営業ノルマよりも、大切にしたかったこと
先日、営業に向いているということとは、という記事を書いて思い出した話があったので、今日はそれについて書こうと思います。
前回の記事についても、読んで頂けると励みになります。
とある住宅分譲業者の担当者とのやり取りの中で、営業数字よりも自分の大切にしているもの、プライドを守ったという話です。
その住宅分譲業者は、地元ではかなり大きくやってる業者で、我々の金融機関への住宅ローン関係の持ち込みが数多くある業者でした。
私は、その業者を担当することになり、前任者から引継ぎを受けて、週1〜2回のペースで訪問し、住宅ローン案件の持ち込み依頼や相談を受けたりする仕事をしていました。
前任者は、業者の担当者達との良い関係が築けていて、何かあればその前任者に相談がいくような状態になっていました。
私も、そういった関係づくりをすることで、業者からうまく案件を拾うことで融資のノルマを達成したいと思ってました。
しかし、前任者の属人的なグリップが引き継がれるわけではありません。
担当は変わったばかりということもあり、今まで二番手三番手だった他の銀行に案件が回るようになりました。
私の元に相談が来るときは、誰がやっても通らないような案件が多かった気がします。
そんなある日、いつものように業者訪問すると、
「これから家を買おうか相談に来るお客さんがいてローンの相談も一緒にしたいって言ってるんですけど、同席してもらえますか?」
と業者担当から言われ、私は逆転のチャンスだと思って、了承しました。
すぐにお客様は到着し、面談が始まりました。
お客様の話を聞いていくと、いくつかの違和感を抱いていきました。
業者の口から出てきた言葉は、目の前のお客様をほぼ騙す為のものといってもいいようなものだったからです。
自分のノルマの為に、紹介出来るのはこの物件だけだと言ったり。
所得の少ない、審査の難しいお客様に、ローンは通るから大丈夫と言ったり。
訳の分からない夢を語ってお客さんをその気にさせようとしたり。
私のイメージとは大きく異なった形で進行していきました。
自分が普段が行っていた、しっかりお客様の話を聞いて、問題解決をしていくというスタンスと大幅に乖離していたからです。
聞いていて嫌悪感しかありませんでした。
もう少し話が進むと、援護を求めるような顔をした業者担当は私に向かって、「この物件のローン大丈夫ですよね、通りますよね?」と聞かれました。
気付いたら私は、
「お話伺いましたが、今回の件は厳しいと思いますね」
という言葉を発していました。
目の前の数千万円の案件や、今後の数億円の見込みを捨ててでも、私は自分のプライドを守りたいと思いました。
私は業者担当の話を聞いている時に、この人と一緒に仕事をしたくないし、今後同じ様な嘘をつき続けるのは無理だと思いました。
それ以降、その担当から連絡が来ることは一度もなかったですし、私もその人宛に訪問することはなくなりました。
でもそれで良かったんです、
私にとって、捨ててはいけないものをちゃんと守れたことが一番大切なことだったので。
人生の目標は、豊かな老後を過ごすこと。
そこから逆算した日々を過ごします。
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