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AI推進チームを作る時は3つのキーマンを忘れずに!


1. はじめに

生成AIの導入はビジネスの効率化に大きな可能性を秘めている。

しかし、実際には、

『どこから手をつければよいのか』
『導入しても効果が見えにくい』

という課題に直面しがちである。

こうした問題を解決し、最短で成果を出すためには、
明確な役割分担を持つ『推進チーム』が必要だ。

今回は、生成AIを活用推進をしていくためのチーム作り役割について書いていこうと思う。

推進チームが必要な理由

生成AI導入後の最大の課題は、『業務でどう使うかがわからない』ことだ。

AIそのものは日々進化し、企業における導入のハードルは下がっている。

しかし、単に生成AIを取り入れるだけでは成果にはつながらない。

それを活かしてどんな価値を生み出すのか、具体的なユースケースを明確にする必要がある。

このユースケースの発掘と実現こそが、生成AI導入の鍵であり、推進チームが必要な理由である。

1. 最短で成果を出すためには兎にも角にもユースケース創出

生成AIは汎用性が高い一方で、何に使えるのかが曖昧なままでは、
ツール導入後の活用が進まない。

たとえば、顧客対応の効率化、商品企画の効率化、データ分析のスピードアップなど、どんな分野で生成AIを使えば価値が最大化されるのかを最初に見極めることが重要になる。

この『活用の方向性』を見つける役割を果たすのが推進チームである。

推進チームがユースケースを具体化すれば、
組織全体で『生成AIが解決する課題』を共有できる。

その結果、無駄な試行錯誤を減らし、最短ルートで成果を出すことが可能になる。

2. 実行力を高めるための連携が必要

生成AIを活用したユースケースの実現には、多くのステークホルダーが関わる。

たとえば、データを準備する技術者、業務の課題を定義する担当者、
そして成果を組織に浸透させるリーダーが協力しなければならない。

こうした多様な役割をつなぎ、
ユースケースを具体化・実行するための指揮役が推進チームだ。

チームが連携を取り、課題に優先順位を付け、迅速に進めることで、
生成AIを導入した効果を最速で組織に届けられる。

逆に、この連携が欠けると、生成AIの使える環境はあっても活用の方向性が見えず、結果的に『生成AIって業務で使えないよね』っていう誤解が社内に広まってしまう。

3. 生成AIの成功体験を作り、組織全体に広げる

生成AIを導入したばかりの段階では、社内の多くの人が『そもそも知らない』『どうやって使うの?』と懐疑的になりがちである。

推進チームは、成功するユースケースを短期間で作り出し、成果を見せることで、こうした不安や抵抗を取り除く役割を担う。

たとえば、特定のプロジェクトでの効率化やコスト削減を示すことで、生成AIの可能性を周囲に伝え、全社的な活用の第一歩を作り出すのだ。

この『成功体験』がなければ、組織は新しい技術に対する前向きな姿勢を持つことが難しい。

推進チームは、この重要なステップを確実に形にする存在である。

推進グループに求められる3種類のキーマン

生成AIの効果を最大限に引き出すためには、単なるアイデアや努力だけでは不十分だ。

チーム全体が明確な役割分担のもと、それぞれの強みを活かしながら連携することが不可欠である。

推進グループを作る上では、
環境を作る人』
『ユースケースを開拓する人』
『社内に広める人』

の3種類のキーマンが必要になる。

わかりやすく料理をもとに解説していく。

1. 生成AIの環境を作る人=素材を提供する農家や漁師、肉屋さん

どんなに腕の良いシェフがいても、素材が悪ければ料理は台無しになる。

生成AIにとっての『素材』とは、使う生成AIツールのことである。
また、RAGに取り組まれてる方は使うデータセットをイメージしてもらうといいだろう。

この役割を担う人々は、より高品質なデータを集め、生成AIがより良いアウトプットを出せる環境を整備する。

具体的には以下のような業務が含まれる:

