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プロンプトは簡潔に。


プロンプト設計の変化

AI技術の進化は、プロンプト設計における考え方そのものを大きく変えつつある。

特にChatGPT Proのような最新のAIモデルは、単に与えられた情報を処理するだけではなく、状況や文脈をもとに自律的な推論を行う能力を備えている。

ちなみに今現在(2024/12/18)だと4つの主要モデルが選べるようになっている(正確にはResearch・canvasも入れた6つだ。)

ChatGPTのモデル選択画面

このアップデートにより、私たちがAIに求める指示の内容や形式にも、大きな変革が求められるようになってきた。

ちなみにChatGPTのIQは120を超えている。
人間の平均が100であるため、 AIの知能が人間を超え始めていることがこの結果からもわかるだろう。

https://fragai.jp/aidx/ai/

そして、これまでのプロンプト作成では、「7Rプロンプト」のように、役割、形式、実行シナリオなど7つの要素を網羅的に記述し、AIに期待する成果物を細かく設計することが一般的だった。

参照👇

#request:
あなたは{#role}です。次の{#rule}を必ず守り、{#regulation}に従って___をしてください

#role(役割):

#regulation(形式):

#rule(ルール):

#review&refine(評価・改善):

#reference(参考知識・例):

#run scenario(実行シナリオ):

7Rプロンプト

このアプローチは、AIが指示に忠実な出力を生成するには効果的だったが、指示作成に時間と労力を要することが課題であった。

また、指示が複雑になりすぎると、AIが本来の意図を正確に理解できず、期待外れの結果を生むリスクもあった。

しかし、ChatGPT ProやO1のような高度な推論能力を持つAIの登場により、プロンプト作成の焦点が「いかに詳細に指示を書くか」から「何を解決したいかを正確に伝えるか」へとシフトしている。

解決策や手順といった実行部分は、AI自身が補完することができるため、人間が行うべきは「問題を定義すること」だと言えるようになった。

たとえば、SNS広告戦略を立案する時に、
従来のプロンプトでは、以下のような形で書く必要があった。

プロンプト
#request:
あなたはマーケティング戦略コンサルタントです。次のルールを必ず守り、SNS広告戦略の提案を作成してください。ターゲット層、投稿形式、予算、成果目標を含めた詳細な手順を示してください。

#role(役割):
マーケティング戦略コンサルタント

#regulation(形式):
• 提案内容を段階的に記述(例: ステップ1、ステップ2)
• 数値や具体例を明記し、実行可能な内容にする
• 簡潔かつ説得力のある表現を使用

#rule(ルール):
1. ターゲット層: 25~35歳の女性。都市部に住み、仕事と趣味のバランスを重視する層。購買意欲が高いが時間が限られている。
2. 投稿形式: 短時間で魅力が伝わる内容(例: 動画、カルーセル広告、ストーリーポスト)。ビジュアル重視で、実用性とトレンド感を兼ね備える。
3. 予算: 1か月あたり20万円~50万円。成果が見える場合は増額可能。
4. 成果目標:
• クリック率(CTR)2.5%以上
• 広告ROI200%以上
• インプレッション数: 10万以上

#review&refine(評価・改善):
• 評価基準: 広告効果(CTRやROI)の進捗を週次でレビュー。必要に応じてターゲティングやクリエイティブを最適化する。
• 改善ポイント: ターゲット層の反応を分析し、投稿形式やメッセージをアップデートする。ABテストを実施して効果的なコンテンツを選定する。

#reference(参考知識・例):
• 参考例: インスタグラムのファッションブランド広告(短いリール動画+インフルエンサー起用)
• 他の成功事例: 都市部女性向けフィットネスブランドが短時間動画でフォロワーを急増させたキャンペーン

#run scenario(実行シナリオ):
1. ターゲット設定:
インスタグラムとTikTokで25~35歳女性をターゲットにした広告キャンペーンを設定。職業、趣味(ファッション、旅行、健康など)を基に精密ターゲティングを行う。
2. 投稿形式の決定:
• リール動画(15~30秒): 簡単な製品紹介、ユニークな利用シーン、口コミ感。
• カルーセル広告: 使用前後の比較、具体的な価値の説明。
• ストーリー投稿: 限定セールやキャンペーンを告知(「スワイプで購入」CTAを含む)。
3. 予算配分:
• 初期テスト: 予算の20%(例: 10万円)をABテスト用に使用。
• 効果的な広告に再配分: 成果を見て残りの予算を高パフォーマンスの形式へシフト。
4. KPI設定:
初月終了時に以下を目標とする:
• CTR: 2.5%以上
• 広告ROI: 200%以上
• コンバージョン率: 5%以上
5. モニタリングと改善:
• 広告配信後、週次でインサイトを分析。
• インプレッションやエンゲージメントが高い広告を強化。
• 低パフォーマンスの広告は停止または改良。

