大内岳 × 福永健人「ぶどう」Music Video対談④ 〜ものをつくる上で「完成」とは何か〜
【完成とは何か】
福永 : いつ「完成」するんですか?っていう。
大内 : あー。
福永 : 無軌道な球を蹴り続けて...なんか俺はあるんだけど、一応完成っていう感覚が。大内君の場合、なにをもって完成とするんですか?っていう。
大内 : そうですねえ......なんだろうな。それこそ自分でそういう基準を持っていると良いんだけど。
福永 : 今回もアップロードギリギリまでなんやかんや一緒にやってたじゃない。でもなんにしても最後には「自分で納得いきました」っていって(データが)届いたじゃない。それはどう訪れるんですか?
大内 : 提出のタイミングが。
福永 : そう、提出のタイミングが。
大内 : 結構月並みな言い方になるけど、夜作って、朝の自分に見せる、とかですかね。
福永 : わかるわ。夜提出って危険なんだよね笑
大内 : そう、夜提出は...深夜に作ってそれをそのまま出すってことはあんまり...。
福永 : なんか、深夜のギャグみたいになっちゃうんだよね。
大内 : そうそう、しかもそれはタイミングとして相手にも伝わるから、良くも悪くも。
福永 : その日は面白いけど翌日は面白くないものもあるからね。
大内 : それはそれで、尊いものではあるんだけれど。
福永 : あー。その発想はなかったな。確かに、悪いばかりではないのかもね。
大内 : 俺はチェックとかもその、片手間でやることが多くて、例えば音楽とかでも、iphoneの音量を上げて、片手で耳にスピーカー近づけて聴く、とか、そういうくらいのレベルで、こうやって、iphoneの画面を見て...。
福永 : うんうん。
大内 : あんまりこう、神々しいチェックの時間、とかじゃないチェックの仕方をするんですけど。何チェックポイントかを通過すれば、それで出そう、という。
だから今回もそうですけど、自分よりセンスある、くらいに思う人とやる場合は楽っすね。おかしいなら、言ってくれるっていう安心感があって。
福永 : ...「センスある」って俺に言ってるの?
大内 : そうそうそう。
福永 : いえ〜い。
大内 : 笑 (福永が)自分の作った曲に対してのコレ、っていうので、なんかそれを突破できれば全然良いよなあっていうか、自分が気になることよりも、それは大きいことというか。
福永 : うんうん。
大内 : なんか、見逃すべきだな、ということもあると思うんですよ。
福永 : 見逃す?
大内 : 自分が「こうではいけないんだ」と思って殺すいくつかの気になる部分というのを、全部潰そうとするとそれこそ何十倍も時間がかかるので。
だんだん宮崎駿みたいなことになってくる。もし宮崎駿が一人だったら、それはもう世には出ないので。
福永 : そうだね笑 確かに。
大内 : だから自分が製作の仕上げの時に考えているのは、一番頑固な自分には発言させない。作っている時にはそいつを出すけど、提出する・しないの時にはそいつに発言権はない。一番怠け者の自分と、一番頑固者の自分にはしばらく黙っててもらう。真ん中くらいの自分にジャッジさせるんです。
福永 : なるほどねえ。俺の場合は、全然面白い話はないんだけど、腑に落ちるんだよね。...なんか、わかる?その感覚。
大内 : 腑に落ちる感覚は分かりますね。
福永 : 作ってる最中は、あー、これ、無限かなって。
大内 : 笑
福永 : 無限かなって思ったりするんだけど、いじり倒している最中に、粗を含めてなんだか腑に落ちる瞬間っていうのがあって、それを持って俺は一応完成としている。
大内 : なるほど。
福永 : だから、他の人と共有はできないんだけど、完成の基準ていうのは、どうやら人それぞれあるっぽいよな、っていう。
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>>次回 制作に対峙するための「準備と集中」について語り合いました。
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福永健人 - ぶどう(official music video) dir.大内岳
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