【初心者向け】アメリカンフットボールのルール解説
こんにちは、ケント・ナガヤです。
僕はアメリカンフットボール(以下、アメフト)というスポーツを見るのが好きです。
アメリカで最も人気のあるプロスポーツリーグ「NFL」の動画はいつどの試合を見ても面白いと感じます。
また、日本の社会人リーグ、大学生リーグなど、時間がある時によく動画を見ています。
でも、アメフトは日本ではマイナーな部類のスポーツです。
このアメフトの愛をみんなに伝えると、「ルールを教えてほしい!」という声をよく聞くようになりました。
今回、難しい部分を割愛した初心者向けルール解説をまとめてみました。
少し長い文章ですが、気になった方はぜひ最後まで読んでイメージしてみてください!
そんな僕は、アメフト経験ゼロです。
好きになってからも5年程度なので、必死にルールを覚えていた頃の記憶はあります。
そんな自分を思い出しながら、ネットの解説だったり、解説書を参考にまとめてみました。
余談ですが、かつてNHK教育テレビ「天才てれびくんMAX」という番組で「紙フトタッチダウン」というゲームをやっていたのを覚えているでしょうか。
あのゲームはアメフトのルールを参考につくられたものです。
思い出せた方は、紙飛行機をボールに置き換えてこれからの文章を読んでみてください。
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そもそもアメフトってどんなスポーツ?
アメフトとは、一言で言ってしまえば、サッカーを複雑にしたスポーツです。
サッカーでの役割は、アメフトでは以下のように変わります。
ゴール → エンドゾーンorフィールドゴール。
ボール → 楕円形のボール🏈
蹴る → 手に持つ。
パスやドリブルでゴールを目指す → パスやランでゴールを目指す。
サッカーでいいじゃん?!と失礼な考えも浮かんできたかもしれませんが、アメフトにはルールだけでは語れない魅力があるのです。
戦術や時間の使い方など、身体の大きな選手がとても緻密なことをやっています。
見れば見るほどハマってしまう。アメフトはそんなスポーツなのです。
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簡単なルール解説
解説書に掲載してある基本ルールを抜粋してみます。
端的にまとめられているものの、いまいちイメージがしづらいかもしれません。
以下の解説を読んだ後に改めて振り返って理解していただければと思います。
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導入
まずアメフトにはオフェンス(攻撃側)とディフェンス(守備側)という考え方があり、チーム内で選手がそれぞれのポジションに分かれているだけでなく、試合中も[自チームのオフェンス&敵チームのディフェンス]、[自チームのディフェンス&敵チームのオフェンス]という組み合わせで出場します。
オフェンスとディフェンスが分かれて別々に出場する、という点は野球をイメージしてもらえればいいかと思います。
オフェンスはボールを持ってゴールを目指し、ディフェンスは相手チームから様々な方法でボールを奪い取ったり、邪魔をします。
フィールドには両チームそれぞれ11人の選手が同時に出場できます。
攻守交代は試合中頻繁に行われ、その度にオフェンスとディフェンスのそれぞれの出場選手がごっそり入れ替わります。選手交代の人数制限はなく、一度引っ込んだ選手が再度出場することも可能です。
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フィールド
試合が行われるフィールドはこのような感じです(画像出典:アラサーDINKSのNFL観戦記)。
サッカーのフィールドとほぼ同じなので、サッカー場で開催することもできます。日本では野球場で行うことも多いです。
端から端まで100ヤード(91.4メートル)。その先にエンドゾーン(濃い緑色の場所)と2本のポールがあります。
右から左、または、左から右に向かって進みます。
基本的にオフェンスの選手はボールを持って走ったり、味方選手に向かってボールを投げて、エンドゾーンを目指します。
ボールを持って走ることを「ラン」または「ラッシュ」と言い、ボールを味方選手に投げて渡すことを「パス」と言います。
この基本的なルールはラグビーに非常に似ていますが、アメフトはラグビーと違って前に向かってパスすることが出来ます。
