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AI経営のすすめ①


はじめに

生成AI(Generative AI)は、文章、画像、音声など多様なコンテンツを自動生成する技術であり、企業経営において革新的な可能性を秘めている。

これにより、単純作業の効率化やクリエイティブな業務の加速、さらには新市場の創出が可能になると考えられる。

だが、AIを取り入れた経営ができている企業はごく少数派である。

なぜ、AI経営が進まないのか、調査レポートなどをもとにAI経営が進まない理由を考えてみる。

現状の課題

日本企業における生成AIの活用推進率は米国と比較して約20%と低く、
国際的な競争の中で出遅れている状況にある。

下記に示しているデータは2024年にPWCコンサルティングがリリースした、日本企業と米国における生成AI活用の実態調査である。

生成AIの活用推進状況

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2024-us-comparison.html

生成AI活用推進における課題

日本企業における生成AIの活用において、最も課題感を感じているのは
必要なスキルを持った人材がいない

次に『ノウハウがなく、どのように進めればいいか、進め方がわからない』という回答が多かった。

一方で米国では、『技術活用のリスクが大きい』『周囲からの理解を得ることが難しい』が上位を占めていた。

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2024-us-comparison.html

この結果から、日本企業においては、ノウハウを持ったAI人材がいなく、ユースケースの特定などができていない。

米国においては、ユースケースの創出にチャレンジしているものの、技術的な壁周囲との合意形成に課題を感じていることがわかる。

レポートを読み進めていると興味深いデータもあった。
それは、生成AIの活用効果の実感値の違いである、

日本では『期待を大きく上回っている』の回答が9%に対して、米国では33%と大きく差が出ている。

また、『やや期待を下回る』の回答が日本企業は17%で米国と比較しても大きい数字になった。

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2024-us-comparison.html

これは、先ほどの課題の影響が大きいだろう。
日本企業においてはAIに対しての人材不足・ノウハウ不足から、生成AIを正しく使えておらず、

その結果、日本と米国で比較して、活用効果の実感値に大きく差が出ている。

活用状況における部門ごとの比較

米国と比較して、日本企業の方が、全社活用は進んでいるのに対して、米国は各部署で活用が進んでいる。

ここに生成AI活用のヒントがあるのではないだろうか。

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2024-us-comparison.html

生成AIがもたらす3つのメリット

1.業務効率化

生成AIの最も即効性のあるメリットは、日常業務の効率化である。

生成AIは、膨大なデータ処理やルーチンワークを代行し、人的リソースを高付加価値業務に集中させる環境を作り出す。

社員の生産性向上は生成AI活用の指標として日米ともに1位を占めている項目である。

そのため、生産性向上への生成AIの影響範囲は大きいと言えるだろう。

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2024-us-comparison.html

生成AI活用のユースケースとしては、文書作成が多い。

例えば、日々の契約書、議事録、提案書など、これまで人が多くの時間を割いていた文書作成業務は、生成AIによりドラフト作成ができ、短時間で完了できる。

2.新規事業の創出

また、生成AIは、単なる効率化の枠を超え、新しい事業機会の創出にも寄与する可能性がある。

特に、従来の方法では不可能だった速度での試行錯誤や創造が可能となる点が注目される。

例えば、、、、

プロダクトデザインとアイデア創出
生成AIは、膨大なアイデアを短時間で生成できるため、新製品のプロトタイプやデザイン案を迅速に検討することが可能である。

このような取り組みは、新しい市場開拓や顧客ニーズへの柔軟な対応を加速させる。

マーケティングコンテンツの最適化
顧客データをもとに、生成AIで個別化された広告や販促資料を作成することで、マーケティング活動の効果を高める。

この取り組みによって、顧客とのエンゲージメント向上が見込まれる。

3.従業員・顧客満足度などのエンゲージメントの向上

他にも、生成AIは、単純作業を自動化することで、従業員がより創造的な業務に集中できる環境を作り出す。

