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No.23 登場人物② moegi 編

もえちゃんとの出会いは、二十代の最初の方だっただろうか。
下北沢ガレージの受付に新しい方が入ったな、と思っていたのがもえちゃんだったんじゃなかろうか。

ほどなくして彼女は自身のバンド「Local Blue Sheeps」のギターボーカルとしてバンド活動を始める。
ことさらに仲良くなったのはそのあたりからで
ローカルとは一緒に東北ツアーに回って、夜半過ぎのサービスエリアで記念撮影をして
青春を謳歌した仲である。

「Local Blue Sheeps」の活動が一区切りついてからは
特にお互いの青春の絆(?)がすり減ったりしたわけではないけれど
かといって頻繁に会うようでもなくなった。
友達の縁っていうのは、安定しているほどそういうもんだったりするのかもしれない。

ところでもえちゃんは八丈島出身である。
伊豆諸島の、どちらかというと奥の方だろうか。
八丈島を本当に愛し、大切にしており、当時から今に至るまで島のために働いている。

以前もえちゃんを中心としたグループが、八丈島で音楽フェスを企画・運営していたことがある。
その際にaireziasも呼んでいただき、Local Blue Sheepsと共にステージに立った。

福永にとってはそれが初の八丈島上陸で、潮と湿気をたっぷりと含んだ空気は忘れられないものとなった。
すっかり好きな場所になってしまったのである。
以降毎年のように夏になると八丈島に行っている。
コロナのせいで昨年から控えているが、島の人が安心できるような季節がまた巡ってくるならば、必ずまた行くだろう。
将来の夢はこうだ。

「あ、福永さん?良い作曲家なんだけどねえ、8月中はアポ取れないかもしれない。
あの人ね、夏になると島に行っちゃって。連絡取れないんだよねえ。」

そういうものに、私はなりたい。あるいは、住んじゃいたい。

No.23収録の「08.橘」は八丈島で録ってきた環境音を中心に作曲をしている。
八丈島の空気や、海の底に眠る歴史、現代まで引き継がれた民謡。
味わい、学んで、自分なりに八丈島を1つの楽曲として表現した。

そんな折、もえちゃんがその年の「ミス八丈島」に選出される。
いやはや、天職なんじゃないだろうか。もえちゃんを知る人はみんなそう思ったに違いない。

08.橘 のボーカルを選ぶにあたってこれ以上の人選はなかったんじゃないかと思う。
生粋の八丈島産、それでいて島を愛し、島のために働く。
その努力が福永に八丈島愛を芽生えさせ、こんな楽曲を作らせるに至る。
ちょうどその頃、ミス八丈島としてPR活動に邁進しており、
任期を終えた2021年現在も、島のためにPR活動を続けている。

もえちゃんはボーカルである。ではあるのだけれど、ボーカルらしくない。
欲や見栄が全然ない。歌が楽曲を支配したり、ギラギラとラメをまとったりしない。
夕方の潮風みたいに、一つの現象として心地よく通り抜ける。

これは推測だけれど、多分、彼女の中で最も大きな関心ごとが島のことなのである。
それがボーカルとして一般的には発揮できないはずの魅力につながっている。

福永は、底土のカラカラ鳴る海辺や、八丈富士のカルデラ湖に行ったことがある現在の人生を
非常に好ましく嬉しいものとして捉えている。

____________________

2021.06.23リリース
福永健人1st EP「No.23」
「07.橘」にボーカルで参加してくれた、moegi氏の紹介でした。

八丈島直産の透き通った歌声をありがとう!

No.23特設ページはこちら

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「No.23」セルフライナーノーツ(全曲解説、制作エピソードなど)




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