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縦位置
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縦位置の写真の面白さは、一目で把握しにくい形にあるのだろう。
人間の2つの目は水平位置にあるので、左右の視界は広くても
上下に対しては広くない。
小さい写真でも縦位置の写真では視線の移動を強制するので、
より奥行きがあるように錯覚したり、
見えていない上下の端にある被写体をボヤっと見ている事で
主題に集中するような効果も生まれてくる。
加えて、スマートフォンで見る場合には縦位置となるので、親和性が高い。
Instagramでは写真と少しのコメントを同時に見る事が容易な真四角な写真を
強制するようなフォーマットでスタートしているが、横位置の画像を見る習慣は
テレビの視聴が少なくなる事で廃れていく可能性も高いのでは?
と思っていたりする。
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自分としては縦位置の写真の方が好きなのだが、仕事で撮っていた時は横位置の物
や四角い写真を求められ事が多く、一時期、横位置写真は仕事、縦位置写真は趣味で撮る・・な感覚で撮っていた事があった。
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もちろん、フライヤー(チラシ)に使う写真は縦位置で撮るのだが、その場合は
文字を焼き込むスペースを取った構図になるので、ちょっとバランスが悪い写真に
なりがちだ。
・・と考えてしまうあたりが仕事で撮る事に毒されている証拠だけど、それはもう
長年染み付いた行動なので諦めてはいる。
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明日の天気はどうだろう。
先日書いたパラトライアスロンがあるが、仕事ではないので雨が降りそうなら
撮りに出るつもりはない。
仕事だったら、ずぶ濡れになろうと撮る物は撮るし、カメラ・レンズ以外が濡れて
も死なないと考えるし、1人で行くなら帰宅時に濡れ鼠にならないように着替えも
用意して臨むのだ。
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街中で見つける何かを切り取る行為は、
仕事じゃないが故に純粋に表現にこだわって撮る事ができて、楽しい。
積み重なった経験がさせる準備や撮り方が、例え仕事と同じだったとしても、
まるで違う写真になるのは当たり前のこと。
何故なら、狙っているものも見えているものも違う、のだから。
明日はどんなものが見えるのだろう。
それが、シャッターを押したいと思える魅力ある光景で、ありますように。