考察<戦国送球>
概要・あらすじ
かつてハンドボールの強豪校として知られていた関ケ原高校は、野球やサッカーの台頭によってハンドボール部の部員数が激減してしまった。その結果、ハンドボール部は廃部が検討されるほどの、弱小部門となり果ててしまった。そんな中、真田を名乗る戦国武将が現代にタイムスリップしてきたことをきっかけに、本編物語は始まる。
世界観に関する考察
#1 ゾロアスター教的二元論に似た世界観:関ケ原高校と安土桃山高校というつの軍団に分かれた戦いの物語であることが、ゾロアスター教の善悪対立の構図に相似している。
#2 オカルト的世界観:「タイムスリップしてきた武将が危機に瀕した部活を救う」という伝説が存在する。これは魔術的法則が世界観の中に存在することの根拠となる。
#3 浦島太郎的世界観:過去の人物にとって現代世界の様相は「異世界」である。浦島太郎は異世界での生活を経て自分の世界へと帰還する。またその異世界でヒロイン・竹林未来は乙姫と符合する。
#4 三機能仮説に則った世界観:登場人物は「①世界観を作り出す人物、②戦士(戦闘をつかさどる人物)、③生産者(前者たちを支える人物)」という三つの階層に分けることができる。
登場人物に関する考察
1.登場人物と世界観に関する考察(#1、#3、#4を参考)
戦国送球の世界観を創造するのは、ハンドボール部のマネージャーであり竹林未来と中井杏里という2人の女性である。彼女らは「戦国武将がタイムスリップしてきた」という事実を一番早く知っていて、彼らが一番初めに出会った女性であるからである。そしてこの2人の機能を統合した存在が浪木麗奈である。
物語世界を創造する女神たち
竹林未来:「真田勝利(浦島太郎のポジション)をハンドボール部に入部させる」ことによって物語を創造した。「弱り切っていた関ケ原高校のハンドボール部に光を与えたこと」から光の女神。
中井杏里:「石田光矢(もう一人の浦島太郎、真田勝利のシャドウ)をハンドボール部に入部させる」ことで物語を創造した。過去につらい経験をし「ハンドボール選手としての夢をあきらめざる得なかった」という背景を持つ影の女神。つまり、もう一人の竹林未来であり彼女の影である。
浪木麗奈:上記2人の光と影を統合した存在。つまり「母」のように登場人物に光を与え送り出す女神である。その一方で「自身は夢をあきらめざる得なかった」という影を内包する女神でもある。
2.登場人物と背番号に関する考察(#2を参考)