ドバイ首長国を知る
1.基本情報
①建国 :1833年
②首長家:マクトゥーム家
③首長 :ムハンマド・ビン・ラーシド首長
④首都 :ドバイ
⑤産業 :建設、金融、サービス
建国から約200年!
ドバイはかつて、真珠産業や海洋交易を営む小さな漁村でした。そこに現在の首長家のマクトゥーム家がドバイのクリーク(運河)沿いに移住してきたのは1833年のことでした。
事実上、クリーク沿いの都市国家の様相を呈していたドバイは、その後オマーンから東部のハッタを獲得して東部にも進出することとなります。
世界一への試み
1995年にドバイ皇太子に任命されたシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム(※シェイクは敬称)は、ドバイを世界一の都市にすべく、斬新なプロジェクトを次々と打ち出しました。
皇太子の時代に、競馬の祭典ドバイワールドカップ(1995年)、7つ星リゾートホテル「ブルジュ・アル・アラブ」(1999年)、屋内スキー場「スキー・ドバイ」(2005年)などを実現しました。
2006年に首長に就任したあとも、世界一の高層建築物「ブルジュ・ハリファ」(2010年)などドバイの魅力を引き上げる都市開発は続けられ、今ではビジネスの世界だけでなく、世界屈指のリゾート地としても注目を浴びています。
世界から集まる外国人
ドバイは世界各地からビジネスチャンスを求めて人が集まっています。その多くは所得の低いインドやパキスタンなどからの出稼ぎ労働者ですが、不動産など事業を手掛ける富裕層も多くいます。
在留邦人の存在感は薄いものの、5000名近くの邦人が暮らしており、その人口は中東アフリカで最も多くなっています。
また、職種によって人種が分かれる傾向にあり、建設労働者やタクシー運転手は南アジア系、レストランのウエイターはフィリピン人が多い傾向にあります。
2.UAE最大の都市ドバイ
ドバイ首長国の首都ドバイは、UAE最大の都市となっており、中東の金融センターとしての地位を確立しています。
ドバイは東西に細長く広がっているため、1日で回り尽くすのはまず不可能です。エリア別に特徴があるので、それぞれのエリアを見ていきます。
デイラ
ドバイの東部に広がるエリアで、特にクリーク(運河)沿いに伝統的な市場(スーク)が広がっています。インド系やイラン系などの住民が多く暮らしており、異国情緒漂うエリアとなっています。
☆主な見どころ☆
1.スパイス・スーク
2.ゴールド・スーク
アル・ファヒディ
デイラとはクリークを挟んで面するエリアです。ドバイ首長家が最初に定住した場所で、歴史的な雰囲気が色濃く残されています。
☆主な見どころ☆
1.アル・シンダガ地区
2.テキスタイル・スーク
3.ドバイ博物館
4.バスタキヤ地区
ザビール
ドバイの旧市街と新市街のちょうど中間に位置するエリアで、首長家の宮殿や美しい公園があることで知られています。
☆主な見どころ☆
1.ドバイ・フレーム
2.ドバイ・ガーデン・グロー
3.ザビール宮殿
ダウンタウン・ドバイ
ドバイの経済発展の象徴とも言えるエリアです。ブルジュ・ハリファとドバイ・モールを中心に広がり、観光客が必ず訪れる場所となっています。
☆主な見どころ☆
1.ブルジュ・ハリファ
2.ドバイ・モール
3.ドバイ・ファウンテン
トレード・センター
ドバイの摩天楼の多くが集まるエリアで、証券取引所やワールド・トレード・センターなどビジネスの中心となっています。
☆主な見どころ☆
1.シェイク・ザーイド・ロード
2.未来博物館
3.エミレーツ・タワーズ
ジュメイラ
アラビア語で「美しい」を意味するこの地区は、その名に恥じぬ海岸沿いの美しいエリアです。富裕層向けのビーチリゾートが多いことで知られています。
☆主な見どころ☆
1.ジュメイラ・モスク
2.ユニオン・ハウス(エティハド博物館)
3.ジュメイラ遺跡
4.ジュメイラ・ビーチ
5.マディナ・ジュメイラ
パーム・ジュメイラ
