大内岳 × 福永健人「ぶどう」Music video対談③ 〜ランダムと付き合っていく〜
【ランダムと付き合っていく】
福永 : 変態だよね。
大内 : 笑
福永 : 変態の天才だよね。よっぽど好きじゃなきゃそんなことしない方が良いというか、いや、好きでもやらない方が良いんじゃないかという。
大内 : 笑 ここに確固たる理想みたいなものが生まれたら、もうちょっと猟奇の方へ行くのかもしれないけれど、今の所は目指す先っていうのはあんまり自分でも固く決めてないので、だからいっぱい作っておくのかもしれない。
福永 : そこがまた良いけどね。確固たる理想がある格好良さ、というのももちろんあるにしても、これだけ執拗に切って、描いて、動かして、それでいてどことなく良い意味で気が抜けているというか、力が入っていないというか。あのムードはそういうところから来ているのかもしれない。
大内 : 達人になったら違うのかもしれないけど、結局撮り始めるまでなーんもわかんないですからね。
福永 : そこは音楽も似てるもんね。
大内 : 例えばラグビーボールをキックする時に近いんじゃないかな、と。
福永 : あーどこにいくかわからない。
大内 : そもそも、綺麗な球体じゃないから。空気を受けて、どんな風に飛んでいくのかが全然わからない。
福永 : あー...その辺が...我々は近いのかもしれないね。
大内 : そうですね。
福永 : 福永も今回のアルバム(「No.23」)では自分で30種類くらいの楽器を演奏して、ダビングしていったんだけど、なるべく完成形を決めないように意識して録っていったんで、ラグビーボールの例えはよくわかる。
大内 : 一応試合をしているというか、蹴って、飛ばして、ゴールに入れたいんだけど。
福永 : どのような軌道を描いてそこへ向かうかというのは、もう、おまかせというか。
大内 : もちろん、正しい場所へ飛ばす技術っていうのはあるんだろうけど、そもそもはそういうランダムなものである、っていう。
福永 : なんか、正しい場所に飛ばす技術がいくらあっても、飛ばせちゃうと自分が感動できなくないですか?
大内 : うんうん、恐らく。
福永 : 思いっきり蹴ってみたら、自分が知らないカーブの仕方しました、みたいな時に、初めて自分で感動する。
大内 : 話してて思うのは、僕ら、結構運とかが好きなのかもしれない。
福永 : 運、好きだねえ。
大内 : 結局、運次第、みたいなものがそんなに嫌いじゃないのかもしれない。実力主義よりも、運が絡んでいる方が、逆に力の出し甲斐があるというか。
福永 : 沢山博打を打って、120点だったものを集めました、みたいな。
大内 : だからその、全然身にならない、空振っちゃったみたいなのも込みの方がなんか良いな、と。ちょっと自然っぽい感じですかね。
福永 : 現象を作りたい、っていう...あのーもう言葉が矛盾してるんだけど。
夕焼けの色って、コントロールするのは難しいと思うんですよ。
大内 : そうですね。この日に、この色でお願いしますっていうのは。
福永 : だから、待つしかないんだけど、毎日同じ時間に定点で撮っていると、時にはすごく良い発色の日がある。そういうほうが、人間がめちゃめちゃ綺麗に設計したビルより感動するよなあ、という。単なる好みかもしれないけど。
大内 : ちゃんと他の空があるからこそ、っていうのもあるかもしれませんね。ちゃんと青から来てくれないと。
福永 : ずっと赤かったら、今度は青が綺麗になるんだろうね。
大内 : 青が綺麗になるでしょうね。
福永 : 無軌道なものにね、期待を裏切られたいんだよね。
大内 : まあそんなもんだから、自分で作り始めたとはいえ、こうやって反響をいただけてようやく、あ、作ってるんだ、という気持ちになりますね。
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>>次回 作っているものが「完成する」とはどういうことなのかについて語り合いました。
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福永健人 - ぶどう(official music video) dir.大内岳
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