株式会社の代表者住所の一部非表示の改正案と意見募集について
2023年12月26日から、株式会社の代表者住所の一部非表示に関して改正案の意見募集が始まっています。
これまでも何度も議論にのぼってきたものの、なかなか実現に至らず、2022年9月にのネット非開示についても直前で方針転換されており、
きちんと当事者・関係者から意見が出されることが大事です。
ぜひ、経営者、クリエイター、フリーランス、スタートアップをはじめとした、さまざまな方から、こういうことが怖い、こういう嫌な思いをした、こういう理由で法人化をやめた、など、生の声を出していただければと思います。
※このnoteは、わかりやすさを優先して書いています。
意見の出し方
意見の提出方法
意見提出フォーム、郵送、電子メールがあります。
電子メールの場合、宛先・件名の指定があり、テキスト形式のみ受け付けています。 詳細:意見募集要領 を参照してください。
必ず書かないといけないこと
意見のほかに、
住所(市区町まででOK)・氏名・年齢・職業
(差し支えの場合は、一部省略可)
を記載する必要があります。
期限
2024年1月25日(木)までです。
詳細
「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集
を参照してください。
改正の概要
一定の条件の下、
株式会社の代表取締役などの住所表記について、
紙の登記とインターネット上の取得サービス(登記情報提供サービス)で取得できる登記両方において、
行政区画(=市町村や東京都の23区)までとすることができるようにする
ものです。
なお、株式会社以外には適用されないものとなっています。
ここからは推測になりますが、
日経新聞において、「住所が非公開でも訴訟手続きを担保する仕組みを盛り込む。」とされており、解釈などで、そうした部分は担保されるものと思われます。
詳細:
商業登記規則等の一部を改正する省令案の概要
商業登記規則等の一部を改正する省令案
意見について
意見は、「改正のどの部分についての意見なのか」「賛成・反対する場合はその理由」を記載する必要があります。
今回は、以下の部分についての意見が多くなるかとは思っています。
1
商業登記規則31条の3第1項「登記事項証明書又は登記事項要約書に、当該住所につき行政区画以外のものを記載しない措置(以下この条において「代表取締役等住所非表示措置」という。)を講ずるよう申し出ることができる。」
商業登記規則31条の3第2項「登記官は、前項の申出があつた場合において、当該申出が適当と認めるときは、代表取締役等住所非表示措置を講ずるものとする。」
という部分=紙の登記で、住所表記を行政区画(=市町村や東京都の23区)までとすることができるようにするもの
2
電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則第1条第1項 二の二「同規則第三十一条の三第二項の規定による代表取締役等住所非表示措置が講じられることとなるもの」
という部分=インターネット上の取得サービス(登記情報提供サービス)で住所表記を行政区画(=市町村や東京都の23区)までとすることができるようにするもの
ぜひ、経営者、クリエイター、フリーランス、スタートアップをはじめとして、さまざまな方から、こういうことが怖い、こういう嫌な思いをした、こういう理由で法人化をやめた、など、生の声を出していただければと思います。
それ以外の添付すべき書面や手続きなど、技術的な部分については、専門家や関係団体・企業が意見をすることが想定されます。
参考(修正される内容の詳細)
商業登記規則等の一部を改正する省令案のうち主要な部分は以下になります。
商業登記規則
(新設)
第三十一条の三
株式会社の設立の登記、本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記、代表取締役若しくは代表執行役の就任若しくは住所変更による変更の登記、清算人の登記又は代表清算人の就任若しくは住所変更による変更の登記の申請をする者は、
当該登記により登記簿に住所を記録すべき代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下この条において「代表取締役等」という。)の住所が記録される登記簿に係る登記事項証明書又は登記事項要約書に、
当該住所につき行政区画以外のものを記載しない措置(以下この条において「代表取締役等住所非表示措置」という。)を講ずるよう申し出ることができる。
この場合においては、登記の申請書に代表取締役等住所非表示措置を講ずべき代表取締役等の氏名及び住所を記載するとともに、
既に当該措置が講じられている金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所(以下この条において「金融商品取引所」という。)に上場されている株式を発行している株式会社(以下この条において「上場会社」という。)を除き、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書面を添付しなければならない。
一上場会社以外の株式会社(代表取締役等住所非表示措置が講じられていない株式会社に限る。)