ドバイで最も開発が進んでいる巨大な人工島プロジェクトで、富裕層向けの住宅が多くあるエリアで、アトランティス・ザ・パームなどのリゾートホテルもあります。
☆主な見どころ☆
1.アトランティス・ザ・パーム
2.アドベンチャー・ウォーターパーク
3.ザ・ポワント
4.ザ・ビュー・アット・ザ・パーム
ドバイ・マリーナ
世界最大のマリーナが広がるエリアです。特にビーチ沿いのエリアが美しく、周辺の海でクルーズも楽しむことができます。
☆主な見どころ☆
1.マリーナ・ビーチ
2.JBRビーチ
3.マリーナ・モール
ジュベル・アリー
ドバイで最も西に位置するエリアで、国際貿易港のジュベル・アリー港があることで知られています。また、「世界一美しいスタバ」があることでも知られているフォトスポットでもあります。
☆主な見どころ☆
1.イブン・バットゥータ・モール
2.パーム・ジュベル・アリー(未開発)
ドバイ・パークス&リゾーツ
ジュベル・アリーの南に広がる砂漠エリアに築かれたアミューズメントリゾートです。世界の主なテーマパークが集まり、特に家族連れやカップルに人気です。
☆主な見どころ☆
1.モーションゲート・ドバイ
2.ボリウッド・パークス・ドバイ
3.レゴランド・ドバイ・リゾート
3.南東部の飛び地ハッタ
ドバイ首長国がUAE東部に領有するハッタは、ハジャール山脈という厳しい山岳地帯にある町で、近年は観光開発も進んでいます。
2016年、「ハッタを世界屈指の観光地にする」というムハンマド首長のプロジェクトが始動し、近年ますます注目を浴びているエリアとなっています。
ハッタ・ヘリテージ・ビレッジ
ハッタがドバイ首長国に組み込まれる前からの歴史的な雰囲気を残したエリアです。
1780年ごろに建てられたと伝わるモスクや、1880年代から残る見張り塔など、この地の歴史を体感できる場所となっています。
ハッタ・ダム
1990年代に築かれた巨大なダムです。水資源の乏しいUAEにありながら、ダム湖でカヤックを楽しむことができます。
特に冬場になると家族連れなどで賑わいをみせ、景勝地ハッタのハイライトとも言える場所です。
ハッタ・ワディ・ハブ
ハッタの新しいアトラクションで、ジップラインやパラグライダーなどを楽しむことができます。
特に、ジップラインは2本走っており、美しい山に囲まれるハッタを滑空することができます。なお、5月から9月にかけての夏期は休業するので注意が必要です。
ハッタ養蜂場
UAE国内でも豊かな水資源に恵まれたハッタでは養蜂業も行われており、その様子を見学することができます。
養蜂場では、UAEで最も美味しいとされる名産品ハチミツも購入することができます。
ハッタ・ヒル・パーク
ハッタの高台に築かれた公園です。ここからはハッタの美しい町を見渡すことができます。
日中ももちろん美しいですが、人気なのは夕方に太陽に照らされるハッタの風景です。また、高層ビルはないものの、夜景も美しいと評判です。
4.おわりに
ムハンマド首長が野心的なプロジェクトを大々的にはじめて30年。当時から見違えるほどに成長したドバイは世界の関心を集め続けています。
元々はクリーク沿いの小さな漁村だったドバイが急速に成長できたのは、ドバイに豊富な天然資源があったから、というのが世の中の一般的な説明ですが、実際にはそうとは言い切れません。
そもそもドバイの経済に占める石油産業の比率はたったの2%程度で、実際にはドバイはそれ以外の産業で成り立っています。
産油国が必ず経済的に成長できるというわけでもないので、実際にはムハンマド首長の手腕によるものと言ってよいのではないでしょうか。
ドバイがそこにある限り、世界はドバイに注目し続けるでしょうし、そんな姿に惹かれて外国人がたくさん集まっているのが今のドバイです。
そこは間違いなく世界でも稀に見るユニークな「国」であり、UAEのなかでも異質な存在であると言えるでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?