見出し画像

アラブ首長国連邦(UAE)を知る

アラブ首長国連邦(※以下UAEと表記)は、アラビア半島の北東部にある小さな国です。今回は、渡航にあたって知っておきたい情報をざっくりとまとめてみました。

1.UAE基本情報🇦🇪

UAEの位置

面積:83,600㎢(北海道とほぼ同じ)
②人口:約980万人(うち88%以上が外国人)
③首都:アブダビ(最大都市はドバイ)
④建国:1971年(ラスアルハイマは翌年加入)
⑤通貨:ディルハム(AED)
⑥産業:石油・天然ガス、建設、サービス
⑦民族:アラブ人
⑧言語:アラビア語(英語が広く通じる)
⑨宗教:イスラーム
⑩政体:7首長国による連邦制

ドバイは国なの?

ドバイの風景

日本では「ドバイという国がある」と思っている方がかなり多い印象ですが、それは半分正解で半分間違いです。

そもそも、UAEは、アラブ諸国で初めての連邦制国家として、今から約50年前の1971年に成立しました。その連邦制国家を構成する7つの首長国の一つがドバイ首長国です。

ドバイ首長国は、アブダビからドバイに移住したマクトゥーム家(今のドバイ首長家)が1833年に建国した国で、約200年の歴史があります。建国当時から、対岸のイランやインドからの商人が暮らすインターナショナルな国でした。

住民の大半が外国人!

ドバイは外国人だらけ

日本に暮らしているとわかりにくいですが、世界には、外国人の比率が過半数を超えている国がたくさんあります。そうした国の代表格が、ここUAEです。

外国人の比率が89%と、10人に9人が外国人といなっているUAE。バチカン市国を除けば世界で最も外国人の比率が高い国です。

その大半は、インドやパキスタン、バングラデシュなど南アジアからの出稼ぎ労働者で、建設現場やタクシー運転手などの大半が南アジア出身者となっています。

首長国ごとに法律が違う!

シャールジャでは飲酒は御法度

UAEは外から見ると一つの国に見えると思いますが、実際に行くとその違いには驚かされることかと思います。

例えば、お酒を例にしても、アブダビやドバイはお酒に対して比較的寛容ですが、シャールジャではお酒を飲むことが一切できません。

一つの要因としては、出身の部族がイスラームを実践する法学が違うということがあります。特にシャールジャとラアス・アル・ハイマを建国したカワーシム族は、サウジアラビアを建国したサウード家と同じハンバル学派に属しており、(異教徒から見ると)特に戒律が厳しいことで知られています。

最高級ホテルが林立!

「7つ星ホテル」バージュ・アル・アラブ

UAEの各地には、海沿いや砂漠、山岳地帯など、その土地の風土に合った最高級ホテルが点在しています。

7つ星ホテルを名乗っているバージュ・アル・アラブやエミレーツ・パレスをはじめ、毎年たくさんのホテルがオープンしています。

ホテルステイもUAEの楽しみの一つで、富裕層のバカンス先としてもよく利用されています。

UAEの歴史は短い?

ドバイ首長家(マクトゥーム家)の旧邸

UAEの建国は1971年と、国としての歴史は50年ほどしかありません。ただ、UAEは7首長国が集まってできた国であり、それぞれの首長国が辿ってきた歴史があることを忘れてはいけません。

現在のUAEの領域では、18世紀ごろから現在の首長家が実権を握り始めました。こうした各地の首長による統治体制は、イギリスと休戦条約(1820年)を結び、その後1892年にイギリスの保護国となったことで確立されました。

そのため、UAEの歴史が短いか、という疑問の答えとしては、少なく見積もれば約50年余り、長く見積もっても200〜300年程度、というこの国の歴史を考えると、歴史は短い国だと言ってもよいような気がします。

UAEの民族衣装は日本製?