SNS広告戦略立案の7Rプロンプト

一方、現在では問題を定義するだけで、AIが柔軟に解決策を考え、成果物を出すためのプロンプトを生成してくれる。

ChatGPTにプロンプトをきく

聞いた結果はこちら👇
ここまでのボリュームのプロンプトをわずか1分30秒で作ってくれる。

以下は、25~35歳女性向けのSNS広告戦略を立案する際に必要となる要素を網羅し、それらを盛り込んだ「最高のプロンプト」の一例です。プロンプト作成までのステップと、最終的なプロンプト例を提示します。
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【検討ステップ】

1. **ターゲット層**
- 年齢層:25~35歳
- 性別:女性
- 居住地域:首都圏中心(例:東京、神奈川、埼玉、千葉)
- 趣味・嗜好:ファッション、美容、健康、ライフスタイル、キャリアアップ、旅行、カフェ巡りなど
- 行動特性:SNS(Instagram, TikTok, YouTube, Twitter/X)利用頻度が高く、インスタ映えする商品や体験、トレンド情報に敏感
- 課題・ニーズ:限られた時間で効率的かつ充実したライフスタイルを求めている、心身のヘルスケアを重視、自己投資意欲が高い

2. **ゴール・KPI(成果目標)**
- 目標:自社ブランド(例:オーガニックコスメブランド)の認知度向上と商品購入誘導
- KGI:キャンペーン期間中(3ヶ月)にオンラインストアでの新規顧客獲得数をX人増やす、売上をY円上げる
- KPI:広告CTR、CPC、CVR(コンバージョン率)、エンゲージメント率(いいね、コメント、シェア)、フォロワー増加数

3. **投稿形式・クリエイティブ**
- SNSチャネル:Instagram(フィード投稿、リール動画)、TikTok(短尺動画)、YouTube(ショート)、Twitter/X(画像付きツイート)
- ビジュアル:
- イメージ写真:ブランドの世界観が伝わる美しい商品写真、利用シーン写真
- 動画コンテンツ:商品レビュー、使い方解説、ビフォーアフター、インフルエンサーとのコラボ動画
- コピーライティング:ターゲット層の悩みや願望に共感し、解決策やストーリーを提示するテキスト
- トーン&マナー:洗練されていて親しみやすく、ポジティブで上質感を演出。専門的な要素はわかりやすく解説。

4. **コンテンツテーマ・メッセージ**
- 効果的な訴求ポイント:
- 商品の品質・安全性(オーガニック、天然由来成分)
- 肌や心身へのポジティブな効果(エイジングケア、リラックス効果)
- 忙しい女性でも簡単に取り入れられる時短ケア
- ブランドストーリー:開発者の想いやサステナブルな理念を打ち出す
- シーズナリティやキャンペーン:季節限定の特別価格や新商品リリース、インフルエンサーコラボキャンペーン

5. **投稿スケジュールと運用体制**
- 投稿頻度:週3~4回(Instagram)、週2~3回(TikTok、YouTubeショート)、週5回(Twitter/X)
- 運用チーム:クリエイティブ担当(デザイナー、カメラマン、ライター)、メディアプランナー、SNS運用担当、アナリスト
- 運用PDCA:週単位でKPIモニタリング、月末に総括レポート、改善策検討

6. **広告予算・配分**
- 月間予算例:30万円~50万円(例)
- 広告フォーマット別配分:Instagram広告(ストーリーズ、リール)、TikTok広告、YouTubeプレロール広告、Twitterプロモツイート
- ペイドメディアとオーガニック投稿のバランス:拡散用インフルエンサー予算確保、A/Bテストで効果検証

7. **インフルエンサー・コラボ戦略**
- ターゲットと親和性の高いインフルエンサー選定(フォロワー数1万~10万前後のマイクロインフルエンサー)
- コラボ内容:レビュー動画、限定クーポン、ライブ配信でのQ&A
- 成果測定:インフルエンサー専用クーポン利用数、紹介URLクリック数

8. **効果測定・分析手順**
- トラッキング用URL設定、SNS広告マネージャーでの定期的な指標追跡
- Google Analyticsとの連携でCVパス分析
- コンテンツ別のエンゲージメント比較と改善

9. **想定リスクと対策**
- 競合他社の類似キャンペーンによる価格競争
- ポリシー変更やアルゴリズム変動によるリーチ減少
- ネガティブコメントや炎上への迅速なモデレーション

10. **最終的なアウトプットのイメージ**
- ターゲットインサイトに基づく明確な広告戦略
- 各SNSチャネルごとに適切なクリエイティブや投稿プランが整理されたドキュメント
- KPI、予算、実行スケジュールを含むプランニングシート
- PDCAサイクルを踏まえた継続的な運用改善提案

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【最高のプロンプト例】

以下は、上記の検討要素をすべて含め、ChatGPTに対して詳細かつ包括的なSNS広告戦略案を求めるためのプロンプト例です。

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「あなたはSNSマーケティングの専門家です。ターゲットは、25~35歳の日本人女性で、首都圏在住、ファッション・美容・健康・ライフスタイル分野に関心があり、InstagramやTikTokなどのSNSを日常的に利用し、トレンドやブランドストーリーに敏感な層です。このターゲットに対して、オーガニックコスメブランドの新商品認知度を高め、オンラインストアでの新規顧客獲得および売上増加(キャンペーン期間3ヶ月で新規顧客X人、売上Y円増)を目標としたSNS広告戦略を立案してください。

