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八百万の神々にお願い事!?マンガ『峠鬼』を読みました。
今までありそうでなかったマンガでした。
身近に神様の存在を感じられる時代に、旅する冒険ファンタジーです。
現在(2021年5月)4巻まで上梓されているのでが、この後も続きが気になります!感想を綴ります。
あらすじ
遥か昔の倭の国の、神代と人世のその間。神々が人間と共存していた時代。
村を司る神・切風孫命神への生贄に選ばれた少女・妙(みよ)は、避けられぬ死に怯えていた。
しかし、神と相対し対話する異能を持つ道士・小角(おづの)との出会いが、彼女を窮地から救い出す……!
みなしごの少女と、壮麗の道士、そして鬼の少年。時代や次元さえも超越した、神々を巡る旅が始まる!
俊英・鶴淵けんじが、古代神話にファンタジーやSFの視点を加えて描き出す、全く新しい“古代日本”像。(出典:Amazon)
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①神様のキャラが面白い
第3巻では能美火神(のみのほのかみ)という神様が登場します。
主人公一行の1人「妙(みよ)」はこの神様に体を小さくされてしまいます。元に戻すために、「ものを大きくする神器」を使ってほしいとお願いするも、断られてしまいます。
役小角:出雲の大国主命様が似た神器をお持ちではなかったか
善(弟子の1人):夫婦槌か?
役小角:それだ 打出大槌 小槌 その御方はもう一つ‥‥ものを大きくする神器をお持ちではないか?
妙:ってことなんですけど‥
能美火神:‥‥ ああ あった気もするちゅね
妙:それ! それ使ってください!
能美火神:いやちゅ
妙:神様って どうして みんなこう‥‥!(出典:3巻「峠鬼」位置No33-34)
割と自分勝手なところがある神様でした。
自分の感情に素直に従ってしまう傾向があるようです。子どものような感情とリーダーのようなプライドを持っています。
ほかに登場する神様も、氏子の幸せを案じる一方で、不安定な一面を持ちます。神様といえど、性格が浮き沈み、嘆くことさえあります。また、ここぞとばかりに意地っ張りで、おおらかな性格を見せることもあります。
数十ページの中で、感情の浮き沈みを描くところがこのマンガの面白い部分です。また、神様は動物がモチーフになっており、神器というものを持ちます。この神器も作品を面白くさせています。能美火神は「ものを大きくする神器」と「ものを小さくする神器」を持っていました。
時代感を崩さないセリフ
司るものを表現するキャラデザイン
巧みな会話と物語を大きくする神器
など、主人公の周辺にも魅力がいっぱいです!
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道具を使いこなすという意味では、ドラえもんに構造が少し似ているかもしれないです。ドラえもんでも、ひみつ道具のせいで、トラブルにあったり、ひみつ道具のおかげで、トラブルを解決できたりします。違う点は、道具の所有者が毎回違うことでしょうか。
次はどんな神様がでてくるのか
どんな神器で主人公を振り回すのか
楽しみになっています。
(英語を話す穂生倶様という神様は、お気に入りキャラです。笑)
②主人公一行の3人が面白い
主要キャラは3人です。
役小角:願い事をなんでも叶える神様に会うために、各地を旅する道士
善:役小角の弟子の少年
妙:生まれ育った村で生贄に選ばれた少女。役小角の弟子となり、各地を旅することに。
面白いのは、マンガ特有のぶっ飛んだ性格をしていないことです。
役小角は、道士としては優秀だけど、どこかよそよそしい一面があります。
善は、乱暴ものですが、傷つきやすいです。
妙は、サバサバしています。
身近にいそうなキャラで、各人が弱いところを持っています。
回想シーンでは、どうして旅をしているのか、
アイデンティティ形成に影響を与えたであろうエピソードがたくさんです。
神様に出合うという外向きの話と
それぞれの過去と向かい合う話があり、物語を面白くしています。
過去の影響を感じつつ、「現在」の交流で感情が動き、未来が変わるという感じです。この移り変わりが面白い!
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絵も見やすいですし、キャラデザインを楽しめますし、
キャラの移り変わりも楽しめます。そして、1話の中で、すっきり終わるまとまり感も好きです。
次の第5巻も楽しみです!
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。