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私がチャットレディになるまで ②出産までにしたこと

私がやるべきこと

上司に「別れても産む」と告げた翌朝、彼はいつもどおりに私より1時間早く出社。
会社に出勤してみても、帰宅後もいつも通りで、私としては「あんなに思い詰めて言ったのに…」と呆れるしかありませんでした。

彼の態度を見て頭が冷えたことで、これからのことが明確に見えてきました。
私がやるべきこと。
それは「子供を産んで、『あの子は片親だからね』と人に言われない人生を歩ませること」。
そのためには、短期的だけでなく、長期的にどうするかも決めなければいけませんでした。

最初に決めたのは、当面彼と住み続けることでした。
私が「別れてもいい」と言った後も、彼は何も変わりなく私のアパートへやってきて、いつも通りにふるまいました。
どういうつもりなのか全く理解できませんでしたが、すぐ別れるつもりがないことが分かり、経済的な不安があったため、彼が関係の解消を望まない限り、子供が1歳になるまでは一緒に住み、そこで最終的な決断を迫ることにしました。
ただ、このことは彼には何も言わず、その後は出産までの事務的なことのみ報告し、今まで通りの生活を送り続けました。

出産までの準備

それ以外でまずしたことは、子供を出産できる病院を探すこと。
妊娠の診断を受けたのは総合病院で、そこには病床がなく、入院、出産ができませんでした。
里帰り出産も考えましたが、実家周辺で出産予定日に空きのある所が見つからず、結局近場の病院でお世話になることにしました。

次にしたのは退職手続きでした。
私と彼は同じ会社におり、そこは田舎の小さな会社だったので、私が出産した後も未婚の母のままでいれば、立ちどころに父親捜しに発展する。そう思ったのです。
私の体調不良は会社の人たちの知るところとなっており、私が「妊娠していました」と報告したところ、事務員のおばさま方からは「そうだと思ったわ! おめでとう!」と声かけられました。
そこで私は、付き合っている彼氏がいて、子供ができてから出産と同時に入籍をするつもりでいること、彼が家庭に入ってほしいというので退職したいこと(もちろんどちらも嘘です)を社長に話し、出産2ヵ月前までは働き、その後退職するということになりました。

次は保育園について役所へ聞きに行きました。
退職するということは収入がなくなるということです。
少しの蓄えはありましたが、将来を考えると決して余裕のある状況ではなかったので、すぐに職を探す必要がありました。
役所からの返事は「お仕事が見つかってからまたいらしてください。そのうえで、順番待ちをしていただいて保育園入園が決まります」とのこと。
そういう制度なので仕方がないのですが、当然子供の預け先がないと仕事ができないわけで、近くに頼る人がいない私はにっちもさっちもいきません。

ライブチャットとの出会い

そこで、私は個人事業主として仕事を探し出しました。
就職すれば未婚であることが分かってしまうため、それを隠すための苦肉の策でした。
幸い、前職がやや専門的な仕事であったため、前の会社や別の知り合いから仕事を外注してもらうことで、ベースとなる収入を確保することができました。
とはいえ10万円にも満たず、会社に勤めるよりはかなり少なかったため、在宅でできる仕事をネットで探しました。
データ入力、音声の書き起こし、Webライターの仕事、テレアポ…いろいろとやりましたが、どれも単価は数百円とかなり低く、数を大量にこなしてようやく数万円程度の収入になるというものでした。

そうやって検索しているなかで、高収入が得られるという「チャットレディ」の仕事を見つけました。
それはライブチャットという遊びで、説明を読んでみると、「普通の女の子のエッチな日常、のぞき見してみない?」と書かれていました。
サイトにたくさん並ぶ女性のアイコンをクリックし覗いてみると、部屋をのぞき見しているようなカメラアングルで、暇そうにぼんやりしている女性が映し出されていました。
そもそも妊娠しておなかが大きな自分には無縁なこと、ずっと監視されるのは怖いなと感じたこと(これは後から誤解であったことが分かります)から、この時は「ああ、こんな稼ぎ方もあるんだ」という程度で、そのときはまさか自分がそのチャットレディになるとは想像してもみませんでした。


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ken to yu
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