富川国際漫画フェスティバル

今月21日に韓国のプチョン市で開催される韓国政府主催の国際マンガ祭で2時間の講演をすることになりました。依頼されたテーマは「日本マンガ界と電子出版の現状」と「韓国マンガが日本で成功するためには何が必要か?」の2点です。前者は、どのみち私のYouTubeでやろうと考えていました。

後者のテーマは、日本マンガとマンガ市場の特殊性を説明する必要があります。戦後、日本社会はアメリカのサブカルチャーを何でも吸収しましたが、唯一、日本人が受け付けなかったのがアメリカのコミックだと言われています。漫画に関して、日本には「漫画ナショナリズム」とも言うべき厄介な壁があります。

WEB漫画は、韓国は日本より約10年先行しており、一日の長がありますが、韓国では大人気のネイバーのウェブトゥーンが、数年前スマホアプリとして日本にも進出しましたが、全く読者がつかず、大失敗しました。しかしこれは韓国漫画だけの話ではなく、アメコミでもフランスのBDでも同じことです。

ネイバーは、日本の子会社であるNHN(LINEの会社)からLINEマンガやcomicoを開始し、日本人作家と日本人編集者を使ったこちらは大成功しました。韓国マンガは、特に2000年代に入ってからのレベルの高さには眼を見張るものがあります。技術的には日本人作家よりも上手な人が増えています。

しかし、日本には日本人自身はっきり自覚していない、特殊な「漫画ナショナリズム」が存在するので、外国マンガが日本市場に食い込むのは容易なことではないです。しかし、K-POPや韓流ドラマなどは日本人にも受け入れられているので、漫画も不可能ではないはずです。

そこで私が韓国漫画界に提案したいことは、日本の漫画市場を直接攻めるのは後回しにし、欧米で日本より先に大ヒット漫画を出すことに集中した方が良いと言うことです。なぜなら、日本人の欧米に対するコンプレックスは相当なもので、まず欧米で流行れば、日本人が受け入れる可能性が高くなるからです。

特に「萌え」の要素を取り入れた韓国漫画が欧米でヒットすれば、間違いなく日本でも話題になると思います。だいたいこういう話をして来ようかと思ってます。講演会の模様は、ネットにも上がるそうです。当然、私は日本語で話をします。

(2017年7月5日 竹熊健太郎)

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