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冬の光を探して

いきなり寒い。
風が冷たくて驚く。
でももう師走も終わりに近づき、冬まっただ中で当たり前。
と言う事で、冬の光をテーマに街の風景を撮ってみた。

自分が好きなモチーフで撮ると、こんな感じになる。
冬っぽい光の角度と透明感が自分の好みに合うこの時期、光と影を意識すれば自ずとモノクロで・・と現像したくなる。
 
夏の湿度を含んだ空気感も嫌いでは無いけど、乾燥が強くなって初めて見えてくるコントラストの気持ち良さが勝るのだろう。

例えばこんな1枚、夏ではこうは写らない。
 
カラーでも良いカットだけど、青空と黄色い龍の提灯のコントラストが強すぎて、道に落ちる龍の影が見落とされやすくなる。
だから、光と影という観点でみれば失敗になるワケで、影にこそ意味を持ちたい気持ちがあったので、モノクロで仕上げる事とした。

光の角度によって象られる光景は、季節感だけじゃなく土地が持つ個性も感じさせてくれるもの。
 
1986年に仕事でイギリスに行った際、エアの経由地だったアンカレッジのアンバーに彩られた斜めの光によって描かれる世界の美しさに魅了され、以来コントラストが強く斜めの日差しの中に浮かぶ世界を切り取りたい、という暗示にも似た意識が心の中にしっかりと焼き付いてしまった。

ビルの窓に反射した日差しが、面白い効果を見せてくれるのも今だから。
そしてそれは、こんな歴史的建造物の持つ魅力を増す力も秘めていたようだ。
 
例によって、プラグインを使ってフワッとした光にしてみたらどうだろう・・と遊んでみたのが次の1枚。
当然だけど冬らしさが弱くなってしまうが、この効果は嫌いじゃない。

色が無いからこそ、テーマを感じさせるのに有利なモノクロだが、より構図に厳しくなるのは当然の帰着。
 
夜になれば色は闇に隠されて、照明によって浮かび上がる色だけが夜の世界を支配する。だから色を意識して撮りたくなりがちだけど、モノクロの方がよりテーマに寄り添えると感じていて、撮る時にちょっと考えてしまう事も多かったりする。

色の洪水になっている中華街を、モノクロで撮るのは難しい。
より光と影を意識して撮るのだけど、冬の空気が切り取れたかは悩ましい。
 
そして、夜ならではのカットを撮ってみたけど、影の中に意識を潜ませるのは難しい・・と確認させられてしまった。
 
でも、これはこれで良いのです。
 
撮ったその時の自分の気持ちも写るのが写真なので、そこはアウトプットする意味はあるワケで。

ホテルニューグランドは、歴史あるクラシックホテルとしてあまりに有名。
第二次世界大戦後、米軍の最高司令官宿舎として使われ、マッカーサーズスイートという名で、当時を忍ぶ事ができる本館の部屋が存在している。

そんな本館の中庭はフォトジェニックな場所として有名で、クリスマスカード用のカットとして、この時期ニューグランドに訪れたら必ず1枚は写真を撮ってきた。
 
まぁ、ここに行けば誰でも撮れるカットだけど、クリスマスカード用だと人の存在は無くしたいので、撮影に興じるカップルや観光客が退けるまで、結構時間がかかってすっかり身体が冷え切ったのは言うまでも無い。
 
それにしても、クリスマスを祝うって習慣、いつからの事なのだろう。
大人になってからは、クリスマスは働く日って思っていたし、プレゼント交換なんて客がイベント的に騒ぐネタだって冷ややかに見ていただけのこと。
 
それでも、デコレーションされたプレゼントをもらったら、嬉しいんだろうなぁ・・と思った事もあってこんなカットも撮ってしまったのは、なんとなく気恥ずかしかったりする

今週はそんなクリスマスがやってくる週。
アメリカでは多様性を考えて、キリスト教と無関係な人々に敬意をはらって「メリークリスマス」と言わなくなったと聞くが、日本では相変わらず「メリークリスマス」。
ま、八百万の神を信じる国なので、それはそれで良いのでしょう。
 
ちょっと早いけど「I wish you a Merry Christmas!」

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