murmuring note no.9
20世紀の社会主義は、既存の表現の様式である「再現」に反動的に回帰しために、敗北を余儀なくされたといっても過言ではない。
というより、社会主義国の指導者は、自己の権力を永久化することと引き換えに、社会主義への裏切りである敗北主義に手を染めたのだ。
そうでなくとも自由主義と社会主義の対決の構図では、原理的選択肢は伝統かモダンだった。東側は、モダンを先行して切り開いた西側に対抗するのに、伝統による正当化しか残されていなかったのである。
社会主義のこの「再現」を未来に投影しても、結果は同じである。それは徹底したコンフォーミズムに帰着するからだ。それゆえ第二次大戦後の冷戦構造においては、予め勝負がついていた。社会主義の輝ける未来は、その未来を占う方式の致命的な誤謬で灰塵に帰したのである。しかし、両体制の人為的対立が半世紀の間維持されるために、どれだけの人間の犠牲が必要だったのだろう。
だが現在、社会主義に勝利した自由主義の「現前」(物質主義)を世界に行使したとしても、歴史を覆すことはできない。
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