民族衣装を着たUAEの男性たち

UAEでは、周辺国と同様、アラビア半島の部族が伝統的に着用してきた長衣が今も正装となっています。

男性の白い伝統衣装は、UAEではカンドゥーラと呼ばれており、その生地の大半が日本企業により製造されています。東洋紡やシキボウが主なメーカーとなっています。

また、女性の伝統衣装はアバヤと呼ばれ、こちらは主に黒い生地が使われています。アバヤの生地にも、シェアはそこまで高くないものの日本メーカーが参入しています。

砂漠の直射日光から身を守るために発達した民族衣装は、男性は白、女性は黒と、非常にシンプルかつ機能的なものとなっています。

2.UAEの見どころ🇦🇪

UAEの各首長国の地図

①アブダビ(黄)
②ドバイ(紫)
③シャールジャ(橙)
④アジュマーン(青)
⑤ウンム・アル・カイワイン(赤)
⑥ラアス・アル・ハイマ(緑)
⑦フジャイラ(水色)

雄大なアラビア砂漠

UAEの南部に広がる砂漠地帯

アラビア半島のほぼ全域を覆うアラビア砂漠は、なんといってもUAEのハイライトの一つです。

砂漠リゾートに泊まるもよし、4WDで疾走するもよし、ラクダに乗るもよし。思う存分、雄大な大自然を満喫できます。

ただ、ドバイの砂漠は観光客でごった返しているので、シャールジャやアブダビなど、ドバイから離れたエリアでゆったりと満喫するのがオススメです。

伝統が息づくオアシス地帯

アル・アイン・オアシス(世界遺産)

アラビア半島の砂漠地帯には、水に恵まれたオアシスが点々と連なっています。

特に、リワ・オアシスとアル・アイン・オアシスは、アブダビの首長家ゆかりの歴史的な場所で、多くの史跡が残されています。

アル・アイン・オアシスは、2011年に世界文化遺産に登録されており、現在でもUAE唯一の世界遺産として多くの観光客が訪れます。

ペルシア湾岸の歴史地区

ドバイのバスタキヤ地区

ドバイなどのペルシャ湾岸には、対岸のイランと同じような「風の塔」と呼ばれる天然の空調設備を備えた伝統建築が立ち並ぶ地区があります。

そうした建物の多くが博物館として保存されており、そのなかには、シェイク・サーイド・アール・マクトゥーム邸など、かつての首長の邸宅も含まれています。

ドバイのクリーク(運河)には、そうした建物が多く残っており、今のUAEからは想像できない昔の生活の様子を知ることができます。

世界一豪華なモスク

シェイク・ザーイド・グランド・モスク

UAEはイスラームを国教とする国のため、各地にモスクが建てられています。町のどこにいても、1日に5回、モスクからは礼拝の時刻を知らせるアザーンが鳴り響きます。

そんなUAEには美しいモスクがたくさん建てられていますが、なかでも、首都アブダビにあるシェイク・ザーイド・グランド・モスクは、「世界で最も豪華なモスク」として広く知られています。

大理石や純金などをふんだんに使って建てられたこのモスクは、祈りの場というよりはアブダビを代表する観光地として多くの観光客が訪れます。

世界一の高層建築物

ブルジュ・ハリファ

ドバイのダウンタウンには、高さ828mと世界で最も高い高層建築物ブルジュ・ハリファがそびえ立っています。

ブルジュ・ハリファには、アルマーニが運営するアルマーニ・ホテルや、世界一の高さを誇る展望台「AT THE TOP」などが入っています。

ブルジュ・ハリファの周辺には、世界最大のショッピングセンターとして開業した「ドバイ・モール」や、世界最大の噴水ショーとしてはじまった「ドバイ・ファウンテン」などがあり、多くの観光客が集まります。

壮大な人工島プロジェクト

アトランティス・ザ・パーム

ドバイの海沿いには、パーム・ジュメイラに代表されるヤシの木の形をした人工島がつくられています。

人工島がつくられたあと、その莫大な土地を利用して開発が進められたパーム・ジュメイラには、最高級ホテル「アトランティス・ザ・パーム」をはじめとする見どころがあります。

