無事に
多発性硬化症という病を抱えて10年以上。偶然みつかった病。
とはいえ全く症状らしきものは無く、脳画像MRIを撮影するとチラホラと所見が見受けられるとは言っても、未だに自分は病気なのか?という問いを抱えながら、ドクターの説明をフムフムと疑いながら毎回これはもう委ねるしかないのだ!と心の中で唱え今回も定期検査を無事に終えました。
治療は当初アボネックスという週一回の自己注射。鍼灸師とは言えど、鍼灸で使用する針と注射針の太さの違いに改めて驚きそれを実感しながら、注射後のパンチの効いた副作用で初夏の夜、寒い寒いと震え、発熱と節々の痛さに苦しめられ、消えない怠さと共に、これがずっと続くのかと絶望感を抱き、病を抱えたり、問いを抱えたり、疑いながら委ねたり、忙しいなと思いながら「忙」という漢字の成り立ちを思い浮かべ心を亡くすまいと耐えてきました。
副作用に耐えて、耐えて、耐えていたら、副作用で不整脈が出始めてアボネックスの使用は中止しましょうという結果に至り、これは喜ばしい事なのかなんなのか自分でもよくわからない所で、苦しんでる数年の間に第二、第三の選択肢である薬が出てきていました。手足の麻痺や脳萎縮を防ぐ為、また、現在の生活を維持する為に使った薬で身体を壊していくという不可解さに首を傾げながら、矛盾を感じつつ、薬の副作用のリスクと何も治療しなかった場合のリスクを天秤にかけた場合、治療した方が受ける恩恵がはるかに大きいのだと信じる努力をしてきました。
現在は、飲み薬に変更になり、以前の様な激しい副作用はないものの、毎回、血液検査の結果に一喜一憂しながら過ごしています。
子供の頃の年の瀬、いつも母が紅白歌合戦をみながら「今年も皆んな元気で良かった」とボヤく様に振り返る意味が理解できた様な気になり、自分の事しか考えない私が、少しは人の気持ちを理解できる様になったんじゃないか?と毎年この日だけは思うんです。
特に何か言いたい事がある訳ではないけれど、とにかく皆んな元気で!と強く思う日なのです。