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私がチャットレディになるまで ①転職、妊娠

転職、上司との出会い

新卒で就職し、ある会社で働いていましたが、仕事でお世話になっていた別業界に魅力を感じ、入社5年目にその業界へ転職しました。
前職でお世話になっていた方の会社にコネクションで入れていただいて、手探りのまま働き始めましたが、急に特殊な経緯でやってきた新参者に対する社内の風当たりは厳しく、私はなかなか社員のみなさんに馴染めずにいました。

そんななか、私の転職の経緯などを把握している上司が社員のみなさんと私をフォローしてくれ、数か月働いたころ、私たちは自然と付き合うようになりました。
付き合い始めてまもなく、社宅にいた上司は毎日私の住むアパートに通って来るようになり、実質同棲を開始。
同じ職場、同じ家での生活で、二人とも職場と家を行ったり来たりするだけで特に遊びに行ったりもせず。そんな生活がのんびりと続きました。

青天の霹靂

一年が経つころ、微熱や朝起き上がれないなどの体調不良が長く続き、病院嫌いの私ですが、仕事を休んで渋々受診をしました。
受診結果は「妊娠」。
仕事が忙しく不調を放置したこと、途中不正出血を生理と勘違いしたことが災いし、診断を受けた時点ですでに妊娠19週目が目前に迫っていました。
おなかがほとんど目立たない体型であったことも、気付かなかった原因の一因でした。

まだキャリアを積みたいと思っていた私は、自分が妊娠したことに動揺しました。
一方で、二人の将来のことを話してきた上司に伝えたら、子供が好きな彼は、きっと喜んでくれるに違いないという期待もありました。

どんな反応をするだろう?

仕事終わりの彼と夕飯を食べ、私は「話がある」と彼に切り出しました。
「今日病院に行ったら、私妊娠してるって」
それを聞いた彼は、ちょっと困った顔をしてこう言いました。
「俺、結婚してるから堕ろしてくれる?」

未婚の母になる決意

元々職場で、彼の元妻(実際には別れていなかったわけですが…)やお子さんの話を聞くことはありました。
彼は常に「前の奥さん」と言っていたので、私は離婚していると思っていたのです。
総務などに聞けば、実際は籍が抜けていないことが確認できたでしょう。
「周りが気を遣うから」と職場に内緒で付き合っていたことも、考えてみれば奥さんがいたからだったはずです。
多分冷静であれば十分そう判断できたのに、私はそういうことを怠っていました。
改めて聞くと、奥さんとは長らく別居状態で会ってもいないこと、ただし籍は抜けていないこと、お子さんのために仕送りをしていることなどが分かりました。

母体保護法により、堕胎は妊娠21週と6日目までしかできません。
その時私はすでに妊娠19週目に差し掛かっており、堕胎するかの判断は手術の手続きなどを勘案すると一刻も早く、という状況でした。
彼とはその後も話をしましたが、「堕ろしてくれないと困る」と言われるばかり。

20週ともなると、胎児のエコー写真ではすでに人の形になりつつあり、私は子供を堕胎することをすぐには判断できませんでした。
普段はあまり連絡を取っていなかった母に電話し、事情を説明したところ、母は呆れてため息をついたものの、「おなかの子は何も悪くないんだから、ちゃんと産みなさい。育てるのは手伝うから」と即答してくれました。
あんなに母の存在をありがたく思ったことはありません。

その日帰宅した彼に、私は
「あなたと別れても、私子供を産みます」
と告げました。
相変わらず彼は困った顔のまま。
しかし、そうと決めたらやるべきことははっきりしており、私は出産に向けて少しずつ準備を始めました。


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ken to yu
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