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Google翻訳が133言語のサポートを始めて

言わずもがな、テクノロジーの進化は素晴らしいものです。かつて不便を強いられていたものも、テクノロジーによって解決された事例が後を絶ちません。そうした中でも最も人々の生活に根付いたものに、翻訳サービスが挙げられると思います。

かつて英語の文章を翻訳するには、辞書を片手に一つ一つ理解しながら進める必要がありました。もちろん、英語を学ぶ人にとっては今でもその方法が主流ではあるものの、スポットで何かを探したい人にとってはその作業はとても手間のかかるものでした。インターネットが普及したことで、日本にも大量の英語で書かれた情報が手に入るようになり、アルファベットは日本語の文字よりも一文字に対するバイト数が少なく、情報のやりとりが身軽にできるため、多くの人たちは情報量の薄い日本語を避けて英語の情報を検索しにいっていました。日本語の情報も充実してきたものの、英語には遠く及ばず、現代では英語が事実上の世界標準言語となっています。

そんな中で機械による翻訳サービスが誕生しました。最初の頃はソフトウェアを購入する形で、辞書と紐づいた一対一の翻訳を行っていました。2000年代初頭に開始したサービスも徐々に精度を上げて行き、2006年にはGoogleがウェブサイト上で利用できる翻訳サイトという形で本格的なサービスを開始し、世間に翻訳サービスが認知されていきます。また、AIのディープラーニングが導入されて以降は、自ら学習を行っていくことで精度が劇的に上がり、現在に至っています。

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そんな翻訳サイトで、現在主流となっているのが「Google翻訳」と「DeepL翻訳」です。少し前まではGoogle翻訳の一強だったものの、2017年に開始された新興勢力のDeepL翻訳がその精度の高さによって、次第に利用者が増え、現在の二大勢力となっていきました。

私見ではありますが、それぞれの主な特徴として以下のことが考えられると思います。

【Google翻訳】
Googleという巨大なプラットフォームが運営していることによって親和性がとても高い。特にChromeの拡張性を利用した使いやすさにより、ストレスなく翻訳できている。加えて、対応できる言語の数が多く、一部族の言語のような話者が少ないニッチな場面でも利用できる。日本語の翻訳結果については、文章の滑らかさよりは適切な辞書翻訳が踏襲されている。

【DeepL翻訳】
そもそもは、ドイツのGmbH(ゲーエンベーハー)という企業が開発したLingueeというディープラーニングによるオンライン辞書のサービスが元になっている。翻訳精度が高く、日本語の翻訳結果をそのままビジネスメールに添付できる文章の滑らかさがある。ただ、複数の意味に取れるような文章においては、一つの誤訳が大きく文意を変えてしまう危険性もある。

どちらにも特徴があり、現在僕は主にDeepL翻訳を利用しているものの、場合に応じてGoogle翻訳も利用するといった使い分けを行っています。

今回はそのGoogle翻訳が持つ、対応言語の多さについて深掘ってみたいと思います。

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2022年5月、Google翻訳は新たに24言語のサポートを始め、現在では世界133もの言語を翻訳できるようになりました。DeepL翻訳の28言語と比べるとその多さが一目瞭然です。

そもそも世界にどれほどの数の言語があるか想像できるでしょうか?190ほどの国があるとは知っていても、言語の数は想像もつかなく、それより多いということくらいはなんとなくは感じられるのではないでしょうか。

調べたところ、一説には世界には6900もの言語があると言われています。日本のように一国一語の国ではわかりづらいものの、アフリカやオセアニア、西アジア、東南アジア、ラテンアメリカなど原住民が多く暮らしているような地域では、国という単位ではなく、部族という単位で言葉が存在し、同時に人々はいくつもの言語を習得し、使い分けています。

僕が住んでいるフィリピンも、公用語としてフィリピン語(タガログ語)と英語が設定されているものの、多島国という地域柄、島ごとに固有の言語が存在しています。例えば、観光客が多く訪れる中部のセブではセブアノ語という固有の言語が存在し、人々はフィリピン語、英語、セブアノ語の3言語を使い分けることができます。これらは日本の標準語と関西弁のような方言の差ではなく、まったく別個の言語だそうです。余談ですが、このセブアノ語はスペイン語の影響を受けているため、セブの人たちは一部のスペイン語も理解できるそうです。

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ところで、6900には遠く及ばないものの、Googleが133もの言語をサポートするようになってどのような効果が現れたのでしょうか。

先日のニューヨークタイムズの記事に興味深い記事が掲載されていました。

Google翻訳が、南米の一部地域で使われている「ケチュア語」のサポートを開始し、ケチュア語を使う人々は喜びに溢れたそうです。このようなローカルな口承言語でも、Google翻訳という巨大なプラットフォームで利用できることで、人々が「私はここにいる、と世界に宣言している」気持ちになったと言います。

一般的な感覚では、南米ではスペイン語とブラジルのポルトガル語が使われている、としか認識することはないかと思います。しかし、よく見てみると、そこにはもっとたくさんの言語が存在しています。今回のケチュア語のように、Googleが一言語としてサービスを開始することによって、彼ら自身のアイデンティティが強化され、また縁がなかった他国の人々もその存在を認識するひとつのきっかけになったと思います。

Googleは「世界中のコミュニティをつなぐ」ために、今日も情報と技術を結集させ、世界の人々の存在感を高めています。

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最後に僕の意見を少し言うと、翻訳サービスの対応範囲や精度がどれだけ向上しても、その言語を話せるに勝ることはないと思っています。

外国人と話す際、いくら翻訳サービスを使って意思疎通ができても、「自分の気持ちを自分の言葉で話す」という体験で得られる価値が最も貴重だと思います。話している相手の気持ちは自然と伝わるように、いくら下手な言葉でも伝えようと思えば伝わるものです。僕はそのために日々英語を学んでいます。今後、そういった翻訳サービスは適時利用しながらも、言語習得に向けて努力してくことで、世界が開け、自分の可能性も広がるんじゃないかと思っています。

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