ちなみに50ヤードを境に、目指すエンドゾーン側を「敵陣」、反対の守る側を「自陣」と言い、「エンドゾーンまで残り80ヤード」のことは「自陣20ヤード」と言ったりします。
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攻撃
一番肝になる攻撃について。
基本的には前述の通り、オフェンスの選手がボールを持ってゴールを目指します。
攻撃が始まり、パスやランでボールを動かし、選手が持ったボールが地面に着くか、ボールを持った選手の背中が地面に着いたら「一旦停止」となります。一旦停止すると、残り時間のタイマーが停止します(ただし例外あり)。
そこで重要になってくるのが攻撃権(ダウン)という概念です。
アメフトには、オフェンスは1度の攻撃権で10ヤード前進しなければならない、という決まりがあります。
攻撃権は4回のチャンスが与えられており、それぞれ1回目をファーストダウン、2回目をセカンドダウン、以後サードダウン、フォースダウンと言います。
それぞれ、最後にボールが停止した位置から次の攻撃が始まります。
先ほどの「攻撃が始まり〜一旦停止」までが一回の攻撃権となります。
4回あるチャンス内で、(ファーストダウンが始まる位置から)10ヤード以上前進する(エンドゾーンに近づく)ことができれば、また新たにファーストダウンから攻撃が始まります(これを「ファーストダウン獲得」と言う)。
これは小刻みに前進することもできます。
例えば、ファーストダウンで5ヤード前進、セカンドダウンで(ファーストダウンの位置から)2ヤード前進、サードダウンで(セカンドダウンの位置から)4ヤード前進した場合、ファーストダウンの位置から11ヤード前進したことになり、次の攻撃へと継続されます。
アメフトの基本的な攻撃はこの繰り返しになります。
オフェンスの選手はパスに失敗(アメフト用語:不成功 / インコンプリート)してボールを落としてしまうこともありますが、その場合は再度同じ場所から攻撃を開始し(次の攻撃権)、フォースダウンまでに10ヤードを越えられればファーストダウン獲得で次の攻撃に続きます。
攻撃位置から後退した位置(目指すエンドゾーンとは逆方面)で攻撃を終えてしまう(例えば、タックルされて倒れてしまう)と、その分次のファーストダウン獲得までの距離が長くなってしまいます。
例えば、ファーストダウンで3ヤード後退した位置でタックルされ倒れてしまうと、セカンドダウンからフォースダウンまでの内に最低13ヤード前進しなければならなくなります。
フォースダウンまでに10ヤードを越えられなかった場合(ファーストダウン獲得できなかった場合)や、パスで敵チームの選手にボールを取られた場合(アメフト用語:インターセプト)は、攻守交代となって敵チームに攻撃権が移ります。
通常、サードダウンが終わり次のフォースダウンでファーストダウン獲得が厳しそうだったら、フリーキック(パスせずに遠くに蹴る)をして攻撃権を譲ることが多いです。これは、フォースダウンでファーストダウン獲得に失敗すると、その地点から相手の攻撃が始まってしまうためです。
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得点
得点方法は大きく2パターン、タッチダウンとフィールドゴールがあります。
■ タッチダウン(得点:6点)
パスやランでエンドゾーンにボールを持っていくことをタッチダウンと言います。
アメフトは、ラグビーのようにボールを地面につける必要はありません。
オフェンスの選手がボールを持ってゴールラインを越える、または、エンドゾーンにいるオフェンスの選手へボールを渡せばタッチダウンとなります。
このタッチダウンの瞬間がアメフトで最も盛り上がる瞬間です。サッカーのゴールや野球のホームランだと思ってください。
なお、アメフトにはサッカーでいうオウンゴールの概念は無く、オフェンスの選手がエンドゾーンにボールを持っていくことのみをタッチダウンと言います。
タッチダウンを取った後には、「PAT(ポイントアフタータッチダウン)」という追加点を獲得できる方法があります。チームは状況に応じて以下から選択します。
・ゴールライン前15ヤード地点からフィールドゴールを決めるキック(得点:1点)
・ゴールライン前2ヤード地点から再度攻撃を開始してタッチダウンを決めるツーポイントコンバージョン(得点:2点)
タッチダウンはこのPATと合わせた得点を獲得できます。PATでプレーを失敗してしまったら得点は6点のままです。
なお、解説で「タッチダウンで7点獲得」という放送を聞くことが多いかもしれません。これはPATではキックを選択し7点を取る場合が大半であることから、PATを含めた点数として言っています。