以下の点を必ず網羅した詳細なプランを示してください。

1. ターゲットインサイト:対象顧客のニーズ・課題・ライフスタイル・行動特性
2. ゴール設定とKPI:オンラインストアでのコンバージョン数、認知拡大、フォロワー増、エンゲージメント率、CTR、CPCなどの明確な数値目標
3. メインとなるSNSチャネルの選定理由と各チャネル別の投稿コンテンツ戦略(Instagramリール、ストーリーズ、TikTok短尺動画、YouTubeショート、Twitter/Xの画像付き投稿など)
4. クリエイティブ要素:商品写真、利用シーン動画、コピーライティング、ブランドストーリーやサステナビリティ訴求など、ターゲットに響くトーン&マナー
5. 投稿スケジュールと頻度:チャネルごとの投稿頻度、キャンペーン期間内での週次・月次計画
6. 広告予算の割り振りと媒体別の費用目安、A/Bテストの実施方法
7. インフルエンサーやマイクロインフルエンサーとのコラボ戦略と効果測定方法
8. 効果測定とPDCAサイクル:トラッキング方法、分析ツール、改善プロセス
9. 想定されるリスク(競合、SNSポリシー変更、炎上など)とそれに対する対策案

これらすべてを包括した、実行可能かつ説得力のある包括的なSNS広告戦略プランを提案してください。」

この違いは、プロンプト作成にかかる手間を大幅に減らすだけでなく、AIの持つ創造性を最大限に引き出す効果もある。

こうした変化により、プロンプト作成における「問題定義力」の重要性は今まで以上に高まっている。

AIが解決策を考えてくれる時代だからこそ、どのような問題を解決したいのかを明確に定義し、それを簡潔に伝える能力がプロンプト設計の成否を分けるのだ。

今回は、この「問題定義力」を高めるための具体的な方法について解説していく。

5W1Hを活用し、プロンプトをシンプルかつ効果的に設計する手法を紹介するとともに、従来の7Rプロンプトと比較しながら、シンプルな設計がいかに効率的であるかを詳しく見ていきたい。

5W1Hを活用する理由

AIが高度な推論能力を持つようになったとはいえ、プロンプトがあいまいでは期待するアウトプットを得ることは難しい。

そこで、「5W1H」を活用することが重要である。

5W1Hは、情報整理や課題解決において古くから使われているフレームワークであり、「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の6つの要素を軸に考える手法だ。

理由は2つある。

まず、必要最低限の情報を整理できる点だ。

AIが正確に推論を行うためには、指示の目的や背景が適切に示されている必要がある。

しかし、それらを過剰に書き込むと、情報が多すぎてAIが混乱するリスクがある。5W1Hを使うことで、伝えるべき情報を簡潔に整理し、AIにとって理解しやすい形にすることができる。

次に、5W1Hが問題定義に特化している点だ。
従来の「7Rプロンプト」のような詳細設計型の指示は、具体的な成果物を想定して書かれることが多かった。

一方で、5W1Hは「何を解決したいのか」という問題の本質に焦点を当てるため、AIが柔軟に推論を補完しやすくなる。

その結果、人間は解決策そのものではなく、解決すべき問題の枠組みを伝えるだけで十分となる。

プロンプトは AIが考える時代に

AI技術の進化により、プロンプト設計のあり方は大きく変わった。

従来の7Rプロンプトのように詳細な指示を重ねる方法は、確かに一時代を築いた。

しかし、ChatGPT Proのような最新モデルが推論能力を持つ今、プロンプト作成において本当に求められるのは、「何を解決したいのか」を正確に定義する力だと言える。

今回は、5W1Hを活用することで、プロンプトをシンプルかつ効果的に設計する方法を解説した。

このフレームワークを使うことで、AIに対して必要最低限の情報を的確に伝えつつ、解決策の部分はAIの柔軟性や創造性に任せるという新しいアプローチを実現できる。

プロンプトの焦点を「解決すべき問題」に絞ることで、プロンプト作成の負担は大幅に軽減される。

それだけでなく、AIがより自由に推論を補完し、今までの自分では考えられなかったような斬新で多様な提案を行うことが可能になる。

この手法は、マーケティングや営業、商品開発、教育など、あらゆる分野で応用できる汎用性を持っている。

これからのAI活用において、
「プロンプトは詳細に」ではなく、
「プロンプトは簡潔に」という考え方が新たな常識となるだろう。

そして、問題定義力を磨き、シンプルで効果的なプロンプトを設計することが、AIの能力を最大限に引き出す鍵となる。

まずは日常のタスクで5W1Hを意識したプロンプトを取り入れてみよう。

解決策をAIに委ねるシンプルな設計が、効率的で創造的なAI活用を実現する一歩になるはずだ。


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