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雪吊り

金沢の写真、第二弾!
 
時期的にはちょっと早いとわかっていたけど、雪国なら可能性はあるか・・と思っていたのは紅葉。
 
でも、最近の酷暑の夏の長さは秋を侵食しているようで、横浜中心部の銀杏の色付きは、12月に近い時期まで待つ必要がありかつ、あっという間に散っていく傾向が強くなってきた。
 
だからダメ元で向かってみたのは兼六園方向。
兼六園は雪吊が1日にスタートし園内約700ヶ所に施していくので、有名な唐崎松の雪吊り作業が見られるだろうと考えていた。
だけどその前に紅葉が期待できそうな、兼六園の隣にある旧金澤陸軍兵器支廠兵器庫(現在:石川県立歴史博物館)へ行ってみた。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/6.3 1/320s 35mm

ご覧の通り辛うじて紅葉がある、くらいの色付きで構図でどうにか秋な気配を見せたけど、まだまだな状況。
 
写真奥に写る旧金澤陸軍兵器支廠兵器庫は、横浜の赤レンガ倉庫に似て非なる姿があって、倉庫自体に興味が湧いた。
グーグル先生に質問してみるとこの倉庫、明治から大正にかけて3棟が竣工し、戦後は金沢美術工芸専門学校(現在の金沢美術工芸大学)の校舎として使用されていたらしい。

EOS R5 RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO250 f/6.3 1/320s 147mm

赤レンガ倉庫は日本各地に存在しているけど、レンガの積み方の違いが建築当時の情勢を想像するにも役立つので、建築に詳しい人は楽しめるポイントとしてチェックするはず。
ちなみにこの積み方は「イギリス積み」で、長い方を表に出して積む段と短い方を表に出す積む段が一段おきに積まれている。(東京駅と同じ)
 
横浜の赤レンガ倉庫は基本が「イギリス積み」で角の部分だけ「オランダ積み」(使っているレンガのサイズが違う)になっているとか。
だが横浜の山手辺りになると「イギリス積み」より古いとされる「フランス積み」(正確にはフランドル積みで、誤訳された)と言われる長辺と短辺を交互に積む積み方を応用した石積みがあり、山手=ブラフという事で「ブラフ積み」言われたりもしている。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/6.3 1/320s 35mm

路面にも当時の石材やレンガ等が使われていて・・と書き出すと長くなるので、レンガの話は終了。
 
道を挟んだ場所にある兼六園に行ってみる。
狙いは勿論「雪吊り作業」だ。

EOS R5 RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO200 f/4 1/400s 200mm

随心坂口から園内に入ろうと旧津田玄藩邸脇から向かうと、脇の池に鴨がいた。
 
どれどれ・・・と久しぶりに瞳検知で撮ってみたら、バッチリと瞳にピンが来てびっくり。モデル撮影とかには便利な機能だけど普段はほぼ使わないのだが、こういった場合には有効だと再確認する。
 
ところで、一眼レフカメラを使っている時には有効だと流行った「親指AF」を使っている人って、今現在どれくらいいるのだろう?
 
ムービーカメラ上がりな自分としては、マニュアルでフォーカスした方が意図を反映させやすいと感じているし、AFを使う場合でも1点しか使わないので、親指AFの価値がわからなかった。
 
勿論、AF機能が要らないと言わない。
スポーツ系の撮影時、被写体のピントを合わせ続けてくれるのは人間業では難しいし、鳥の場合はそもそも瞳がわからないような場合でもピクセル等倍でみるとバッチリ合っていてAF機能様々だ、と思っている。
 
加えてデジカメで動画も撮る事が一般的になってきた今、フォーカスを送るようなAF機能も充実してきて、アマチュアが動画に入っていくには実に便利になったと思うのだ。
 
それでも、良いと思った時にシャッターを切る様な撮影には、領域拡大やゾーンAFにしておいてAFが迷ったらチャンスを逃すので、1点AFにしておいて狙う方が確実なのだ。
結果、AF-ONスイッチに瞳検知フォーカスを割り振って、必要と感じた時に親指で押して使うくらいで、今回も久々にそうやって使ってみた・・と。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/4.5 1/640s 35mm

まだ、紅葉には早かったね。
前日に比べたら涼しくなったとは言えまだまだ暖かいので、色付いた木を探すのが大変なくらい、少なかった。
 
でも、秋らしい物も目に入る。
例えばこんな、苔が一面に生えている箇所に傘を開いた茸も・・・

EOS R5 RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO200 f/5.6 1/400s 187mm

とにかく雪吊り作業の現場を探して霞ヶ池へ行ってみると、ラッキー!
ちょうど唐崎松の雪吊り作業が進んでいる状況だった。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/5.6 1/1250s 20mm

この日の天気予報では曇り&雨であったが、運良く日差しもあってのこの1枚。
 
揃いの法被を着た庭師達の作業が格好良過ぎで、ワイドで池の中から見上げて撮影したい衝動に駆られてしまう。

EOS R5 RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO200 f/5.6 1/800s 200mm

70−200を持ってきて良かった、と思えたこのカット。
運良く撮影できたら、と重くても持ってきたのが報われた一瞬でもあった。
 
これから始まるだろう冬をイメージできるよう、ちょっとアンダーっぽく調整してみたけど、もうちょっとハイキーに振っても良かったかも。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO500 f/6.3 1/250s 18mm

兼六園は廻遊式と言われる庭園で、建物の中から座して見ず歩いて楽しむために御亭や茶屋を点在させ、四季折々の美しさを様々な角度から楽しめる工夫がある。
 
そしてこんな私庭を作ってしまったのは、加賀藩前田家の五代藩主前田綱紀。
さすがは百万石と言われる準御家門だと思わせる規模だが、この名庭を太政官布告に基づいて公園として認可したのは明治7年で、現在は国の特別名勝に指定されているのだとか。
 
