鉄板で作るグリル・サンドイッチの魅力
サンドイッチを食べるチャンスはコンビニランチで選ぶくらいだが、それはそもそもサンドイッチが主食的な位置にあると認識していないからだろう。
毎朝パンを食べていても、主食と言えば米飯が真っ先に思い浮かぶ食生活を送ってきたってのもあるが、サンドイッチの専門店が少なかったというのも大きいように思っている。
最近、おにぎり専門店ができてきて具材や米その物の吟味も進んでいるが、コンビニで売られるおにぎりのレベルが高すぎるので、主食と捉えられ難いサンドイッチに至っては、サブウェイの苦戦があるように今ひとつ突き抜けた存在が少ないのだろう。
このサンドイッチは「リアン・サンドイッチ・カフェ」という店のローストビーフサンドイッチ。
パンは3種類(パヴェ・ライ・ホワイト)から選べ、具材も10種類以上でオプションで追加できたりするが、こうやってテイクアウトで持って帰れるのでランチにちょっと贅沢する時は、オフィスに持って帰る事も多かった。
自分としては「サンドイッチのパンは焼いてない物」という概念があったのだが、アメリカンフードの影響が大きい横浜でも、グリルサンドやメルトサン等のホットサンドイッチはポピュラーではなかった。
トーストされたサンドイッチと言えば、真っ先に頭に浮かぶのはこの「クラブハウスサンドイッチ」。
これは横浜ロイヤルパークホテルのメインバーで出されていた物だが、インバウンドに対応するためにメニューから消えてしまったのが残念だったりする。
クラブハウスサンドイッチはアメリカのカジノクラブで考案されたので、その名がついたのだが、本来はBLTにターキーを加えてマヨネーズで味付けしたものとなるから、このサンドイッチはそれを日本的なアレンジとして玉子を加えてソースを工夫した物となる。
気がつけば・・だが、飲食店でサンドイッチを食べる場合、少なくともパンはトーストされているものを選んでいるのは、パンが温かくクリスピーで美味いからに他ならない。
店側としてもその方が人気があるのか、言わずともそういったスタイルで提供する事が多いようにも感じている。
これは、元町にある「バーガージョーズ」の「ステーキサンドイッチ」。
アメリカンフードを様々なスタイルで提供する(株)アメリカンハウスの店舗ブランドの一つで、グリルサンドの形態でサンドイッチを出してくれるので、たまに食べにいく店の一つだ。
グリルサンドはグリルで焼いた物になるが具材を挟んだ後に焼くので、全体的に温かく食べられる。そこにチーズが入っていて熱で溶けていればメルトサンドイッチとなる。自分としてはデニーズがまだ日本法人になる前の時代、ローカルなアメリカンフードとしてあった「コンビーフ・ハッシュ・メルト」が初体験で、その時はメルトが溶けたチーズの事を指しているとは気づけなかった。
勿論、メルトという名称がついていなくてもメルトサンドイッチになっているホットサンドイッチは多くあるし、プレミアムハンバーガーショップで出される「パティ・メルト」は、ハンバーガーパティと鉄板がある事で作成可能だからメニューに載っている事が多い。
だが、「ツナ・メルト」ぐらいしか知られていないメルトサンドイッチは、一般的に流通するチーズその物の味の差が大きい事から、当分その魅力に気づけない状況は続くのだろう。
このハンバーガーは大桟橋のカフェ&ダイニング「ブルー・ターミナル」の「ダブルチーズバーガー」で、オススメにある「ブルーターミナルバーガー」が豚肉のパティだったためにチョイスした物。(オープン当初にあったが、現在はクラフト・ジャパニーズ・バーガーと称してブルーターミナルバーガーとテリヤキチキンバーガーしか無いようだ)
ハンバーガーは当然だけどサンドイッチの一種。
プレミアムハンバーガーを出す専門店が多く出店する様になって、メルトサンドイッチっぽい物まで登場する様になった。ただ、ハンバーガーはメルトサンドイッチ的に、挟んでから加熱する物ではなかったので、こんな形にするにはバーナーで炙るなどの努力は大変だと思う。(だからメニュー落ち?)
