染症法の定める全数把握、定点把握はいずれも「届出」を基本としておりますが、個人情報を含めた届出は、その個人に対して公衆衛生的、医療的介入を行うためのものであって、本来の対策に必要な情報を集めるためには個人情報は必要ありません。届出以外にも収集する方法はあります。また定点把握というのは、本来はSentinel surveillanceであり、数をカウントするだけではなく、後述するILIサーベイランスなども含まれます。
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5類とは、国民がリスクについて自己判断する感染症であるということで、つまり、誰もが自己判断ができるよう、国が情報を提供する必要があります。

渋谷 ILIサーベイランスは、他の国ではパンデミック初期から実施していた中、日本では何故クラスター調査がメインになったのでしょう。
谷口 法律でサーベイランスを行う国は少ないです。法律で強制するというより、基本的に公衆衛生、感染対策のための必要情報をどう集めるか議論の上、法律ベースというより協力ベースで進めています。日本の場合「法律」の先にうまく進めなかった、というのが大きいと思います。
日本では法律にあるので、男女別で届出報告していますが、あまり意味がないです。「法律に基づき実施する」と「何の目的でサーベイランスを行うか」ここに温度差があったのかもしれません。
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坪倉 抗体価の上昇が、3回目と4回目であまりはっきりしていない一方、重症化に効果があるとされる細胞性免疫は繰り返しのワクチン接種で、全体として数値の上昇が確認できています。
重症化予防に対してワクチン接種はかなり良い推移を見せている一方、オミクロン株のRBD(Receptor Binding Domain)に対する抗体は十分ではないと思います。武漢株には十分な抗体がありますが、別のオミクロンに対してはRBDに対する抗体は対応しきれていません。新しい株に対する免疫について、早期のモニタリング体制が重要になると考えています。
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コホート調査の検査体制は、福島第一原発事故後、内部被ばくの検査体制を構築した、相馬市の立谷秀清市長や平田村の医療法人誠励会 佐川理事長らがコロナ禍に再度立ち上がり、検査体制を構築されました。継続的に検査をしてデータを分析する重要性は、放射線の被ばく検査の時に我々が得た教訓ともいえます。」

海外       
Amid Signs of a Covid Uptick, Researchers Brace for the ‘New Normal’
https://www.nytimes.com/2023/08/02/health/covid-rise.html?smid=nytcore-ios-share&referringSource=articleShare
*本記事の概要は、以下にまとめました。
◯この冬に予測されうる混乱:多くの人々が命を落とすことになる
・例年との顕著な変化は、コロナウイルスのオミクロン株が1種類ではなく、オミクロン株から派生したウイルスが混在していることである。このウイルスは、インフルエンザ・ウイルスの進化のペースに似た、より一定の速度で変異している。
・あらゆる年齢層の人々が最新のワクチンとそのワクチンに感受性のある株を選択した場合という最良のシナリオでも、COVIDは48万4000人の入院と4万5000人の死亡を引き起こす可能性がある。
・これらの予測に基づけば、COVIDは当分の間、米国における主要な死因の1つであり続ける可能性が高く、最も楽観的なシナリオでも、米国における死因トップ10の死亡率の範囲に入る。
◯混合流行への懸念
・専門家たちは特に、COVIDとRSウイルス、インフルエンザ、その他の病原体との混合流行を懸念している。昨年はCOVID、インフルエンザ、R.S.V.のいわゆる三大流行が起こり、多くの病院がその重圧に屈した。
・インフルエンザやR.S.V.は暖かい季節になると消える傾向があるが、コロナウイルスは7月に流行し始め、2月まで流行が続く。
◯医療システムへの重圧
・COVID以前でも、医療システムが患者の急増に対応するのは非常に困難であった。
・今後毎年予想されることであるならば、その負荷の増加に対応するために、医療システムを調整しなければならなくなる。
◯ワクチンの役割:すべての年齢のアメリカ人にワクチンを接種することで、入院や死亡の数を約20%減らすことができるとの推定
・今秋予定されているワクチンは、今春優勢だったXBB.1.5と呼ばれる株をターゲットに設計されている。たとえワクチンが今後数カ月間に流行する株と完全に一致しないとしても、感染症はともかく重症化や死亡は防げる可能性が高い。

パンデミックの最悪の日々に戻ることを予見している研究者はいないが、感染者数が増えたら、人混みの多い屋内では再びマスクを着用し、症状が出たら検査し、万が一感染した場合にリスクの高い周囲の人々に気を配ることを検討するよう勧める研究者がいることは確かである。

5)社会・経済関連     
私のコロナ感染 発症数時間ですっかり回復 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230728/med/00m/100/022000c


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