RF28mm F2.8 STMで横浜中華街を撮る
梅雨明けしたとの事で、所用もあって中華街方向へ出かける。
ならばR5&RF28mmで中華街を撮ってみようと考えた。
20時を回っているからか観光客が少なめで、夏の夜の空気らしく少し湿度が見えるようなコントラストが上手く出ている。
120グラムと言われる軽く薄いパンケーキレンズは、大口径・高精度プラスチックモールド非球面レンズをセンサー側に配置して収差を効率良く押さえ込んだとの触れ込みだが、欠点が出やすいこんな夜の撮影でも良好な光学性能がある事が手応えとして感じられる。
関帝廟は商売の神として関羽が祀られていて、閉門後も商売繁盛と繁栄を願ってお詣りする人が多くいる。ご覧の通りの派手な門と廟なのだが問題は撮影場所で、門の前を横切る道路が1本あるだけで全景を撮るには広角レンズが必要になる。(28ミリだとちょうど全景が入るサイズとなる)
そして、門と廟との輝度差が大きくカラーバランスが悪い照明のため、不思議(汚い?)な発色になりやすいのも悩みのタネだ。
RF28mmはLレンズでは無いものの色の分解がしっかりしているからこんな形に仕上げられたけど、非球面レンズがプラスチックモールドであってもこの性能なら、安価な高性能レンズがドンドン出てきてもおかしくない。
実際のところ安価な非Lレンズはレンズ光学補正ありきで設計されていて、結果充分な能力が発揮されているのだから、デジタルカメラの世界は面白い。
RF28mmにはフォーカスのオート・マニュアル切り替えスイッチが付いている。
非Lレンズとして当初リリースされたレンズの中には、コントロールリングとフォーカスリングを切り替えて使う兼用リングにしてコストダウンを図った安価なレンズがある。
私も使用しているRF16mmはまさにそんなレンズの一つで、マニュアルフォーカスで使う場合はカメラ側のモードを切り替える必要があった。そのためカメラのマイメニューの中にフォーカスモードを入れるのはマストだったが、これは相当に不評だったのだろう。非Lレンズはそんな形で出すと思い込んでいて、RF24-50mm F4.5-6.3 IS STMにマニュアルフォーカスへの切り替えスイッチが付いていて、逆にアレ?って思ったのだ。
RF28mmは筐体がかなり短いので期待していなかったけど、フォーカス・コントロールリングを激薄に仕上げてもちゃんと切り替えスイッチが付いていて驚いたのだけど、それ故フォーカスのオート・マニュアル切り替えスイッチが大事だとキヤノンが理解したのだと思う。
こういったシーン、特に暗い中で望んだ場所にピントを合わせる時は、マニュアルで撮った方が早いし確実だ。
この写真の場合、自動販売機の購入ランプが点灯している事が大事だったので、そのタイミングとフォーカスを合わせるのにオートだと狙い通りにいきにくい。
だからマニュアルにしてピントを決め、置きピン状態にしておいてタイミングを取った方が確実になる。
だけど、レンズに切り替えスイッチが無い場合、カメラのマイメニューを呼び出してモードを切り替えてコントロールリングをフォーカスリングにして目指す被写体に向けてからピント合わせを・・とやるしかなく、当然の如く間に合わないのだ。
安くて性能も良い非Lレンズなのに撮りたいものを逃がす様なコストダウンは許しがたいと思っていたら、R7が出たあたりからボディーにオート・マニュアルフォーカス切り替えスイッチがつくようになったワケで、ユーザーサイドに立つ事でシェアがいつもオートフォーカスで撮っているワケじゃ無い事を学んだらしい。
勿論、オートフォーカスが悪いわけじゃなく、この写真の様に被写体が遠ざかるなど移動している時に追従してくれる機能はありがたいのだ。
それにしても中華街には、やっぱりコロナ禍の影響がまだまだ色濃く残っている。
急激に増えた観光客に対応すべく安価な食べ歩き商品を多く売るために、老舗と言われる飲食店でさえ、入口を改造して食べ歩き用食品を販売する体制を採りだした。
このままいくと、横浜中華街の飲食は全部食べ歩きにシフトして、道路には食べ終わった食器類が捨てられて不衛生で汚い街並みに変化するように感じてしまう。
とは言え、後を継がずに店舗を貸し出したり売り払ってしまう飲食店の後継者が多いと聞くから、既に中華街はアミューズメントパークの様にアトラクティブな景観以外は魅力が無くなっているのかも知れないね。
それでも、中華街で生きている人達は多くいる。
そこが大事なホームだから時代の流れに沿って必死に生きているだけで、今日のメシの事しか考えられないほど切羽詰まっている状況もやっぱりある。
だから、この街に棲む人達の空気を撮りたくて切り取った5枚だけど、そんなニーズに想像以上に28ミリという焦点距離は合ったな、と思ったのは収穫だった。