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イチボと青唐辛子のロースト

週末は雨になるという予報だったが、昨日も今日も雲一つない晴天だった。

これだけ晴れていると洗濯もはかどる。朝一でシーツと布団カバー、枕カバーを洗濯した。晴れた日にシーツを洗濯して干すと、胸につかえていたモヤモヤが霧散するような気がする。

本当は草原の広がる庭に、物干し竿か紐を張って干したいところだが、俺の部屋には猫の額ほどのベランダしかないので、我慢だ。

ベランダの目の前には草原のある公園が広がっているが、あんなところでシーツなんか干したら警察を呼ばれるだろう。いくら俺でも国家権力に盾突くことはできない。

シーツは昼前には乾いたので取り込む。残りの下着やTシャツ、タオルも洗濯して干す。

1日に2回洗濯機を回したのは横浜に来てから初めてだ。俺は7年間実家を離れて一人暮らしをしていたので、家事自体はそこまで苦手でもない。昨日着たものは翌朝必ず洗濯する。洗濯表示だってちゃんと確認する。

女性読者の皆さん、俺は良い旦那さんになりますよ(流し目)。

最高に気持ちの悪い冗談はさておき、干したてのシーツで昼寝するのは本当に気持ちが良い。3時間も寝てしまった。

目が覚めたら映画を見る。今日は「Little Forest」4部作。先週は「西の魔女が死んだ。」を見たが、ああいう山奥の暮らしは自分も過去にしていたはずなのに、女優さんがやっているというだけでなんであんなにオシャレに見えるんだろうな。

出てくる食い物が全部美味そうなので、腹が減った。見終わった後に買い物に行くことにした。近所のレストランが併設された輸入食料品店に行く。食肉コーナーに"PICANHA"と表記のある肉塊が売っていた。

ピッカーニャ…変な響きだ。

調べたら、なんとそれは牛肉の希少部位「イチボ」!こいつは牛一頭から1.5kgしか取れない希少部位である。ちなみに尻の肉だ。鶏でいうぼんじりと同じだな。

俺は料理のネタ探しにYoutubeの動画を漁っていたときにその存在を知ったが、肉屋にしか置いていないと思って手を出そうとしなかった。

それが!寮から徒歩5分の少しくたびれたブラジル輸入食料品店(レストラン併設)にこれでもかという程置いてあったのだ!牛6頭分くらいのイチボはあったと思う。

俺は衝動に任せて肉を引っ掴み、レジに持っていった。高い肉の衝動買いは給料日直後にしかできない。これは今の俺にだけに許された贅沢なのだ!

自宅に帰って、半分に切る。半分は今夜の晩御飯のためにローストすることにした。残りは冷蔵庫に入れて保管してステーキにでもして頂こう。幸いソース用の赤ワインとコンソメはある。

前面に塩コショウをしたら、各面を2分ずつくらい強火で熱する。今回は肉自体が分厚いので、表面が焦げないよう注意しながら焼く。

思いついて青唐辛子も入れる。こいつはそのまま加熱すると爆発するので、予め切れ込みを入れる。

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どうだ、この暴力的な見た目。表面にしっかりと焼目が付いたら耐熱袋に入れて沸騰したお湯で湯煎する。大体10分くらい。その後火を止めて45分は放置。

本当はローストしたイチボと一緒に添える予定だった青唐辛子だが、我慢できずに先に醤油を少しだけ垂らして食べてしまった。

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ピリリとしていて美味い。しかも牛の脂を吸っていてジューシーだ。

肉を湯煎している間に姉から電話があった。どうやら彼氏に対してかなりフラストレーションが溜まっていたようだ。しばらく愚痴を聞いた。

「どうにかならない?なんかアドバイスして!」と言われたので、俺は昨日読んだ啓発本の内容に触れて姉に助言をしたら、「今一番欲しい言葉だわ!」「すンごい腑に落ちた!」と感動していた。

なるほど。困っている人にする的確なアドバイスとして、自己啓発本の内容ほど優れたものは他にない。実際にnoteでそういう記事を上げている人も、自分と同じ悩みで困っている誰かを助けたいのかもしれない。

俺は昨日の記事でそういう人を「脂っこい」だのと散々書いてしまったが、これは…認識を改める必要があるな。物事をある角度からだけ見て決めつけてしまうのは、俺の悪い癖だ。反省せねば。

肉をお湯から下ろしたら粗熱をとる。その間に赤ワインソースを仕込む。牛肉を焼いたフライパンにバター10g、コンソメキューブ1つ、赤ワイン50cc、刻みニンニクと刻みしょうがを小匙1、はちみつを小匙1入れて煮詰める。

煮詰まってトロリとしてきたら、切った肉に絡めて皿に盛り付けて完成だ。

米を炊いたら別皿に盛り付けて「ライス」にする。ステーキやローストビーフに添えるご飯はいつだって皿に盛り付けて「ライス」にしなければいけない。これは俺の持論だ。

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イチボのロースト。青唐辛子も添えたら彩りが良くなったと思う。一時間前の俺を恨んだ。

赤身の肉だが、信じられないほど柔らかかった。火の通りもミディアムレアで丁度良い。これは大成功だな。

しかしながら、憧れの食材を偶然発見するとは…俺も相当ツイてるな。


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