■ フィールドゴール(得点:3点)
エンドゾーンの端にあるポールの間を目掛けてボールを蹴り、入れることができればフィールドゴールになり3点が入ります。
フィールドゴールを目指して蹴る位置に決まりはなく、オフェンスの選手は何ヤードの地点からでも蹴ることができます。
フィールドゴールは、タッチダウンを取りづらい状況で使用されることが多いです。
この他、セイフティ(得点:2点)というディフェンス中のアクシデントにより点が入る方式もありますが、今回は割愛します。
・タッチダウン+PATキック=7点
・フィールドゴール=3点
の2つがオーソドックスな得点パターンです。
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時間
アメフトの試合時間は、4クォーター制で各15分。合計60分です。これは大学だと各12分、などグレードや組織によって変わってきます。
クォーター(英語で1/4を意味する)は、「前半と後半」ではなく「4つに分かれている」という感覚で大丈夫です。
それぞれ第1クォーター(1Q)、第2クォーター(2Q)〜第4クォーター(4Q)と呼びますが、1Qと2Qを合わせて「前半」、3Qと4Qを合わせて「後半」と呼びます。
ひとつひとつのプレー(ダウンなど)が終わるごとにタイマーを止めるので、実際の試合時間は60分よりはるかに長く、大体1試合で2時間半〜3時間以上かかります。
これは試合時間が正確なサッカーやバスケなどのスポーツと大きく異なる点です。
1Qと2Q、3Qと4Qの間はすぐに次のクォーターへ移ります(サッカーのように攻撃する向きが入れ替わります)。また、前半と後半の間(2Qと3Qの間)には「ハーフタイム」と呼ばれる休憩時間があり、ハーフタイムショーなど華やかな演出があったりします。
また、同点の場合はオーバータイム(OT)という延長戦があります。
アメフトはこの時間の使い方によって、大きくプレーが変わったり、ドラマが生まれます。
残り1分でも10点差以上がひっくり返ることのある恐ろしいスポーツでもあります。
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ポジション
個々の選手にどのような役割が振られているかについて解説します。
先ほども書きましたが、アメフトは両チームそれぞれ11人の選手が出場することができます。それぞれの選手には固有の役割があり、誰でもなんでもやっていい、というわけではありません。
サッカーではゴールキーパーのみ手を使えますが、アメフトはそれらがもっと厳格化されているイメージです。
みんなユニフォームは同じなので、審判は選手の背番号を見てルールが守られているかのチェックをします(アメフトのユニフォームに背番号が前面にも書かれているのはそのため)。
ポジションはオフェンスチームとディフェンスチームで以上のように分かれています(出典:Wikipedia)。
※ここでチーム、と書いたのは3つめのチームがあるからです(後述)。
以下の文中は英文字の略称で記載し、また図にあるポジションは一部以下のように変換したいと思います。
・Q→QB(クォーターバック)
・FBとHB→合わせてRB(ランニングバック)
・OTとOGとCとTE→合わせてOL(オフェンシブライン)
・DEとDT→合わせてDL(ディフェンシブライン)
・OLBとMLB→合わせてLB(ラインバッカー)
・CBとFSとSS→合わせてDB(ディフェンシブバック)
アメフトのポジションの名称は複数あり、またシチュエーションによっても変わってくるので、ここでは一つの例として紹介します。
オフェンスチームによる主な攻撃パターン(一回の攻撃権内のプレー)は以下の流れです。
①C:ボールをQBに渡す(投げる)
②OL:的チーム(ディフェンス)が自チーム(オフェンス)に向かって攻め込んでくるのをブロックする。
③QB:フィールド上にいるWR、TE、RBに向けてパスを投げる。または、RBにボールを渡す。または、QB自らがランで前進する。これらのどれかを行います。
④選手が持ったボールが地面に着くか、ボールを持った選手の背中が地面に着いたら一旦停止となる(攻撃権終了)。
これらの繰り返しになります。
QBは、運動能力、判断能力、リーダーシップなどが求められているアメフトの花形であり、もっとも習得の難しいポジションと言われています。
(「花形度」で言えば、野球のホームランバッター、サッカーのエースストライカーより遥かに高い!)
