"The End of Yesterday" を聴いて。
16年。人気絶頂の最中に突如として休止した伝説的なバンド、ELLEGARDENが、前作のアルバム"ELEVEN FIRECRACKERS"(2006)を出してから今日に至るまでの年月。
私にとっては長いようでいて、あっという間だった気もします。
今こうしてまたELLEGARDENの6枚目となる新アルバムを手にしている事にどういう思いを抱けばいいのか分からないけれど、一通り聴いてみた感想をまとめて書き残しておきたいと思います。
的外れな事を書いているかもしれませんが、あしからず。
全11曲の第一印象
Mountain Top
9月9日に先行配信されたこの曲がアルバムの第一曲目。
歌詞にはファンにとって大事な曲「No.13」と対比させられるようなワードが散りばめられていて、細美さん自身はそれを意識して書いたわけではないと言うけれど、結果的にどういうわけか上手いこと綺麗にピースがハマっているという不思議な曲。
細美さん達の覚悟や決意が込められたこの曲が一曲目として間違いないなと思いました。
ちなみに私は既にこれでもかという程に聴いているので歌詞もフル暗記してしまっています(笑)
Breathing
先行配信曲を除けば、この曲が実質的にアルバム最初の一曲となる為、かなりドキドキしながらパソコンから流れてくる音に集中していました。
最初の音が鳴ってイントロの数秒で私は完全に心を掴まれ、それと同時に「勝ったな……」と某国民的人気アニメのキャラクターばりにこのアルバムの出来が良いものであると確信した曲となりました(笑)
事前に音楽雑誌のインタヴューを読んでこの曲のあらましは何となく掴んでいましたが、イントロからAメロまで敢えてそのまま変化しないドラムの印象が強く、裏拍で入るギターのリフがシンプルながらバチクソに良い。
その上で、テンポの早い激しめなサウンドに乗る「I dream, I swing, I fly.」というゆっくりとしたメロディーラインがカッコよすぎて、聴いていて思わず笑みがこぼれました。
ダークファンタジー
意外、というのが最初の印象。
ワンオクのTakaが「細美くんは"らしくない"と思うかもしれないけど、このくらいやりきった方がいい」と推した事で入れることにしたという一曲。
聴いていると意外ではあるものの、どこかエルレを感じるような気がして、「あぁ、これが"今の"エルレなんだなあ…」と凄く納得出来る曲でした。
Strawberry Margarita
こちらも先行配信曲として事前に発表されていた一曲。
BPM高めだけれどハードじゃない印象なのでアルバムの中でここに入ってるのが丁度いい気がしました。
タイトルは実際に存在するカクテルの名前で、MVやジャケットに登場するイチゴのスニーカーがとてもアイコニックなモチーフで、後述する「チーズケーキ・ファクトリー」と併せて、ファンにとって意味を持つアイテムが増えたような気がします。
ちなみにこれも歌詞をフル暗記しているので、ふとした瞬間によく口ずさんでいます。
Bonnie and Clyde
この曲を最初に聴いた時の感想は「なんだかアメリカの若者っぽさを感じる」というものでした。
リフやBメロはエルレっぽいものの、サビは予想と違って「そうくるのか」という方向に展開していった印象。
インタヴューを読んでどういう曲なのか少し構えていましたが、思ってたよりも全然好きな感じかもしれないです。
タイトルは同名の映画からきているようなので、そのうち観てみようかな。
瓶に入れた手紙
めっちゃいいバラードです。
「金星」だとか「風の日」だとかそっち系の曲で、またこういうテイストの曲があるのが素直にいいなと思えました。
Bメロからサビに入る「…..〜夜に」のとこが妙に好きです。
アルバムジャケットのイラストイメージはこの曲からきているみたいですね。
Firestarter Song
入りからかなりハードというか、Led Zeppelinみたいだなと思っていたら雑誌のインタヴューで本人達もそう感じていたらしく、アレンジ中に「immigrant song」みたいになりかけたとか。
私の感覚は間違ってなくてちょっと安心しました。
聴いていると自然と身体が動いてしまう曲で、個人的に Bメロ部分が好きなので早く覚えてカラオケで歌いたいです。
チーズケーキ・ファクトリー
これはもうめっちゃ好きです。
可愛いし、いいメロディだし、ギターソロはかっこいいし、一回聴いただけで絶対みんなも好きだろうなと思いました。
サビに入る前のフレーズがキャッチーなので「Pizza Man」みたいにライヴではみんなでシンガロングしたいなと、新アルバムツアーが楽しみになりました。
10am
凄くかっこよくて今回のアルバムで一番好きかもしれないです。
この曲は昔のアルバムに入っててもおかしくないくらいエルレを感じられて、でも昔とは全く違う空気感をまとっていて、今のエルレが過去の自分達のコスプレではなく、その延長線上の進化した先にちゃんと立っているんだな、というのが分かる一曲のように思いました。
「Make sure the sa↑fety is off.」のところが狂おしく好きです。
ちなみにこの記事をまとめている現在、既に歌詞を覚えました(笑)
Perfect Summer
悪い意味ではなく、これは全くエルレっぽくないなと思いました。
お洒落なサウンドで、聴けば聴くほどに味が出てくる感じなので多分スルメ曲です。
サビ終わりに少し長めに一回仕切り直す感じが、ちょっと他とは違う構成だという感じがします。
サビで裏に入ってるドラムスティックの"コッ"という音が何故か個人的にくすぐられたポイントです。
Goodbye Los Angeles
これは締めの一曲にふさわしいですね。
細美さんが最後の最後に作った曲で、アルバムのタイトルにもなっている歌詞の「Till I come back to the end of yesterday」ってフレーズが凄くいい。
そしてマウトプとグバロスでアルバムの始まりと終わりが完璧なものになっている気がします。
総評
私は音楽的な事はあまり詳しくわかりませんが、「もし微妙だったらどうしよう…」と不安になりながら待っていたのがおかしく思えてしまうくらい、ちゃんといい曲がたくさんあって安心しました(笑)
その一方で、5thのような破滅的なサウンドを期待していて、それと比べて微妙だったとおっしゃる方がチラホラといらっしゃる事もなんとなく分かります。
ただ、彼らのインタヴューを読んだり、ライヴMCやドキュメンタリー映像での発言を聞いていると、
「5thのような曲は作ろうと思えば出来たけれど、それだとただ過去の自分達を演じているだけのコスプレになってしまう。そうではなくて、現役のバンドとしてELLEGARDENを演る。新しい物を見せてやるよ。」
というような細美さんの気持ちが出ていたアルバムのように感じました。
以前のインタヴューで細美さんは「6thで最後」という旨の発言をしていましたが、守護天使・スコット氏曰く「絶対これが最後じゃないよ」という事なので、私は7thアルバムへ向けて更なる進化を期待しています。
そう思わせてくれるアルバムでした。
了