アトランティス・ザ・パームには、失われた大陸アトランティスをコンセプトとした水族館が入っており、観光客に人気となっています。

3.UAE観光の豆知識🇦🇪

ドバイのマディナ・ジュメイラ

UAEに入国するにあたり知っておきたい豆知識を紹介します。

典型的なクルマ社会

ドバイの車道の様子

UAEは急速に都市化をした地域で、アメリカなどと同じくクルマがないと生活が成り立ちません。

UAEの国民は、トヨタのランドクルーザーに代表される4WDを買う傾向にありますが、外国人はセダンに乗っていることが多いです。

産油国なのでタクシーの料金も非常に安く、複数人で乗れば日本の鉄道とそこまで変わらない金額で移動できます。

ベストシーズンは冬

冬でも昼は半袖で過ごせます

UAEは砂漠気候のため、夏は猛暑に見舞われます。夏の時期に外を歩くのはできないので、観光目的の場合は12月から2月にかけてがベストです。

冬場の昼間は快適な気温ですが、日没の時刻から一気に気温が下がるので、上着は持参しておくとよいでしょう。

ただ、UAEは空気がかなり乾燥していることもあり、暑いと感じる夏でなくても水分補給はこまめにするほうがよさそうです。

チップは適度に

ドバイはカフェ文化が定着

もともとUAEにはチップの文化はありませんでしたが、今では世界から人々が集まっていることもあり、チップを払う人も多くなっています。

ただ、アジア出身の外国人はチップを払う習慣がないため、基本的に日本人観光客がチップを払うことを期待されることはありません。

レストランやタクシーではサービス料が含まれているため、お釣りが出るときに受けとらない、という程度で問題ないです。

基本的にクレジットカードで完結

タクシーもカード決済が一般的

UAEは現金中心の社会ではないので、基本的にはクレジットカード1枚で完結します。この場合、そもそもチップを気にする必要もなく便利です。

そもそも、現地ではクルマ移動が基本ですので、カバンも持ち歩かない人が多いです。なかには、ズボンのポケットにカードだけ入れているという人もいます。

カードのトラブルなどが起きたときなど、非常用に現金を持ち歩くのもよいですが、カード決済が広く普及している国ということは頭の片隅においておいた方がよさそうです。

UAEのトイレ事情

ドバイ・モールのトイレは清潔

UAEは日本と同様、人々が快適に生活できる環境の提供に力を入れており、それはトイレ事情にも表れています。

基本的に、レストランやショッピングセンター、ホテルなどのホテルは清潔そのもの。清掃員の方が常にトイレを清潔に保ってくれています。

ただ、なんと言ってもここはイスラーム圏。外国人用にトイレットペーパーも完備していますが、現地の人々は主にホースを使います。ちなみに、私はそちらの方が清潔だと感じています…。

UAEの水事情

ドバイ首長国のハッタにあるダム

UAEには通年で水が流れる川が一本もなく、水は山岳地帯や海水淡水化プラントなどから供給されています。

UAEの水道水は飲めるという人もいますが、店で買っても100円もかからないので、ミネラルウォーターを買うのをオススメします。

スーパーやコンビニではアルアインやマサフィーというオアシスの水を使ったミネラルウォーターが売られています。

4.おわりに

自動運転で走るドバイ・メトロ

UAEは砂漠から急成長したエネルギッシュな国であり、多民族が入り乱れるインターナショナルな国でもあります。

それでありながら、人口の1割ほどのUAEの国民(エミラティ)が育んできた文化が今も息づき、西洋に完全には迎合しない保守的な面も見ることができます。

外国の良いところを取り入れて経済を発展させていくUAEの姿は、かつての明治維新の時代の日本の姿にも重なるところがあります。

そんなUAEの魅力は一言では表せないので、実際に足を運んで肌で感じてもらえればと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?