Arnoldの猫 3

前回のノートは以下。

前のノートで図を使って・・・と書いたが、Arnold and Avezの本を読み返したら、図を使って何かを説明しようとしていたのではなかった。

このノートではもう少しArnoldの猫の具体的な性質に踏み込む。いずれ、Arnoldの猫が一様双曲系(C-力学系とも呼ばれる。また、Arnoldの猫のような場合はAnosov系でもある。)であることを紹介するつもりなので、その準備をしばらくしていく。一様双曲系がどのように定義されるものなのかはそのときに。ひとまずは、理想的なカオス系のことだと思ってくれてよい。

以下の行列はArnoldの猫の線型安定性行列(Jacobi行列)と呼ばれる。

画像1

この行列の行列式は1なので、Arnoldの猫は面積保存写像である。つまり、Arnoldの猫を適当な図形に作用させると、図形は引き伸ばされたり縮んだりするが、その面積は変化しない。

また、この行列の最大固有値は

画像2

であり、λをArnoldの猫の拡大率(expanding rate)と呼ぶ。つまり、Arnoldの猫を適当な図形に一回だけ作用させたとき、最も大きく引き伸ばされる方向にはλ倍される。

次回はArnoldの猫の周期点について。

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