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Open AIが描く5段階のAI進化論について
1. はじめに
AIの進化は、まるで台風のようである。
突如として現れ、瞬く間に成長し、あっという間に私たちの日常やビジネスを巻き込んでしまう。
その勢いは、一瞬でも目を離せば何が起きているのか把握できなくなるほどだ。
この「AI台風」の中心にいるのがOpenAIである。
同社は2024/12/05から、「12 Days of OpenAI」と呼ばれる12日間連続の発表イベントを開催し、次々と新しい技術やツールを公開すると発表した。
12 days.
— OpenAI (@OpenAI) December 4, 2024
12 livestreams.
A bunch of new things, big and small.
12 Days of OpenAI starts tomorrow.
そして、Open AIが出しているChatGPTをはじめ、生成AIは今後の企業の競争力を大きく左右する「経営のエンジン」であり、DXを推進するための不可欠な要素である。
今回は、OpenAIが描く「5段階のAI進化ステージ」を紹介し、
企業がどのようにAIを取り入れるべきかについて考察する。
2. そもそもOpenAIとは?
OpenAIは、2015年にサムアルトマンやイーロンマスクが立ち上げた人工知能の研究と開発を行う会社である。
その使命は、「汎用人工知能(AGI)を開発し、その恩恵をすべての人類に行き渡らせること」である。
AGIとは、人間のように幅広い分野で思考し、問題を解決する能力を持つAIのことであり、これが実現すれば、私たちの生活やビジネスの在り方が根本から変わる可能性がある。
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そしてOpen AI社のすごさを語るのにこのニュースは忘れてはならない。
今年の10月に9700億円の資金調達をしたことだ。
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この9700億円がどのくらいの規模感の数字かというと、
2023年の日本国内のスタートアップ企業全体の年間資金調達額(7,536億円)を大幅に上回り、また、日本の国家予算をも上回っている。
ちなみに2023年の国内スタートアップの資金調達者数は2,828となっており、Open AI社の1社のみで9,700億円(2,000億近く差をつけて)調達していることは驚愕の事実だろう。
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この資金力と技術力は、単なるAI研究機関としてだけでなく、未来のビジネスや社会を形作る「変革の旗手」としての役割を担っていると考えられる。
3. Open AIが唱える進化の5つの段階
OpenAIは、AI技術の進化を5つの段階に分けて考えている。
これらは単なる技術的なステップではなく、社会やビジネスにおけるAIの役割がどのように変化していくかを示す重要な指標である。
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以下に各段階の詳細を説明する。
3-1. Stage 1: “Chatbots, AI with conversational language”
いわゆるチャットボットとして役割を果たすAIである。
今のChatGPTなどがイメージつきやすいだろう。
最初の段階は、AIが単に「会話する」能力を持つ時期である。
現在普及しているChatGPTは、このレベルに位置する。
このレベルのAIは、主に問い合わせ対応や簡易な情報提供の役割を果たしている。
3-2. Stage 2: “Reasoners, human-level problem solving”
ここでは推論者、人間レベルの問題解決と訳される。
このでは、AIが「考える」力を持つようになる。
今のO1-previewが該当するものである。
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このレベルでは、単なる応答ではなく、複雑なデータ分析や意思決定の補助を行う能力を持つ。
これは、単純な情報提供を超え、より戦略的な役割を果たすものである。
このレベルのAIは、特にデータドリブンな意思決定を求められる業務に適している。
3-3. Stage 3: “Agents, systems that can take actions”
このステージでは、エージェントと呼ばれる自立駆動型のAIが誕生する。
この段階に達すると、AIはユーザーが指示を出さなくても、自ら状況を判断し、行動を起こすことができる。
エージェントレベルのAIになると、単なるツールから「頼れるパートナー」へと進化する。
3-4. Stage 4: “Innovators, AI that can aid in invention”
ここでは、イノベーター、革新者として訳されることがある。
革新者としてのAIは、「創造する」力を持つようになる。
このレベルのAIは、新しいアイデアや解決策を生み出すことができる。
この段階のAIは、人間では思いつかなかったようなビジネスや科学などの
新たな可能性を切り拓くことが可能となる。
3-5. Stage 5: “Organizations, AI that can do the work of an organization”
最終段階では、AIが組織全体を「運営」する能力を持つ。
この段階のAIは、経営戦略を策定し、組織の運営を最適化する役割を果たす。
このレベルになるとAI同士でやり取りをする世界線となる。
例えば、メールをAIが送って、受けてもAIが受けて反応をしてやり取りを進めるような形だ。人間が一切介在せずに仕事が完結することができるようになるだろう。
4.まとめ
AIの進化は、私たちの日常やビジネスに劇的な変化をもたらす可能性を秘めている。
OpenAIが提唱する「AI進化の5つの段階」は、技術的な進歩だけでなく、AIの役割がどのように拡大していくかを示す指針となっている。
AIは単なるツールから、価値を創造し、さらには組織全体を運営する存在へと進化しつつある。
企業や社会にとって、この進化を適切に取り入れることは、未来の競争力を左右する重要な要素となる。
OpenAIが進める技術革新は、新たな可能性を示し続けており、これを活用することが次世代の成功に直結すると言える。
12/5から始まる12日間の発表イベントでは、どのような新しい情報が公開されるのか楽しみだ。
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とりあえずわかっていることは、今日からの12日間は寝れない日々が続く。
タノシミ!ネレナイ! https://t.co/wYwGNP5yog
— 飯田 健斗 = iida kento (@kento_720) December 4, 2024