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日々を刻む 機微がメロディ

・bird viewとは

鳥瞰図(ちょうかんず bird-eye view)、のことで
読んで字のごとく、鳥が上空から斜め下を見下ろしたかのように作られる図法のことらしい。
空を飛ぶ鳥の目線のようだから鳥瞰図、またの名を俯瞰図(ふかんず)

どうもケントです。
アルバム「echolocation」振り返り3曲目、
今回はbird viewという曲について書きます。

・バイエルのような

夕方、家の周りを散歩していると、
どこからともなく聞こえてくる、ピアノを練習している音。
おそらく近所の家からなんだろうが、たどたどしく、しかし何回も繰り返されているシンプルなメロディ。
妹が子供の頃ピアノを習っていたので俺は知っていました。
これは「バイエル」という、いわばピアノ初心者の練習のための教則曲だってことを。

俺の中でのこの曲のテーマ、というかきっかけは
「バイエル(練習曲)みたいなメロディを作りたい」でした。

自分の作り出す音楽に一本筋として通ずるテーマに「普遍性」というものがあって
普遍的である事を俺はかなり(特にメロディに関しては)意識して曲を作っています。
悪く言えば「つまらない」「ありきたりな」みたいな事になりかねないんだけど、そこをいかに面白く良い曲に仕立て上げるかが自分のハードルであって、
俺の中でたくさん内在する、グッドメロディの一つの物差しとして「普遍」というのが存在しているという感じ。
そしてその普遍性のアンテナに、ピアノのバイエル教則曲はビシビシと引っかかっていたのだ。

・ゲームに食らって書けた曲

ちょうどこの曲を作り始めた5月くらいの時期に、
むちゃくちゃ大好きな某会社の某ゲームの続編が発売されており、
(某、広い世界を隅々まで探索できて、最終的にお姫様を探し出して助ける、緑色の服着た剣士が主人公のゲーム)
その新作ゲームをやらなければ、俺の心はぶっ壊れてしまうかもしれない、しかし曲の締め切りは待ってはくれない。という、超くだらない苦悩に悩まされていた。

ただ、そのゲームが、“本当に良かった”ので、めちゃくちゃ影響された俺は
気がついたら歌詞をフルコーラス書き上げていました。
みんなも絶対やったほうがいい、世界で一番おもろいぞあのゲーム

・Orca-Lucaのアタリマエを見直す

bird viewを作る上で大事なエッセンスとして、
「転調をめっちゃする」というのがあった。
これは、そもそもOrca-Lucaで俺が作る曲に
転調をする曲がほっとんど無かったという事実がまずあり、
やはりここは楽曲制作をする上でのバリエーションのひとつとして
普段やってないことを真正面からやる、というのは絶対やるべきだと感じたので、今までしなかった分のリバウンドくらいバチクソに転調してます。

あと、アレンジの面でも、
俺の歌があって、まえちゃんのコーラスがハモり、
でけえギターがコードを鳴らし
後藤くんのベースがうねうね動いてまえちゃんのドラムがそこに絡む、
という3ピースロックバンドにありがちな多重レイヤーなアレンジが
割と今までの作り方だったんだけど、
この曲では意識的に隙間を感じるような、
3人の出音がパズルみたいに組み合わさって、バランス取って釣り合ってるみたいなサウンドを目指してアレンジを構築しました。

冒頭〜Aメロのアレンジとかまさに顕著で、
狭いトンネル→抜けたら超いい景色!→またトンネル、のような
緊張→緩和の切り替えみたいなものをやってみたかったんだよね〜

・目論見が全部うまいこと噛み合った

というわけで、この曲は色んなエッセンスがたまたま見事に組み合わさって、自分でもびっくりするくらいハジメテな事がたくさん内包された一曲に仕上がった、という所感です。
今回のアルバムでも上位を争うくらい美しいメロディライン書けたと自負しております。

次回の記事では、「ロストサマー」という曲の振り返りをば。
それでは皆さんあったかくして、おやすみなさい。

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