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ニシエヒガシエ

10日間で6試合。
今シーズン始まってからの私のプロ野球観戦数である。

関西を離れることが決まり、気軽に野球を見に行けなくなる環境になる為…かどうかは分からないが、気づけば怒涛の勢いで野球を見ている。

3/29-31 阪神vsヤクルト
4/4 オリックス vsソフトバンク
4/6 阪神vsソフトバンク(2軍)
4/7 堺シュライクス vs 兵庫ブルーサンダーズ(関西独立リーグ)

…行きすぎな気もする。明らかに登板過多である。
春先に飛ばしすぎて、6月あたりに登録抹消される…なんてことはないようにしたい。

今回は、そんな6試合のうち関西独立リーグの試合について書いてみたい。

噂には聞いていた。
堺に独立リーグのチームができると。

試合の日程を調べるとちょうど行けそうである。まぁ行ってみるか。近いし。

事前に知っていたのは監督が元近鉄の大西宏明、投手コーチが元横浜の藤江均であることと、オリックスの育成にいた選手が在籍しているらしい。
以上。これだけ。

せっかくなのでちょっと調べてみた。
シュライクスというのは、英語で百舌(もず)という意味だという。百舌はシュライクスの本拠地である堺市の鳥である。

また、堺には南海ホークスの2軍の練習場だった中百舌鳥球場があったり、南海ホークス移転計画があったりと、堺とプロ野球の間には長い歴史があるようだ。

そんな堺にできた1939年の南海軍以来のプロ野球チーム。
俄然興味が湧いてきた。

プレーボールは17:15。
久しぶりに球場でスコアを書きながら観戦してみよう。選手を覚えるにはうってつけの方法だ。
試合中のんびりご飯でも食べるかと弁当とお茶を買って球場へ向かう。

住之江公園野球場。
初めて訪れたが、想像よりもずっと立派な球場だ。

入場料を払いチケット・・・ではなく渡されたのは「トング」である。
パンやパスタをつかむ、あの「トング」である。

「再入場の際はお見せください」と言われたので、入場券の代わりらしい。
なかなか面白い。

自由席だったので、バックネット裏の最前列に陣取る。
せっかくなので堺シュライクスを応援しようと思い、彼らのベンチがよく見える3塁側寄りに座った。
京セラドームでこの席だといくら取られるのだろうかなどど考えていると、オーダー交換が始まった。

堺シュライクスの本拠地開幕戦だからか、ハイタッチをして選手たちが入場してくる。

堺シュライクスの先発は、野井優星。
選手名鑑によると

左のリリーフの切り札として他のチームに立ちはだかる。寮では「シェフ野井」として食の切り札となっている。

どうやら野井投手は料理上手らしい。

しかしシェフ野井、1番、2番に連続で死球で出塁を許してしまう。藤江コーチがマウンドへ向かう。

これはまずいなと思うのと同時に、私は大変なことに気づく。

弁当を食べている暇がない。

スコアを記入していると、1球1球に目が離せない。イニング間も前の回の投球数の集計、シートの変更など書き込むことは多いのである。
困ったななんて思っているうちにあっという間に3失点。
うーん。なかなか厳しい。
いつも見ている東京のあのチームもよく序盤でバタバタっと点を取られる。よく見る光景である。 その分終盤の逆転劇も多いのだが。
きっとシュライクスもそういうチームなのだろう。うん。

正直、NPBと比べてしまうと技術的にはどうしても劣る。
速く強い打球はエラーしてしまうこともあるし、フライが上がると怖い。気持ちが切れているときのバレンティンの守備くらい怖い。

それでも間近で見るからこそ感じられる
ネクストバッターズサークルでの素振りの音や、バットがボールをとらえたときの打球音は迫力十分である。
そしてベンチからの声もよーーく聞こえる。

3塁側よりの席に座ったので、ブルーサンダーズベンチからの声が特に聞こえる。

小山やぞ!小さい山やぞ!
花粉症やぞ!花粉を飛ばせ!

うん。まったく意味が分からない (笑)。
こんな声が聞こえるのも選手と観客の距離が近い独立リーグの良さかもしれない。

試合は乱打戦となり、堺シュライクスは6人の投手をつぎ込むも、最終的には12-8で敗れてしまった。

それでも初回の連続死球からの3失点から考えると、大健闘ではないだろうか?

試合開始前は1人も名前を知らなかったが、気づけば気になる選手がたくさんいた。

・兵庫Bs 今井 寿希也
粘る、ものすごく粘る。こういう選手はスコアラー泣かせなのだ。

スコアは、この赤丸のスペースに一球ごとに見逃しのストライク、ボールetc...と記入するのだが、当然球数が多くなってくるとスペースがなくなってくる。
ちなみに、この試合で3度、スペースが足りなくなった。

・兵庫Bs 周人

変則的な投げ方をする投手で、球に勢いが感じられた。
点差があったせいか、盗塁は完全にフリーパスといった感じだったが…

・兵庫Bs 甘露寺 仁房

まず名前がカッコいい。
甘露寺やぞ!甘露寺!(兵庫Bsヤジ風)
この日は大当たり。3安打2打点の大活躍。

・堺Sh 中道 勝士

監督・コーチを除いてチーム唯一のNPB経験者。
さすがに打席での風格が違う。何かやってくれるんじゃないかと期待させられる。

・堺Sh 謙太

ベンチから「けんてぃ!」と声が飛んでいた。
勝手に親近感を覚えてしまった。


試合が終わり球場から出ようとすると、何やら出口付近で声が聞こえる。
先ほどまで試合をしていた選手たちが出迎えているのである。
「ありがとうございました!」と観客1人1人に声をかけている。
試合が終わったばかりで疲れているだろうに、頭が下がる。

独立リーグはプレーする環境としては、恵まれているとは言えない。
関西独立リーグは、野球をする経費や住居などは球団持ちだが、選手には給料を払っていないという。
7日の試合でも、イニング間のグラウンド整備では、選手自らトンボがけを行なっていた。

家に帰って選手名鑑の経歴を眺めていると、複数のチームや海外でのプレーを経験している選手が多いことに気が付いた。

野球が好きでプレーする環境を求め文字通り西へ東へ。彼らの努力が実を結ぶ日が来ることを願ってやまない。

NPBを目指し、日々泥にまみれる選手を追いかける。
そして、追いかけていた選手が見事NPB入りした日には…
その喜びは想像もつかない。

球場で食べそこなった弁当を食べながら、そんな野球の見方も悪くないなと思った。

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