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ローストチキンレッグをグレービーソースで

連日の寒波により街路樹の銀杏の木はその葉を落とし、歩道を黄色く埋め尽くした。風に舞ってくるくると回転しながら落下する銀杏の葉を見て、俺はため息をついた。

今年もこの時期がやってきた。毎年この時期になると、自分が独り身であることが情けなくなる。

分けても最近は天皇誕生日だった23日の祝日がなくなったので、有難みも薄れてきている。

去年はどうやってこの嫌な1日を乗り切ったのか全く覚えていないが、多分記憶に残らないほど、嫌な思いをしたのだろう。

人間は自分に都合の悪い記憶ほど、すぐに忘れる。

今日はやたらと有給取得者や早退者が多かった。考えたくないことだが、多分そういうことなんだろう。

おめでたい連中だ。

俺はというと、こんな憂鬱な日に仕事なんかできなかったので、山積みになった案件をほったらかして、7:00前に帰宅した。

帰りにスーパーで買い物をしたら、生の骨付きの鶏ももが投げ売りされていたので2本買った。

シャンメリーもかごに放り込んだ。

帰り道、コンビニの店頭でこの寒空の下
「ケーキいかがですかぁ。予約なしで購入できまぁす。」
と声を張り上げている女性を発見し、いたたまれなくなって¥3100もするケーキを買った。

帰宅し、寮のキッチンで鶏ももを塩コショウしてフライパンで焼いてみた。鶏肉から染み出た油でグレービーソースも作ってみたが、小麦粉がダマになってあんまり見た目は良くならなかった。

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形がいびつなので完全に火が通らなかったが、どうでもよくなった。

シャンメリーを開けるといきなり吹き出して、着ていたセーターとジーンズをビショビショにした。中身が半分くらいなくなって俺の惨めさに拍車をかけた。

ケーキは1人でワンホール食べた。甘くておいしいはずなのに、シェアする相手もいないこの状況で食べると、なぜかしょっぱい味がした。

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あらかた平らげて洗い物をせずにベッドに横になると、「もしかして俺、一生このままなのかな…」と嫌な想像をして泣きそうになった。

都会に行けば自然と恋人ができると思っていたが、横浜に来た直後に緊急事態宣言。その後も自粛自粛で俺の交友関係が大幅に広がることはなかった。

俺はこの一年何をやってたんだろうな。

疲れた…もう寝ることにする。


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