PowerShot S95はDXOで蘇る? 〜横浜公園等で撮り比べてみた〜
以前に、DXO社製現像ソフトについて書いているけど、その優秀さにひょっとしたら・・・と思ったのは、コンパクトデジタルカメラでの撮影にも有効じゃないか?って事。
PhotoLabには各社のカメラ&レンズデータが設定されていて、2010年に発売されたPowerShot S95の補正データもあったので、予備カメラとして購入し使っていたのだが、Kissを導入した時点で使うケースは激減。そしてRシリーズを使うようになったら、ほぼ使う事は無くなっていた。
S95はRawデータ保存ができるので、各種補正だけではなく他社カメラのトーンを反映させる事も可能。ただRawで撮影する場合はピント位置が固定になってしまう欠点があるので、使い方にはコツが必要ではあった。
DXO PhotoLabで1次現像。Ilford Pan F+ 50のトーンをかけて処理し、Photoshopでリサイズと調整を行った。
たかが10メガのセンサーでも、DeepPRIME XDの効果によってかなり使える事がわかる。同じ場所でR5で撮ったらどうなるか?という意味で撮った写真はこちら。
S95とほぼ同じ処理を行ったのだが、note用にリサイズした写真を見比べるとちょっと見わからないレベルで撮れた事がわかった。
今回は検証用にR5は敢えてISO1600で撮っているが、DeepPRIME XDの能力によって高感度で撮っている影響は画面に出ていない。
映像エンジンがDIGIC4のS95とDIGIC4ⅩのR5では、発色からしてまるで違うのだが、PhotoshopのプラグインでNIK-CollectionのColor Efexを使えば、かなりの線まで補完する事ができた。
センサーサイズの違いは特にピント特性に出るのだが、これだけの明るさの中では気にならないが、比べてしまえばフルサイズセンサーのR5の方が空間表現が豊かなのは言うまでもない。
S95は1/1.7型センサーでかなり小さく、それゆえ基本的にパンフォーカスに写るので、画面中央にしかピントが合わなくても問題無い画像が得られる。
ちなみにiPhone15のセンサーは1/1.5型相当になるので、同様の写りになるはずだ。
逆に言えば、ピント位置以外がボケた写真を撮る事が難しいわけで、撮影後にソフトなどでボケを演出するような加工をしないと、フルサイズセンサーのR5と同じ様な写真は作る事ができない。
センサーサイズの違いがわかりやすいカットとして2枚、同じ場所で撮った写真を
比較用にアップする
ボケが出る事で、見て欲しいポイント(ピントがある位置)に視線誘導がしやすくなる事から、スマートフォン等では複数のカメラを使って背景をボケさせるポートレートモード等が設定されている。
Rawデータで記録するにはAdobeのLightroom等、撮影・加工用ソフトを活用する必要があり、しかもpixel単位での画像はかなり悩ましい状況にあるので私自身はS95を活用した方が楽かな、と感じている。
こんな写真が撮れてしまうなら日常的なスナップ撮影はS95でも十分だと思うけど、映像エンジンの古さは悩ましい部分もあり、こういった色が強く出る被写体においては比べるのが間違いなレベルで写りが変わってしまうのが、悩ましい。
色の再現力は映像エンジンの能力で大きく変わり、同じ処理を行っても高輝度や高彩度の部分の飛びや潰れをみると、如実に差が出てしまった。
ただPureRawやPhotoLabを使ってRawデータを加工すれば、S95は未だに現役で活用できる事がわかったのは収穫。コンデジがここまで使えるのなら、KissX6iをもう一回使っても面白いかも知れない。
とは言えAPS-Cでは超広角レンズを使うのは難しく、EFレンズでは14mmまでしか持ってないので、こんな写真を撮る事は不可能になる。
元来、広角好きな自分としては、その欠点(利点?)は嫌いでAPS-Cから離れたのだから、5DMarkⅢとか5DMarkⅣを再利用した方が良いのかも。
問題はRシリーズに比べて大きく目立つこと。
バッテリーグリップなんか着けたらさらに・・・だけど、SIGMAのArtシリーズなんかを使う時は、バランス的にもバッテリーグリップが欲しくなる。
なので、結局S95とかKissX6iが現実的って事になりそうだ。
それにしても、横浜公園のチューリップは見事な咲きっぷり。
毎年の事で、行っても変わった景色が撮れるわけではないので毎年訪れてはいないけど、久しぶりに撮ってみたら艶やかで素敵だった。
来週はもう、ここまでの景色は期待できないかも知れないが、それよりも夏の気配が漂うほうが恐ろしくもあるね。