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セルサイド専門の税理士になった話


シードスタートアップと歩む税理士人生

私は、シードスタートアップに強みを持つ税理士として活動しています。現在、顧問先は50社ほど。
日々、彼らと向き合いながら、スタートアップを取り巻く環境の変化を肌で感じてきました。

IPO至上主義が薄れてきた5年間

ここ5年くらいの間に、スタートアップ界隈で大きなトレンドの変化が起きています。
かつては「誰しもがIPOを目指す」という空気が強かったものの、今では必ずしもそうではなくなってきました。
一方で、シリアルアントレプレナーとして次の挑戦でIPOを目指す動きも見られるようになり、多様な選択肢が生まれています。
そんな中、特に目立つのが「起業から5年以内でのM&A」の急増です。
AI分野ではその傾向が一段と顕著で、短期間でのEXITが現実的な選択肢として広がっています。

セルサイドに立つ理由

私がシードスタートアップの顧問先を多く抱えているからこそ、このトレンドの変化を俯瞰して眺めることができています。
そして、M&Aの場面では、私は常に「セルサイド(売り手側)」の立場に立つことになります。
私は上場企業の経理にも精通した会計士としての経験もあるため、起業初期から私のような専門家を顧問に迎えることで、EXITを見据えたバックオフィス体制を構築することは、起業家にとって非常に有用だと感じています。

M&Aは税理士にとって複雑な喜び

ただ、税理士としての視点で見ると、実はM&Aは必ずしも喜ばしいことばかりではありません。
なぜなら、M&Aが成立すると、顧問先は買い手側の税理士に切り替えられてしまうケースがほとんどだからです。
実際、私もこの戦いではほぼ全敗しています(笑)。
ジョイン後1年ほどは関与が続くこともありますが、そのうち「買い手側の税理士に統一したい」という話が出てきたり、親会社との合併や再編の中で関与が終了したりするパターンもよくあります。

セルサイド税理士としての使命感

それでも、私はこの状況を前向きに捉えています。
セルサイド税理士としての役割にこそ、自分の強みがあると気づいたからです。
起業家が安心して挑戦できるスタートアップ環境を作り上げたり、彼らが資金を手にする瞬間をサポートしたりすることに、私は大きなやりがいを感じます。
この領域に特化することで、他の税理士とは一線を画した存在になれるのではないかとも思っています。
正直、ここまでセルサイドにこだわってやってきた税理士は、あまりいないのではないでしょうか。

これからも、シード支援の旗を掲げて

これからも、私はシードスタートアップ支援に特化し、起業家の挑戦を後押しする存在であり続けたいと考えています。
セルサイド専門の税理士として、彼らの夢の第一歩を支え、EXITまで伴走する。
そんな仕事を、これからも積み重ねていければと思います。

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