次のイからハまでに掲げる書面
イ登記の申請がその代理を業とすることができる代理人(以下「資格者代理人」という。)によつてされた場合において当該資格者代理人が当該株式会社の本店がその所在地において実在することを確認した結果を記載した書面又は当該株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便若しくは信書便の役務のうち配達証明郵便に準ずるものとして法務大臣の定めるものにより送付されたことを証する書面
ロ代表取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該代表取締役等が原本と相違ない旨を記載した謄本を含む。以下この条において同じ。)。ただし、登記の申請書に当該証明書を添付した場合を除く。
ハ登記の申請が資格者代理人によつてされた場合において当該資格者代理人が犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)第四条第一項の規定により確認を行つた当該株式会社の実質的支配者(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成二十年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第一号)第十一条第二項に規定する実質的支配者をいう。以下この号において同じ。)の本人特定事項(同法第四条第一項第一号に規定する本人特定事項をいう。以下この号において同じ。)を記載した書面その他の当該株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面。ただし、当該株式会社について商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則(令和三年法務省告示第百八十七号)第七条に規定する実質的支配者情報一覧の写し(当該登記の申請の日の属する年度又はその前年度に同告示第二条の申出をしたものに限る。以下この条において同じ。)の交付又は同告示第二条の申出がされており、かつ、その旨が登記の申請書に記載された場合を除く。
二上場会社以外の株式会社(既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている株式会社に限る。)代表取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書。ただし、登記の申請書に当該証明書を添付した場合を除く。
三上場会社(代表取締役等住所非表示措置が講じられていない株式会社に限る。)金融商品取引所に当該株式会社の株式が上場されていることを認めるに足りる書面
2登記官は、前項の申出があつた場合において、当該申出が適当と認めるときは、代表取締役等住所非表示措置を講ずるものとする。
3代表取締役等住所非表示措置が講じられている株式会社の登記の申請があつた場合において、当該措置が講じられている代表取締役等の住所と同一のものを登記するときは、登記官は、当該代表取締役等の住所につき、引き続き当該措置を講ずるものとする。
4登記官は、次に掲げる場合には、現に効力を有する登記事項(清算結了又は第八十一条第一項若しくは第百十七条第三項の規定により登記記録が閉鎖されている場合においては、当該閉鎖時に現に効力を有していた登記事項)について代表取締役等住所非表示措置を終了させるものとする。
一代表取締役等住所非表示措置を講じた株式会社から当該措置を希望しない旨の申出があつたとき。
二代表取締役等住所非表示措置を講じた株式会社の本店がその所在地において実在すると認められないとき又は上場会社であつた当該株式会社が上場会社でなくなつたと認められるとき。ただし、当該株式会社の登記記録が閉鎖された場合を除く。
5代表取締役等住所非表示措置を講じた株式会社が前項第一号に掲げる申出をするときは、申出書に当該措置を希望しない代表取締役等の氏名及び住所を記載するとともに、申出書又は委任による代理人の権限を証する書面に当該株式会社が登記所に提出している印鑑を押印しなければならない。
6登記官は、代表取締役等住所非表示措置を講じ、又は終了させるに当たつて必要があると認めるときは、株式会社の代表取締役等に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求めることができる。
電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則
「」部分を追加。
第1条第1項 二の二
商業登記簿、法人の登記簿、投資事業有限責任組合契約登記簿有限責任事業組合契約登記簿又は限定責任信託登記簿に記録されている登記情報のうち、商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第三十一条の二第一項(他の法令において準用する場合を含む。)の規定
「による住所非表示措置又は同規則第三十一条の三第二項の規定による代表取締役等住所非表示措置が講じられることとなるもの」
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