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茅の輪くぐりと京都散歩
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ISO400 f/5.6 1/500s 15mm
「茅の輪くぐりって京都にしかないって知ってはる?」
「そうなん?」
「なんや、他の地域じゃやっとらんって」
「半年分の穢れを祓ってまた新たに半年、なんやけどね」
京都でバスに乗っていたら、前の女性客2人がそんな事を話していた。
いやいや、京都限定ではありませんよ?・・と口を挟みそうになったけど、好きに語り合えばよろしい。
神道儀式であるので、横浜の神社も普通に「夏越しの祓」を実施するけど、京都は1700を優に超える神社がある上に生活の中に儀式が入り込んでいるから、信仰に疎いと想像できる他県ではやってない・・といった誤解も生まれるんじゃないかと邪推する。
7年ほど勤務していた事務所の裏に神社があって、それなりに付き合いがあった事から「茅の輪くぐり」の詳細を知った自分としては、生活の中に組み込まれた地域とはかなり温度差があると感じるので、京都以外では「茅の輪くぐり」の事を知らない人が多い傾向があるのかも知れない。
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ISO2000 f/8 1/640s 28mm
今回の1泊旅行では、天神様へ入って「茅の輪くぐり」をやってこようと思っていて、朝から「北野天満宮」へ訪れていた。
菅原道真公を御祭神として祀っていて、入試合格・学業成就・文化芸能・災難厄除祈願として信仰されているってのもあるけど、案の定修学旅行で訪れている子供達が多くて、写真になりにくい。
だから6月いっぱいの公開となっている青もみじの公開を、先に楽しむ事にした。
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ISO3200 f/8 1/1400s 67mm
これで涼しい風が吹いていたら最高なんだけど、既に汗だくになるほどの蒸し暑さがあって、午前中でこれなら午後は死ぬかも・・と思ったりもする。
それでも木陰のベンチで休んだりしつつ修学旅行生が退くのを待っていると、どんどん退けていく様子が見えた。
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ISO400 f/9 1/640s 17mm
この集団が移動したら茅の輪を撮ろうと、待つこと10分。
引率の先生が急かしたのか、学生達は足早に去っていった。
学生達が消えると静寂が訪れる。
ウィークデイの午前中、しかも梅雨入りしているタイミングでは、観光客の姿はまばらだった。
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ISO400 f/7.1 1/1250s 32mm
本来なら6月30日にくぐるべき「茅の輪くぐり」だが、そこは略式で。
作法に従って3回ほどくぐって、目的を無事果たした。
今更どこかの学校へ入るワケでは無いけど、半年分の穢れが落ちてくれるならありがたいし、厄除けになるなら尚ありがたい。
神頼みで生きているワケでは無いけど、八百万の神がおわす国で生きているのだから、こうして旅先で神社に訪れて日々の無病息災を感謝する時間は持ちたい、といつも思っていたりする。
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ISO400 f/7.1 1/1600s 24mm
本来の参道はこうなっていたが、最初に来た時は学生があまりに多かったので脇道から本殿前へ入った。
なのでこの1枚は帰りの時に撮ったもの。
空と雲が面白かったので、コントラストが出るようにモノクロにしたら、好みのバランスで仕上がった。
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ISO3200 f/8 1/250s 24mm
宿のある烏丸御池から三条に向かう途中で、本能寺がある寺町専門店会を抜けたが、この通りは古本屋が多くてちょっと面白い。
こんな風景は京都ならではで、二階の右側にある「虫籠窓」は横浜では殆ど見る事がない造りだ。
この通りを抜けて「かに道楽」がある交差点を左折するとそこは「三条名店街」。
三条の橋の近くには、昔ながらの店構えをそのままに営業している店が数軒あったりする。
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ISO3200 f/8 1/640s 33mm
タワシ専門店の軒にぶら下がったこのブラシは「煙管ブラシ」と言う物で、鴨居の桟の上などを掃除する時に使うのだとか。
200年以上営業を続けているこの店は、創業時から看板を出していない。店構えも簡素なので建物としての面白さは無かったが、撮りたかったのは隣の菓子店だった。
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ISO1000 f/8 1/640s 45mm
「水引のれん」がかかり、軒に「軒行燈」と「鍾馗様」があるこの店「船はしや」は、明治38年に三条大橋のたもとに店を構えたと、HPにある。
名物「五色豆」を売る店として有名だがあられやおかき等もあり、「ぶぶあられ」を買ってみようか・・と毎度悩んだりする。(美味しそうだけど、殆ど自宅で茶漬けを食べないから)
当然だけど豆菓子の種類は豊富で、自分としては200グラムで550円とあったバターピーナッツが気になっていた。(落花生は千葉産特上豆使用とある)
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ISO1600 f/8 1/500s 39mm
えぇ、朝一で天満宮まで行って帰ってきて、時間的に昼なので腹が減ったのです。
なので、こんな菓子をボリボリと食べたいって思っちゃったワケで。
でも今回の最後の目的は、京阪の三条駅そばにある「篠田屋」で「皿盛」という不思議なカツカレーを食べること。ただ、かかっているのはカレーじゃなくて、カレーうどんにかけるカレー餡なのだとか。(ちなみに普通のカツカレーもある)
蕎麦屋のカレーって事?
だったらかなり気になるけど・・・
と思ったらもう我慢ができなかった。
で、三条大橋を渡って店へ向かうと、12時前なのに待っている客がいる。
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ISO400 f/7.1 1/640s 24mm
実はこの店、相席お断りな店だった。
1人客でも4人掛けテーブルに座って食べるので、狭い店はあっという間に満席。
だけど、アテンドしてくれる人は1人なので、相席OKでやったら配膳が間に合わないのかも知れない。
で・・・
そんなに待たずに番がまわってくる。
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ISO3200 f/7.1 1/125s
あ〜〜〜
なるほど。
これ、カレー風味の出汁が効いたあんかけご飯ですな。
あんかけが冷めにくいので、丼じゃなくて皿に盛った事からその名がついたというこの料理、入店する人の半数が頼んでいるくらいの人気だった。
こんな出会いがあるから、旅先の食は楽しいのだろうね。