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Vol.7 年配者の立場で「老害」を考える

私は、高齢化が進んだそこそこ大きな会社で働く50代前半の社員です。
定年退職までまだ数年ありますが、早期退職も頭に入れながら働くようになってきました。漠然と、若手の活躍を邪魔してはいけないと考えるようになってきたからです。
そんなことはない、まだまだやれる、という気持ちもあるのですが、冷静に考えるとそういう問題ではないと感じるのです。

今回は、高齢化した会社がどういうことに気をつけないといけないか、という視点で書きます。


若手視点で考える

会社に入社したばかりの新入社員の気持ちになってみましょう。
年齢は20代前半で、親は40代後半です。

そうすると社員の年齢層はどんな状態でしょうか。
私が働く事業部門の平均年齢は40代後半です。
これが何を意味するか分かりますね。
そうです。自分の親の世代がうじゃうじゃいる会社ということなんです。
さらに最近は雇用延長で60歳を超えても働いている人がたくさんいます。
そうなると、祖父母の代もギリギリ一緒に働くことに

想像してみてください。
20代の頃の自分が、大勢の親や祖父母の世代と一緒に働く姿を。
シンプルにそう考えただけで、ゾッとしませんか。
無理でーす!ってなりませんか。
親の世代って、だいたい分からずや。意見が通らない。保守的。
祖父母の世代って、すっかり時代遅れ。覚えも悪い。正直頭が固まりきっている。

特に祖父母の世代、つまり自分のおじいちゃんやおばあちゃんは、一緒に働くのを想像すること自体が困難です。
それぐらい恐ろしい状況です。

こんな状況で、若者が伸び伸びと働けるのでしょうか。
というか、そもそもそんな会社に入社したいと思うのでしょうか。

ジェネレーションギャップの視点で考える

一方、年配者側を見てみると、いまだに最近の若者はダメだって言う人が多いと思いませんか。
若手は考えが甘い、何を考えているか分からない、という人。
昔はスパルタだったが、若い時にそういう経験をしていないからダメなんだ、という人。
時代の流れに表向きは理解を示しつつ、努力しつつ、でもどこか心の奥底で、昔は良かった、世知辛くなった、面倒だと思っています。

でも、結局のところ、いつの時代も牽引するのは若者です。
いくら抵抗しても時代は移り変わるのです。

若者に迎合せよとは言いません。
でも、最低限、邪魔をしてはいけないと思うのです。
むしろ、どうやって若者の能力を最大限に引き出すか、それを追求しなければいけないのです。

いずれ詳しく書きますが、年配者になるほど想像力が欠如します。
過去に引きずられて、頭が固くなります。これは仕方がありません。
それ自体が問題なのではなく、それに気づいていないことがリスクです。
正直、年配者が余計な壁になってしまう場面が多く見られます。

ということで、年配者が感じるジェネレーションギャップよりも、若者が感じるジェネレーションギャップの方がはるかにやっかいなのです。

居心地の視点で考える

自分の体験から気づいたことがひとつあります。
私は、会社での居心地が悪いと感じているわけではありません。
むしろ年を取るほど、ある種のストレスが減ってきました。
でも会社が良くなったという感覚はそんなにありません。

じゃあ何故なんだろう。そんなことを考えていて、ある日ふと、
「もしかして、ややこしい先輩たちが減ってきたからでは?」
「ということは、自分が最年長に近くなってきたからというだけ?」
こういうことではないかと気付いたのです。そしてさらに、
「もしかして、今度は自分がややこしい先輩の立ち位置にいるってこと?」という考えに行きつきました。

先輩方はみな悪い人ではなかったけど、やっぱ何かと気を使っていました。
ある種のストレスとはそれのことだったのです。
そのストレスが減ってきただけだったのです。

自分では若手に最大の配慮をしているつもりです。
でもおそらく、ストレスを若手に引き継いでしまっています。
1つ目の話を思い出してください。自分は親の世代なのです。
そしてそのストレスの原因がうじゃうじゃいる会社なのです。

何となく居心地が良くなってきたら、実は危険信号なのです。
本当に、メッチャよく考えて行動しなければいけないのです。

年配者の心得

自分がその年齢の時どうだったか、何を思っていたか。
親の世代にはどうして欲しかったか。
祖父母の世代がいたら、どういうことを期待したか。


年配者は、こういったことに思いを馳せながら仕事をする必要があります。
難しいですが、逃げてはいけない問題です。

先ほども書いた通り、迎合する必要はありません。
でも年配者は、人件費も高いのです。
自分の代わりに若い人を2人雇う方が会社は発展する、ぐらいの強い危機感を持ち、最低でも余計な壁にならないよう、最善を尽くさないといけないと思うのです。

まとめ

老害になる可能性がある側の立場で、老害について考えてみましたが、どうでしょうか。

昔はピラミッド構造だったので、上の方の人が老害を発揮していても、若手は若手で団結してなんとかしていたと思います。
でも時代は変わっています。年配者が多い会社は本当に真剣に考えないといけません。延長雇用で60歳を超えて残る社員が増えるならなおさらです。

これは会社だけの課題ではなく、社会問題そのものなので、年配者を減らしても解決になりません。
逆ピラミッドの社会のなかで、若者が活躍する状態をどうやって作るのか、経営陣も含めた年配社員の意識改革が極めて重要であるといえます。

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