インバウンド客が多すぎて閉口するけど、日本らしい庭園に人気があるのは当然のこと。そして京都に比べたら確実に人が少ないので、ツーリストから見ても楽に楽しめる観光地として人気があるのは当然なのだろう。

EOS R5 RF70-200mm F2.8L IS USM
ISO200 f/5.6 1/320s 177mm

桂坂口から出て向かうのは金沢城公園。
明治政府によって陸軍省の財産とされ歩兵第七連隊が置かれていた場所で、それ故兼六園および金沢城公園の周りには、陸軍関係の建物(神社とか)が多い。
 
城のシンボルになる天守閣は落雷で焼失し、徴用によって整理され設置された兵舎からの火災でその他多くの建物も焼失しているらしい。そして戦後は金沢大学のキャンパスとなっていたが平成7年に大学が移出し、石川県が国から取得して公園として整備したと聞くが、想像以上に綺麗になっていた。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/6.5 1/800s 27mm

朝から歩きっぱなしで疲れたのでどこかで休みたいと思っていたが、兼六園の茶屋は満員や予約のみの対応・・と行き場が無かったが、写真の右側にちょっと写っている鶴の丸休憩館にカフェがあった。
 
そりゃ行くよね?
トイレにも行きたいしね。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO400 f/5.6 1/320s 15mm

運良く席があったので入ってみたら、橋爪門続櫓が見えるこんなカフェだった。
兼六園から流れてきた観光客が、ちょっと休憩、もしくは軽く食事ってニーズは確かに有りそうだし、そもそも借景が美しすぎる。
 
店名は「豆皿茶屋」で、菓子や寿司などのセットがあった。
ならば・・とオーダーしたのは、本日のお寿し1品と加賀棒茶のセット。 
押し寿司、好きなんです。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO2500 f/5.6 1/250s 32mm

水分と燃料補給で元気を取り戻し、予定通り武家屋敷が見られる「長町武家屋敷跡」方向へ向かう。
 
プラプラと歩いていると惹かれる建物を発見!

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/4 1/400s 19mm

こういう旅行先にしか無いような景色を切り取れるから、街撮は楽しいのだ。
 
店舗らしい設えがあってちょっと興味を持ったけど、ここで入って時間を潰すと光が弱くなりそうだったので、そのまま通過。
 
大野庄用水まで出ると、こんな建物が出てきた。
「門被り松」って日本的な様式だよね。
長屋門が無い家だから格式としては低く、上級武士の家ではないのだろう。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/4 1/320s 27mm

土塀と長屋門が続くこの辺りは江戸時代に作られたままの町割りだけど、現在も住居として使われているので、町並みを楽しむだけにする。
ただ、一目見てその手入れの大変さがわかるほど綺麗な屋敷が多くて、ビックリ。
 
勿論、住居として使っているだけではなく邸内を公開している所もあったり、店舗として改装している所もあったけど、インバウンド客が並んでいたので入らず。
しかも、空の色がどんどん悪くなってきているので、先を急ぐ事に。
 
それにしても、観光客はほぼ全員がインバウンド。
それも欧米系な年配者が多いのが象徴的で、ジャパンツアーな客がガイドに案内されて来たのだろうと邪推する。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO250 f/4 1/250s 26mm

こんな界隈を抜けると、金沢の繁華街として有名な「香林坊」辺りに出る。
 
ここにもある用水路は「鞍月用水」で、城を囲む堀としての役割もあったとか。
そんな用水路の上に橋をかけ、建物に入るスタイルはこの辺りの特徴的な風景だと思って1枚撮ったけど、なんとなくお洒落な感じが現代的で面白かった。

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO250 f/4 1/250s 15mm

既に余裕で1万歩を超える距離を歩いていたから、脊柱管狭窄を持つ自分としてはそろそろ歩くのが難しくなった。
なので、国の登録有形文化財になっていて、今年100年を迎えた「犀川大橋」を終点と定める。(金沢駅行きのバス停もある)
  
「香林坊」の裏をつらつら歩いて辿り着いた「犀川大橋」は、夕景が美しいとガイドにはあったけど生憎の曇り空で、夕焼けは期待できそうになかった。
 
トラスタイプの鉄橋(ワーレントラス形式)なので、かえってこの薄暗い空をバックに撮った方が面白いかな・・と思って撮ってみたら、雲が想像以上に表情豊かで意図したよりも恐い感じに・・・

EOS R5 RF15-35mm F2.8L IS USM
ISO200 f/4 1/1600s 17mm

レトロ調の照明が面白いとの事だが、もう歩きたくないので散歩は終了。
 
インバウンド客だらけで歩きにくいとか、外国人向け土産物屋ばかりが並ぶ・・・とかでは無い古都は、観光地としての魅力が強い。
そんな古都らしい風情を残すのは住民も行政も相当に苦労があると思うけど、それが功を奏していると感じさせられ、何故もっと早く来なかったのだろうと考えた。
 
大きいのは北陸新幹線の開通か。
上越新幹線が東京発になってもまだ4時間弱を必要とする地だったので、半日潰してまで行くのか?って横浜在住者としては考えていたワケだ。
 
正月の地震に加えて豪雨で被災した能登への間接的応援を兼ねての金沢観光だったけど、来てみれば古都の風情が楽しめる上に、水が美味しく酒も米も質が高くて食事が魅力的な事にも驚かされっぱなしだった。
 
次回は、2022年にオープンしたフォトジェニックな図書館を紹介する予定。

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