夜景撮影は楽しい
いつもカメラを持っていて、仕事終わりで夜景を撮るようになって、手持ちでスローシャッターを切る練習としても有効だと考えていて、気づいたら習慣になっていた。
実際、ステージ写真のためには有効だったけど、それよりも夜景の魅力に魅了された事が大きくて、今でもカメラを持って夜の街を歩いていたりする。
夜景は昼間には見えない世界がある。
イルミネーションやショップのデコレーションされたウィンドウが醸す感触や、LEDによる強い色光が見せる人工的な景色の残酷さは、デジタル一眼カメラによって更に誇張されて写真となる。
それをふらっと歩いている時に見つけて感じたままに撮るのが面白く、だから撮影は基本手持ちになって、今時のカメラの高機能によって手ブレもしない画像が記録できるのは、ありがたい。
EOS R5にRF15-35mm F2.8Lをつけて撮ったこの写真、1/20秒のシャッター速度でもカッチリと止まっているのは、広角ズームならではの優位性に加えてカメラとレンズの両方に手ブレ補正装置があるが故だろう。
良い時代になったものだと思うけど、コンパクトデジタルカメラやスマートフォンのカメラではかなり前から実現していた技術だから、手ブレを生かした撮影がジャンル化するのも時間の問題かも知れない。
ヨルノヨの会場で撮った時に気づいたのは、多くの人がスマートフォンで動画を撮っていること。
動画も手ブレせずに撮れるスマートフォンが増えているだけじゃなく、SNS等でも動画でアップする人が増えたって事もあるのだろう。
テレビ局の仕事でビデオカメラを扱っていた事もある自分としては、動画の魅力と表現の自由度の大きさはわかっていても、静止画が伝える撮影者の感情の重さの方に魅力を感じている。
何故、その瞬間だったのか?
何故、その構図だったのか?
そんな簡単な疑問を感じるだけで、見えるものが変わる事を知っているからだ。
こういったLEDが見せる独特な色の強さは、非日常な世界を構築するには便利なのだろう。
ただ、それにしても乱暴で、淡い変化などには鈍感にさせられていく恐怖も同時に感じてしまう。
RF15-35mm F2.8L IS USMというレンズは、EF16-35mm F2.8L IS USMより格段に進歩した。
開放(f/2.8)で1/8秒というスローシャッター、手持ち撮影ながら手ブレは無く周辺までカチッと結像している。
ただ、筐体が大きすぎるので目立つのが悩みのタネで、街中スナップで使う時には気を遣う必要を感じる事もあったりする。
こんな撮影をする時のコツは、「マニュアル露光」で行うことに尽きる。
LEDの強い色光は露出アンダーでも飽和しやすく、色の当たっている部分だけ塗り絵の様な画像になってしまう可能性があるので、マニュアルで露出を決定して撮るほうが歩留まりが良いと言えるだろう。
赤い照明については、特に難しい。
赤はフィルム時代からその再現性に問題があって、赤い照明下での階調を確保するのは至難の業だった。
しかも周波数の問題からピント位置が通常のピント位置とは違ってしまうため、強い赤い光の部分にきっちりとピントを合わせるのには、赤色のセンサーだけを出力したファインダーで見ないとかなり難しい。(古いレンズには赤外線フィルム用に専用のインジケーターが刻まれていた)
この写真も、周りとの兼ね合いで赤い部分が飽和してしまう事を理解して撮っているが、そこの部分だけみると見事に飽和していて、露光の難しさを久しぶりに味わった1枚になってしまった。
それにしても、夜景撮影は楽しい。
煌びやかな街の明かりも、闇の中に浮かび上がる光の世界も、画像にしていく段階での演出の面白さも、全てが魅力的で楽しい。
だから今日も、カメラを持って、
夜の街に出かけてしまうのをやめられないでいる。
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