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湯煎と炊飯器で作るローストビーフ
友人たちが俺の誕生会を開いてくれた。
持ち寄りパーティとして、1人1品ずつ料理を作ってくることになり、俺は得意料理のローストビーフを皆に振る舞うことにした。
参加者は合計7人と結構人数がいるので、牛もも肉1ポンドのブロック肉を2つ購入し、それぞれ違う作り方で作ることにした。
まずは2つのブロック肉を塩コショウをして各面強火で1分くらいずつ焼く。
その後2つとも耐熱袋に入れて、ブロック肉の1つは耐熱皿に乗せて炊飯器に入れ、ケトルで沸かしたお湯を注ぎ、保温ボタンを押して15分待つ。
もう1つは鍋で沸騰させたお湯に耐熱皿にブロック肉を乗せて浸し、火をかけて沸騰させたまま3分、その後火を止めて15分湯煎する。
それぞれ15分が経過したら、耐熱袋からブロック肉を取り出してタッパーに移し、粗熱をとる。肉から生じた肉汁を使い、粗熱を取っている間にソースを作る。
フライパンにバターを引いたら、弱火で加熱し、湯煎の時に出た肉汁、にんにくとしょうが少々、醤油・酒・みりんを等量入れて加熱。これだけだとしょっぱいので、味を見ながらはちみつか砂糖もお好みで入れる。ソースも肉と一緒に粗熱をとったら、冷蔵庫に入れて半日くらい休ませる。
冷やすのにはちゃんと訳がある。熱々のままローストビーフを切り分けてしまうと、レアの部分から血が染み出し、スプラッター殺人事件の現場みたいになってしまうので、かならず冷やして、血を肉の内部に凝固させる必要があるのだ。
あと、今回は持ち寄りパーティなので、会場まで持ち運んでいる間に真夏の暑さで肉が悪くなってしまう可能性もある。そのため、肉は予め冷やしておいて、保冷用アルミバッグに入れて、保冷剤を入れて運ぶ必要があるのだ。
会場である近所のスナックに到着し、ママにローストビーフを切り分けてもらった。ローストビーフは断面を見るまで出来がわからないので、結構この瞬間はドキドキだ。結果、湯煎で作ったものも、炊飯器のも断面がきれいな桃色になっており、見事なミディアムレアとなっていた。
スナックの近くにあるコンビニでカット野菜を購入していたため、皿に野菜を盛り付けて、その上にローストビーフを並べる。すごく良い見栄えだ。
他の参加者も各々の得意料理を持ち寄って次々入店してきた。ママは「ちらし寿司」と「餃子」。大分出身の友人は大分名物「琉球」。そしてその彼女は「チキン南蛮」。
料理が作れない友人達も各々ピザやケーキを手に続々とやってきた。いつの間にかテーブルは食べきれないほどの料理で埋め尽くされていた。
そして乾杯。どの料理もとても美味しくて、皆会話もそっちのけで夢中で食べた。特に餃子と琉球、チキン南蛮が美味しかったので、俺はレシピを聞いて今度自分で作ろうと思った。
ローストビーフの評判も良く、昔厨房で働いていたという友人にも「これめっちゃ美味い。」と褒められて俺は鼻が高くなった。
俺はこれまで自分で料理を作って自分で食べて、記事を書いてきたが、人に振る舞うことはあまりなかったので、今回のように褒められるのは本当に嬉しかった。
ママからはTシャツとYシャツをプレゼントとしてもらった。俺はかなりデ…大柄な体格なので、サイズが合うかどうかが心配だったらしいが、トイレで着替えてみたら丁度良いサイズだった。ママも俺もホッとした。
その後はカラオケ大会だ。この店では採点機能付きで95点以上出すとボトルが一本タダになる。そのため、歌の上手い友人が95点を目指して健闘した。
結果は94点以上を3回くらい出し、点数の1位から10位までを友人達が総ナメにするという快挙を成し遂げたものの、95点には一歩及ばなかった。
ママはその様子を見て相当ヤキモキしたが、最後まで95点以上が出なかったのでカラオケが終わってからはホッとしていた。
ひとしきり歌い終わった後は、ケーキにろうそくを指してお祝いしてもらった。火を消すとき「お願い事して。」と言われたので、「今年こそ彼女を作る!」と宣言したら、「いや、それは無理だわ。」と間髪入れずに友人に言われ、爆笑しながら火を消した。
ケーキも都心部の老舗のお店から購入したものだったらしい。イチゴのタルトとクリームパイのようなケーキだったのだが、2つともとても美味しかった。俺は甘党なので、ケーキは大好物だ。
大満足の誕生日を終えて、余ったピザをお土産に、帰途に着いた。こっちに来て良い友人に恵まれて本当に良かったと思う。と同時に、必ず恩返しをしようと思った。