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生成AI活用率50%超え企業が続々と登場。成功企業から見る活用率向上のポイントとは?
生成AIの急速な普及
2023年、世界は「生成AI元年」となった。
OpenAIのGPT-4が発表され、Google、Microsoft、Amazonといった大手テック企業が次々と生成AIを組み込んだサービスを打ち出した。
それに呼応するかのように、ビジネスの現場でも生成AIの活用が急速に広がっている。
これから紹介する企業はすでに活用率50%を超えている。
今日はなぜここまで活用が進んでいるのかについて見ていきたい。
生成AIがもたらす圧倒的な変化
まず初めに、生成AIがもたらす企業への価値について見ていこう。
業務効率の劇的向上
マニュアル作成や議事録の自動化により、業務時間を20〜50%削減
社内ドキュメントの検索時間を削減し、ナレッジ共有が加速。
新たな価値創造のチャンス
クリエイティブ業務(企画、マーケティング、デザイン)への応用が進み、新規事業の立ち上げスピードが向上。
顧客対応AIの導入で、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上を実現。
イノベーションのスピードアップ
R&Dやデータ分析に活用され、市場調査や仮説検証の時間が短縮。
アイデア出しのサポートにより、企画の多様性が増加。
活用率50%超えの企業と、そうでない企業の差
活用率が50%を超えている企業の特徴
経営層が生成AIの重要性を理解し、明確な指針を示している。
全社員がAIを学び、業務の中で試す環境が整っている。
ユースケースが定まっており、活用が業務プロセスに組み込まれている。
活用率が低い企業の特徴
「とりあえず導入したものの、使い方がわからない」状態。
セキュリティやリスクの懸念が先行し、ルールが厳しすぎる。
生成AIを「特定の専門職」だけのツールと考えている。
この差は、今後さらに広がっていくだろう。
生成AI活用率50%超えの企業事例
先進企業の生成AI活用
生成AIの活用が50%を超えた企業は、どのようにしてAIを業務に浸透させたのか。
ここでは、公開されている情報をもとに、実際の事例を紹介する。
GMOインターネットグループ:活用率88.6%(2023年8月時点)
GMOインターネットグループでは、2024年12月時点で社内の生成AI活用率が88.6%に到達したと発表されている。
取り組み
「全グループ会社の役員・社員の88.6%が生成AIを活用」と報告。
生成AIを活用した「業務効率化」と「新規ビジネス創出」の両軸で推進。
AI活用の社内教育や環境整備を進めている。
GMO社は、生成AIを単なる業務改善ツールではなく、新しいビジネス機会を生み出す手段として捉えていると考えられる。
活用率が高い理由の一つは、経営層がAIの導入を戦略的に推進している点にあると思う。
U-NEXT:9カ月で活用率50%突破
出典:U-NEXT公式発表
U-NEXTでは、2023年11月に生成AI活用を全社展開し、その後9カ月で活用率50%を突破したと報告されている。
取り組み
「機能の充実」
業務に直結した機能を多く搭載。
社員に寄り添った教育とサポート
「AI業務改革支援部」が全国にある当社拠点に足を運び、「Buddyゼミ」というワークショップを開催。またグループ会社ごとに利用方法や疑問点など、継続的なヒアリングを実施。
U-NEXTの事例から、社内で専任部署を設けることが生成AI活用の浸透に有効であると考えられる。
部門ごとに適用範囲を定め、社内ツールとして活用を進めた点が成功の要因だと思う。
キューサイ:生成AI活用率21%をアップさせた施策とは?
出典:キューサイ公式発表
キューサイでは、社内でのAI活用促進を目的とした独自アプリ『Q’sAI冒険門』を立ち上げ、社員参加型イベントを実施し、実施後のAI活用率を21.1%向上させた(実施前41.7%・実施後62.8%、前後比較で約1.5倍)
取り組み
『Q’sAI冒険門』と呼ばれるアプリを開発し、ゲーミフィケーションを取り入れた。
本アプリを活用した社員参加型イベントは2024年10月18日から31日までの2週間にわたって実施
また、個人ランキングと部門別ランキングを設けた。
キューサイの事例は「活用のステップを掘り下げたこと」がポイントだと思う。
事例から見える生成AI推進のポイント
経営層の強いコミットメント
経営トップがAI活用を推進し、明確な方針を打ち出している。
AIの導入を「単なる効率化ツール」ではなく、「企業成長の戦略」として位置付けている。
社員への教育とAI活用文化の醸成
全社員を対象にしたAI研修やワークショップを開催。
AIの試行を推奨し、業務にどう活かすかを考える機会を提供。
部門ごとのユースケースや使いやすいツールを構築し、活用のハードルを下げる。
全社的なシステム整備とツール導入
社内向けの生成AIツールを整備し、活用を促進。
エンジニア部門だけでなく、営業やカスタマーサポートにも適用。
AI活用の成果を可視化し、成功事例を社内で共有。
生成AI活用率50%超え企業が示す未来
生成AIの普及は加速し、多くの企業が業務の一部にAIを取り入れ始めている。
しかし、本当に競争力を高めるには「一部の活用」ではなく、全社的な活用を推進し、50%超えの利用率を目指すことが重要である。
実際、GMOインターネットグループでは活用率88.6%、U-NEXTは9カ月で50%を突破し、キューサイも社内施策により活用率を約1.5倍に向上させている。
こうした企業の成功事例から、多くの示唆を得ることができる。
生成AI活用率を高めるために今すぐできること
活用率50%を超えた企業の共通点を踏まえ、自社で実践できるアクションを整理すると、以下の3つに集約される。
1. 経営層が旗を振る「AI活用のビジョン」を示す
経営層が明確な方針を打ち出すことで、社員の意識改革が進む。
単なる業務効率化ツールではなく、新たな価値創出の手段として位置づける。
例えば、四半期ごとの「AI活用KPI」を設定し、成果を可視化する。
2. 小さな成功事例を作り、社内で共有する
一部の部署でパイロット導入し、成功事例を社内に展開する仕組みを作る。
「この業務でAIを活用すると、◯◯%効率化できた」と具体的な成果を共有する。
例えば、営業部門でAIを活用した提案資料作成の時短効果を測定し、他部門にも展開する。
3. 社員が学び、試せる環境を整備する
社員向けのAI研修やワークショップを定期開催し、活用の幅を広げる。
例えば、「週1回、業務のどこかで必ずAIを試す」ルールを設ける。
キューサイのようにゲーム感覚でAI活用を促す施策を取り入れるのも有効。
生成AIの活用率を高めるかどうかで、企業の未来が決まる
ここまで見てきたように、生成AIを効果的に活用する企業は、業務の効率化だけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出している。
一方で、AI導入をためらい、活用が進まない企業は、競争力を失っていく可能性が高い。
「うちの会社ではまだ早い」「活用方法がわからない」と考える前に、まずは小さく始めることが重要である。
AI活用率50%超えの企業は、最初から完璧な戦略を持っていたわけではない。
試行錯誤を繰り返しながら、最適な活用方法を見出してきたはずだ。
あなたの会社も、今すぐ始めることができる。
今日からできることを一つ決め、まずは動き出してみよう。
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