チャットレディとおっさんの恋 vol.4「変わりゆく心」【SunoAI曲あり】
<彼>
・60代。定年後再雇用で仕事継続中
・チャット歴十数年?
・チャットは時々楽しむ程度
・PC周りに詳しく、カメラ・動画撮影も覚えあり
・既婚
彼のnote>>>https://note.com/yu_my_love
<私>
・チャット歴数年
・バツイチ小学生の子持ち
・40代
・過去の経験で男性に対して少しトラウマあり
かなわない夢とご褒美の写真
話をする中で、彼は還暦を過ぎており、現在再雇用の身であることが分かりました。
「この頻度でチャットに来ると破産しそう笑」
と彼が冗談めかして言ったので、彼が私の写真を気に入ってくれたこと、もっと欲しいと言っていたことを思い出し、
「チャットを1日我慢したら、写真を1枚送るということでどうですか?」
と言いました。
サイトで写真を送ると半年ほどでメールのログが消えてしまう、と彼が嘆いていたので、DMで送ることを提案したのです。
彼はそのころ仕事が繁忙期だったので、連日チャットに来ないよう理由付けするにもちょうど良いタイミングでした。
「それなら我慢できるかも…」
ということで、その日から彼がチャットを我慢した日は、私がサイト用に撮影した写真を“我慢のご褒美”として1枚ずつ送ることになりました。
その日はチャットに来たものの、話の中で話題になった彼が一番気に入っているという写真を送りました。
その翌日、また彼からSunoAIで作った曲が…。
下記の記事の2つ目、「かなわない夢」という曲です。
こちらの動画は画像が最近編集されたものですが、私に送られてきた当時はラストに私の写真がそのままばーんと使われていて、見ていて思わずビクッとしました…。
会いたいけどチャットレディには会えない、彼自身それをわかっていて、無理を承知で「写真を撮りたい」と言っていたと知り、少しほっとした記憶があります。
一方で、あまりに彼の想いが熱烈過ぎて、「彼の想いには応えられないのに申し訳ない…」と思ってもいました。
もっと知りたい
以前も書きましたが、彼とはチャットサイトのメール、XのDMで頻繁にやり取りしていました。
彼が洋楽に詳しく、あるバンドに傾倒していること、彼自身が車椅子生活になる以前からいくつかのトリビュートバンドをやっていること、それを動画編集してYoutubeに載せていることなどを聞いていました。
彼の引き出しは豊富で、好きなバンド、楽曲、アニメやゲーム、好きな書籍、仕事、物の考え方、飼っている猫の話まで、20歳近い歳の差があるとは思えないほど共通する話題が多く、メールでの話は尽きませんでした。
やり取りをしている中で、彼のトリビュートバンドで演奏した曲の話になり、YoutubeのURLが送られてきました。
チャットでは私は画像と音声で発信していましたが、彼はタイピングだったので、その時まで私は彼の顔も声も知りませんでした。
動画の中央には、車椅子に乗ったなかなかにロックなヴィジュアルのおじさまが。
ハイトーンボイスで熱唱する姿に、私は見たこともない“彼”という人が本当に存在するんだな、と改めて認識したのでした。
もちろんそれまでも分かってはいたのですが、“車椅子に乗っている彼”が急に現実味を帯びたのです。
彼とチャットで会わない日、私は彼のYoutubeチャンネルにある、彼の映っているライブ動画を順番に見ていきました。
なかにはバンド仲間とMCしているものもあり、歌声とは違う、渋く低い耳に残る話し声も聴くことができました。
それから、彼のXも少しずつ遡り、バンドのこと、彼が車椅子に乗り出してからの発信、それ以前のことなどを読んでいきました。
彼はたびたび、
「自分が脊椎損傷になって車椅子生活になってから、初めて知ったことがたくさんあった。不自由に感じたことも、それから車椅子に乗っていても特別な人じゃなくて普通の人なんだってことを積極的に発信して、みんなにもっと車椅子生活について知ってもらいたい」
と言っていました。
その言葉の通り、彼のSNSでは、車椅子では通りづらい道、車椅子専用スペースに留められた障がい者ではない人の車、彼の大好きなライブに行くとき、たくさんの人が手を差し伸べてくれることなどを発信していました。
私は一人で車椅子に乗ってどこへでも行く彼の行動力、以前と同様に仕事をこなす様子、さまざまなツールで創作活動や発信をしていることなどを知り、彼のことをさらに知りたいと思うようになっていました。
心えぐられる曲
3回目のチャットから4日後、彼と4回目になるチャットをしました。
彼は来るなり、
「僕にとって君は天使だから、もう君とはアダルトはできない」
ときっぱり。
[いやいや、天使って…。前はあんなにしていたし、アダルトサイトなんだから…]
という思いと、
[もうアダルトしないとなると、ますます彼の本気度が増してやばい…]
という焦りがあり、彼を誘惑し、なし崩しにエロティックなモードに持って行ったことを覚えています。
そのころ彼から送られてきたのがこの歌です。
「When I Think Of You」
(日本語歌詞はYoutubeの概要欄に記載があります)
彼はいつも
「そのときの自分の感情をため込まないように、ただ吐き出しているだけ」
と言っていましたが、その分歌詞はあまりにストレート過ぎました。
だいたい彼が曲を送ってくれるのは0時過ぎだったので、私が曲を聴くのはチャットが終わってから。
連日届くその切ない歌に、私は胸をえぐられるようなずきずきとした痛みを感じたまま、眠りについていました。