で・・・話を戻すが、鉄板を使ったグリルサンド、本来グリルとは網焼きを意味するので頭の中に「?」が浮かぶのだが、そこら辺もアメリカンフードなので気にしない事にする。
実際、「パティ・メルト」の作り方を調べると、チーズバーガーのバンズをライブレッドに換え、フライドオニオンを合わせて全部を鉄板で加熱してチーズをとろけさせ(メルト)て具材を合体させる、とあって鉄板調理がマスト?な状態だった。
そう言う意味でも、鉄板を主に調理器具として使う店=ハンバーガーショップでメルトサンドイッチが用意されるのは当然の成り行きなのだろう。
そんなグリルサンドの専門店は、2015年に開店した「バイ・ミー・スタンド」の影響があって、2017年頃から徐々に増えてきたように感じているが、これまた食文化の違いがあって、劇的に増える事も無く、場合によっては閉店する方向さえ見えているのが現実だ。
この写真は、「バイ・ミー・スタンド 元町店」の内観。
2016年4月に1号店から遅れる事7ヶ月弱でオープンし、外国文化に慣れ親しんだ人達や外国人居住者の人気を博し、現在もタイミングが悪いとウェイトになるほどの盛況ぶり。
当然の事だけど調理は鉄板で焼く&加熱するというスタイルなので、チーズが溶けて具材と一体化された熱々が食べられる。
そんな「バイ・ミー・スタンド」のメニューの中で一番好きなのが、「ブルーマンデー」というブルーチーズを使ったグリルサンドだ。
黒パンを使い、ブルーチーズ・牛肉・キャラメリゼしたタマネギ・スライスオレンジを合わせ鉄板の上で蒸し焼きされると、チーズはご覧様にとろけて渾然一体となる。専用に焼かれたパンはクリスピーで軽く、濃厚なブルーチーズのコクと甘辛い味付けのタマネギが良いバランスを見せ、オレンジの爽やかさをそれらを底上げするバランスを見せるのだ。
この肉とフルーツの取り合わせに、チーズの塩気と濃厚なコクが見事なコントラストになって、ズシンとした食べ応えを受け容れつつもすんなりと食べきれるバランスが素晴らしい。
一度食べて以来、すっかりファンになったサンドイッチだが、もう一つ心惹かれるグリルサンドがある。
それはこの「アップルチークス」。
オーナーがアメリカで出会って衝撃を受け、レシピを20ドルで買ったという逸話もあるこの「アップルチークス」は、豚バラとカマンベールをメインにスライスしたリンゴとタマネギがアクセントになっているグリルサンドだ。
豚肉とリンゴのソースの取り合わせは秀逸で、焼いた豚肉とリンゴとバターのソースを合わせたり、生姜・タマネギ・リンゴのソースを合わせるのはもはや定番と言っても過言では無いだろう。
食べる前からマッチングの良さが想像できるこのサンドイッチは、カマンベールの塩気と薄く切ったリンゴの甘酸っぱさのバランスが良く、鉄板の上にボウルを乗せて蒸し焼きにしてチーズをとろけさせる事で、食感のコントラストも演出しているのがあざとい。
・・と書いてたら、久しぶりに「バイ・ミー・スタンド」へ行きたくなってきた。
写真を見るだけで食べた時の記憶が蘇るから、恐ろしい。
と同時に、食べ物の写真は「記憶の鍵」としての効果があって、面白さと有益性を兼ね備えているとも感じてしまう。
今日は、大桟橋で護衛艦の展示があったり、山下公園でドラゴンボートレースをやってたりで、元町中華街方面は人だらけ。
「バイ・ミー・スタンド」へ行くつもりだったのに「桃源邨」の入口辺りで人混みに負けて・・・の皿ワンタン&ビール!
ま、これも楽しいので良しとしますね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?