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Vol.28 ビジョンドリブンの「なぜなぜ分析」
これまで何度か、対症療法ではなく、根本治療が大事、という話をしてきました。
最近気づいたこととして、世の中にある「なぜなぜ分析」の活用が、対症療法に留まっているケースが多いのでは、ということです。
誤った取り組み
「なぜなぜ分析」は、課題が発生したときに、「なぜ」を繰り返して真因を見つけ出し、対策を行う手法です。
ところが、問題が発生した際、再発防止策として対症療法だけで承認してしまうケースが多くないでしょうか。そしてそういう組織では、手っ取り早く騒ぎを収束させることが求められています。
そうなると「なぜなぜ分析」をした結果、「ルールを作る」とか「チェックリストを作る」とか、そういう安易な対策を立てて終わってしまいます。
結果としてルールが増殖し続けて、何百ものルールや手順書が作られます。
こういうものが有効に働くはずがありません。自分で自分の首を絞めているようなものです。
期待される取り組み
せっかく「なぜなぜ分析」をするのであれば、根本対策まで議論する習慣が欲しいものです。
例えば何か設計ミスがあったときに、他の人がチェックするよう取り決めるのは対症療法としてはありですが、一方でそれは効率ダウンにつながるリスクがあります。
そこで、「チェックがなくても設計ミスが見つかるようなツールはないか」「過去の正しい例を、簡単に見つけて流用できる仕組みはできないか」というような、長期的な視点での議論が、根本対策として必要になります。
ビジョンあればうまくいく
「なぜなぜ分析」というのは、実際にやってみると結構難しい作業です。
それがなぜ難しいかを「なぜなぜ分析」したわけではないですが(笑)、ビジョンドリブンが前提にあれば、もっと有効なツールになるのではと思うのです。
特に対策を立てる段階で、すぐにできなくても、本当はどうだったら良いかという「ありたい姿」を描く癖をつけて、常に改善する意識を持ち続けるのが望ましい姿といえます。