魅惑の夜食(おにぎり・ウィンナー・卵焼き)
目が覚めた。時刻は深夜0:00少し前。
今日は家に帰るなりベッドに倒れこんで、そのまま眠ってしまった。
上司の圧力、部下の反抗、無理な計画、急な計画変更、仕事のミス、インシデント。挙げていけばキリがないくらい今週は大変なことがたくさんあった。疲れてすぐに眠ってしまうのも無理はない。
優秀なオペレータが2人も辞めてしまったため、人手も仕事の処理能力もガタ落ちした俺の担当部署は、てんやわんやだった。
俺はというと部下に頭を下げ、上司に頭を下げ、オペレータの仕事を俺が肩代わりして、家に帰れば酒に溺れて、生きた心地がしなかった。今週に入ってから左の瞼の痙攣が止まらない。多分ストレスのせいだと思う。
昨日なんか酔った勢いで部下に対する愚痴を散々書きなぐって記事にしたが、あまりにもあまりな内容だったし、記事を読んだお父さんから「気持ちはわかるがやりすぎ。」と注意されたので消した。
いい年して何をやっているんだ。俺は。
今後のことを考えると気が重くなる。こんなことは横浜に来てから初めてだ。それだけ辞めた2人に頼りきりだったということか。
俺はなんでもできる気でいたが、それは部下が優秀だったからだ。本当の俺は何もできない。
だが暗い気持ちに飲まれてはいけない。
仕事ができないくらいなんだ!もともと俺は異動の前から仕事ができないじゃないか。今に始まったことじゃない。
それに仕事でミスしたとしても、計画に遅れが出たとしても、別にすぐ死ぬわけじゃない。この世の大抵のことは、死に直結しなければ、大したことないのだ。
何かあったら謝って、それから次のことを考えれば良い。
そう考えると気分がスッキリしてきた。晩飯を食っていなかったので、腹も減っていた。
辛いときは美味いものを作って食うに限る。
俺は深夜のコンビニに行き、調理済みの焼き鮭のパックとアルトバイエルン、卵を引っ掴んで買い物かごに放り込んだ。
帰宅したら炊飯器に研いだ米と押し麦を入れて炊飯ボタンを押す。米は実家から送られてきた「つや姫」だ。その後寮の食堂のレンジで焼き鮭を温める。
最近食堂のおじさんに、「君がレンジを使った後は水蒸気でレンジ内がビショビショになるから、使った後はちゃんと拭いてくれ。」と注意されたので、使った後は念入りに拭く。でも「ビショビショ」はいくらなんでも大げさだろうと俺は思う。
卵は3つ割って砂糖とマヨネーズを入れて混ぜる。アルトバイエルンには切込みを入れておく。
寮の食堂に油を引いたフライパンを持っていき、卵を焼く。卵を焼いた後は同じフライパンでウィンナーを転がしながら焼く。
そうしているうちにご飯が炊けたので、温めておいた焼き鮭を具に、おにぎりを握る。炊き立てのご飯はラップ越しでも恐ろしく熱いので、予め手を水で濡らしてから握る。
ラップで成形したら、手に塩をまぶして、素手で握って海苔を巻く。
卵焼きとウィンナーを載せた皿におにぎりも載せて、インスタントのしじみスープを添えたら、夜食の完成だ。
この魅惑のコラボレーション。美しいではないか。見た目だけで食欲を刺激する。
おにぎりを1つ掴んでほおばると、焼き鮭の優しい味が口の中に広がって、幸せな気持ちになった。
この状態でウィンナーも口に運ぶ。ガツンとした旨味が俺の舌をダイレクトに刺激する。俺はウィンナーが大好きだ。
卵焼きは甘く仕上げたが、おにぎりとウィンナーとは対をなすまろやかな味がとてもよかった。
あっという間に平らげて、スープを飲み干すと、それまで悩んでたことがとてもちっぽけなことのような気がしてきた。
腹が減って、飯が食えるんだから、俺はまだ全然大丈夫だ。
それに今まで本当によく頑張ったと思う。これまでだって大変なことをたくさん乗り越えてきたんだから、今回もきっと大丈夫だ。
俺は自分が思ってるより、弱い人間じゃない。来週からも頑張ろう。
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