  • 必要なデータの収集とクリーニング

  • AIモデルを実行するためのインフラ整備

  • 安全でスムーズなAI運用の設計

農家や漁師が新鮮で質の高い素材を供給するように、この役割の人たちがいなければ、次のステップには進めない。

そして、AI環境の構築の難易度は高いので、このフェーズでは自社内で実施する企業は少ない。

そのため、SaaSで提供しているベンダーや受託開発している会社にお願いしてるケースが多い。

2. ユースケースを開拓する人=素材を調理するシェフ

そして、新鮮な素材が揃っても、それをうまく調理できるスキルがなければ、料理は完成しない。

生成AIを使って『どんな価値を作り出すか』(どんな料理を作るか)を考え、実行するのがこの役割だ。具体的には以下のようなタスクがある。

  • 業務課題を明確化し、AIで解決可能な領域を特定する

  • データや技術を活かし、具体的なユースケースを設計する

  • 実現可能性を検証し、迅速に仮説検証を実施する

この役割の人たちは、作ってもらった環境(素材)でいかに多くのユースケースを生み出せるかが重要になる。

3. AI活用を社内に広げる人=料理の魅力を伝えるプロデューサー

いくら素晴らしい料理が完成しても、それを誰も知らなければ意味がない。

生成AIの成果を社内で広く認知し、利用を促進するのがこの役割である。

この人たちは以下のような活動を行う。

  • 成果事例やユースケースの魅力を分かりやすく伝える

  • AI教育を通じて自社での活用方法を普及させる

  • 他部門との協力体制を築き、活用を横展開する

例えば、生成AIを使った成功事例を社内報で発信したり、社外への広報活動などを行ったりする。

この役割は、完成した料理をSNSやメディアで広めるプロデューサーのように、生成AIの価値を広げるために重要である。

そして、この3つのキーマンたちが連携することを忘れてはならない。

シェフがいくら良い料理を考えても、農家が新鮮な素材を用意していなければ実現できないし、さらに、その料理を広めるプロデューサーがいなければ、組織全体でAIの効果を共有することは難しい。

このように、3つの役割が密に連携することが成功の鍵となる。

理想的なメンバー選定基準

推進グループを成功させるには、適切な人材の選定が欠かせない。

生成AIという新しい技術を活用するためには、単なるスキルや経験だけでなく、特定の特性や視点を持つ人材が必要になる。

ここでは、推進グループのメンバー選定において重視すべき2つの基準を解説する。

1. チャレンジ精神(マインドセット)

生成AIの活用には未知の課題がつきものだ。

新しい技術やアイデアを試し、失敗を恐れずに進める「チャレンジ精神」を持った人材が求められる。

チャレンジ精神がある人材は、組織の新しい挑戦を支える推進力になる。
特に、生成AIのように発展途上の技術においては、この特性が重要だ。

2. 業務への深い理解(業務解像度)

推進グループにおけるユースケースの開拓は、現場の課題を的確に捉えるところから始まる。

そのため、メンバーには自部門や関連業務について深い理解が求められる。

たとえば、営業部門のメンバーが参加する場合、日々の業務で発生する細かな課題やデータの流れを熟知していることで、AIを活用した実践的な解決策を提示できる。

まとめ:理想の推進グループを目指して

生成AIの導入を成功させるためには、ツールの導入だけでなく、
それを効果的に活用するための『推進グループ』の存在が欠かせない。

今回は、その推進グループに必要な役割と、メンバーの選定方法について書いてみた。

まずは、自社における推進チームの候補を考え、最初のユースケースを特定することから始めてみてほしい。

推進チームがきっちり役割を果たせば、生成AIはただのツールではなく、
組織の成長を加速するエンジンになるだろう。

この記事がこれから生成AIを社内で活用していきたいと思っている方にとって、一つのきっかけになれたら嬉しい。

推進を進めていく中でイメージがつきづらいことあればお気軽にご連絡を!
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