このような変化は、従業員のモチベーションや働きがいの向上にもつながる。

パーソナライズされたトレーニングの提供
生成AIは、個々のスキルやキャリア目標に合わせた教材やシナリオを作成することが可能である。

創造的業務への集中
ルーチンワークを生成AIに任せることで、社員は戦略的な意思決定やクリエイティブなプロジェクトに集中できる。

この環境変化が、社員の働きがいを向上させ、組織全体のパフォーマンスを引き上げると考えられる。

他にも、

顧客対応の迅速化
チャットボットやAI生成のテンプレートを活用すれば、24時間体制で顧客からの問い合わせに対応可能となる。

これにより、顧客満足度を向上させつつ、人員負担を軽減することが期待される。

AI経営の効果

生成AIは業務効率化だけでなく、企業のブランド価値を向上させる強力なツールとなり得る。

革新的な取り組みをアピールし、顧客や従業員からの信頼を獲得することが、競争の激しい市場で優位性を確立する鍵となる。

1 企業イメージの向上

生成AIの活用は、企業ブランディングでも有効な手段である。

特に、新しいAI技術を積極的に取り入れる姿勢は、顧客やステークホルダーに対して「先進的な企業」という印象を強く与えるだけでなく、企業全体の信頼性とリーダーシップを高める効果がある。

このような姿勢は、競争の激しい市場環境の中で他社との差別化を図るための重要なポイントとなる。

また、生成AIを取り入れることで、企業の内部文化にも良い影響を与える。

特に、社員が最先端の技術に触れる機会を得ることで、企業全体にイノベーションマインドが浸透しやすくなる。

結果として、生成AIを活用することは単なる効率化や技術導入にとどまらず、企業全体のブランド価値を強化し、業界内での地位を確立するための長期的な投資と言える。

2 人材の獲得と育成

生成AIを活用することで、採用活動と人材育成の両面で大きな効果を期待できる。

これにより、優秀な人材を引きつけ、社員が継続して成長できる環境を提供することが可能となる。

まず、生成AIを活用している企業であることをアピールすることで、
最新テクノロジーを活用する企業で働きたい
と考える優秀な人材を惹きつけることができる。

採用活動において、企業の先進性を示すことは非常に重要である。

さらに、生成AIを利用して個々の社員に合わせたトレーニング教材を作成することで、効率的かつ効果的な学習が可能になる。

これにより、社員のスキルアップを支援するとともに、生成AIに関する知識が組織全体に広がる効果も期待できる。

結果として、組織全体の生成AIスキルが向上し、社員個人の成長とともに、企業全体の生産性向上にもつながる。

3 顧客エンゲージメントの強化

3つ目の効果として、生成AIの活用による顧客満足度の向上が挙げられる。

生成AIは、顧客のニーズを的確に把握し、個別化された体験を提供する強力なツールである。

生成AIを活用することで、顧客ロイヤルティを向上させると同時に、ブランド価値の強化にもつながる。

例えば、、、

パーソナライズされた顧客体験の提供
生成AIを用いて顧客データを分析することで、個々のニーズに応じた提案や広告をカスタマイズできる。

このパーソナライズによって、ターゲット顧客の関心を引き出し、購買意欲を高めることが可能となる。

マーケティング活動の効率化
ソーシャルメディア投稿や広告コピーの作成を生成AIで自動化することで、迅速かつ効果的なマーケティングが展開できる。

この取り組みにより、ブランドの露出を増やし、多くの顧客にリーチすることができる。

顧客対応の効率化・高度化
よくある質問を生成AIのチャットボットで作ることで、顧客からの問い合わせに24時間対応が可能になる。

たとえば、製品の使い方に関する質問やトラブルシューティングなど、迅速で的確な回答を提供することで、顧客満足度を大きく向上させる。

まとめ

生成AIは、企業にとって
・業務効率化
・新規事業の創出
・従業員や顧客満足度の向上
といった多様な可能性を秘めた技術である。

しかし、日本企業の生成AI活用率は米国に比べて著しく低く、人材不足やノウハウ不足が大きな障壁となっている。

その結果、活用効果の実感やユースケースの展開において、日米間で顕著な差が生じている。

日本企業が生成AI活用を進めるためには、人材育成とノウハウの蓄積が必要不可欠である。

また、米国における「部門ごとの活用」に学び、日本企業独自のユースケースを創出することが求められる。

生成AIは単なる業務効率化のツールにとどまらず、競争力を強化し、ブランド価値を向上させる「未来の経営戦略の要」である。(With AI)

次回は、生成AIがもたらす経営モデルの変革に焦点を当て、AI経営を成功させるための具体的な取り組みについて掘り下げていく。

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