WRは、QBが投げたボールをキャッチする。
RBは、QBからボールを渡されてランで前進する。
OLは、ボールは持てないが敵チーム(ディフェンス)から自チーム(オフェンス)の選手を守る。
TEは、場合に応じてWRになったりOLの一員になったりする。
以上のように、ボールを持てるポジションは限られている、という点が特徴的です。
オフェンスと言いつつ、OLはディフェンスが攻め込むのをブロックするので、実質の役割は守備になるのが面白いところですね。
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対してディフェンスチームは、敵チーム(オフェンスチーム)を攻め続けてボールを奪い取ります。
DLは、最前線で敵チームのOLと対峙しながら、敵チームのボールを持った選手やボールがパスされそうな選手を攻めます。
LBやDBは、敵チーム(オフェンス)を妨害し、パスやランの邪魔をしたり、敵チームの選手を倒したり、ボールを奪い取ります。
ディフェンスの守り方はオフェンスの形態や状況によって大きく変わります。
また、QBをタックルで倒すこともある(アメフト用語:サック)など、目立たないポジションながら自由度で高く、大きなプレーを仕掛けられることができます。
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アメフトのポジションはオフェンスチームとディフェンスチームだけでなく、スペシャルチームという役割も存在します。
フィールドゴールを蹴る時であったり、フリーキックの時に登場する専門の選手です。
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以上がアメフトのポジションになります。どちらのチームももっと細かい役割があるのですが、ざっくりこのくらいは理解していれば大丈夫かなと思います。
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試合の流れ
長くなってしまいましたが、ここまでわかれば大体OKです。
ここでは簡単に試合の流れについて書きます。
先攻後攻はコイントスによって決められます。
大きな大会では著名人がコインを投げたりします。野球の始球式よりハードルは低いですね。
試合開始はキックオフから始まります。後攻になったチーム(ディフェンス)が自陣30ヤードからボールを蹴って、そのボールをオフェンスがレシーブ(キャッチするか拾う)したところから試合が始まります。
これは後半(3Q)の攻撃開始や得点が決まった後の攻撃も同じです。
蹴ったボールがエンドゾーンに行ってしまうと攻撃側チームの自陣20ヤード地点から開始となるので、蹴る際の加減にも気をつけなければなりません。
試合を開始した後は、攻撃(パス→ダウン獲得)を繰り返したり、攻守交代をして、得点を重ねていくことになります。
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スコアボードの見方
ここで実際にスタジアムに行った際に目にする、スコアボードについて簡単に見方を紹介します。これは東京ドームで行われた試合のスコアボードになります。
TIME OUTは、「タイムアウト」と言って両チームに前半(1Qと2Q)、後半(3Qと4Q)それぞれ3回ずつ与えられている小休憩の時間です。
チームは、試合中にタイムアウトを取って、戦略を立て直します。タイムアウトは誰が取ってもよく、取らないまま試合を終えても大丈夫です。
TIMEは、一クォーター終了までの残り時間です。
サッカーでは開始からの時間を表示しますが、アメフトでは残り時間を表示するので、15:00からだんだん少なくなっていきます。
QUARTERは、現在何クォーター目であるかを表しています。
DOWNは、現在の攻撃権(ダウン)が何回目かを表示しています。
TO GOは、次のファーストダウン獲得までのヤード数です。
BALL ONは、エンドゾーンまでの残りのヤード数です。51ヤード以上の表示はなく、自陣にいる場合は、自陣でのヤード数となります。
試合中は、スタジアム内もプレー解説の声が響き渡ります。
スタジアムにいる人もテレビ観戦をしているように解説を聞くことができます。実態は、解説がないとどんなプレーかわからないことによるものです。
審判のジャッジは、本人がピンマイクを付けているため、スピーカーから直接判断内容が選手や観客に伝えられます。
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まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。とても長文になってしまいましたが、以上がアメフトのルール解説になります。
とは言いつつも百聞は一見にしかず、ルール等は実際に試合を見ていく中で覚えるのがいいかなと思います。
アメフトの醍醐味は緻密な戦術にあります。
QBはどこにパスを投げるか、どこに向けて走るか、といったことだけでなく、
QBにパスを投げる場所を考えさせるためにTEも加わってOL全員で守り、多くの時間を稼いだり(アメフト用語:パスプロテクション)、
WRがひたすら走り、事前に両者で決めた地点に向けてQBが投げ、そのタイミングでWRが取ったり、、、
あらゆる方法でパスを通したり、ランを成功させたり、得点を獲得していきます。
もちろんディフェンス側もあらゆる戦術を重ねてボールを奪いに行きます。
試合をフルで見なくても一つ一つのプレーであればYouTubeにたくさん動画が載っています。
そこからアメフトのルールをより深く身に付けたり、アメフト自体への興味を深めていただけたら嬉しく思います。
日本には高校生や大学生リーグ、社会人によるXリーグなどがあり、主に冬季に行われています。また、アメリカのプロリーグのNFLはBSやCSでも中継されてます。
これを気にぜひご覧になってみてはどうでしょうか。
【参考】
http://americanfootball.hatenadiary.jp/entry/2017/05/27/
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ケント・ナガヤ
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