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【マウント消費の経済学】1億総マウント社会 -モノからコトへ、そしてマウントへ-
はじめまして。
CotoLab. Inc.の西村謙大と申します。
先日「「マウント消費」の経済学」を拝読させていただきました。
箇条書きで私なりにまとめた要点をnoteに記したいと思います。
- はじめに -
本書は、著者が「マウント消費」を題材に「日本経済がどうしたら好転し、成長していくか」について論じている本です。
とても時流を捉えている本だと思います。
本書では「ブランド」という言葉はほとんど使用されていないのですが、ブランドってマウント消費がベースだよなって思いました。
マウント消費について
・マウント消費は人生のあらゆる段階に存在。
・誰もが心の奥底で「自分が他者よりも価値ある存在であることを実感したい」という欲求を抱えている。
・SNSの普及によってますます加速。
・現代社会特有の課題2つ「マウント中毒」「マウント疲労」。
・テクノロジーが進化しても、人間が抱える根源的な欲求は変わらない。
・最大の要因は、テクノロジーが「他者との比較」を極限まで容易にしたこと。
・見えない競争に巻き込まれている。
・SNSのアルゴリズムが巧みに刺激している。
・結果として、私たちの価値観はいつしか「他者からどう見られているか」を軸に形成され、自身の行動が「他者に見せるに値するものかどうか」を基準に選び取るようになってしまっている。
・終わりの見えない比較の連鎖になっている。
・マウントレースに終わりはないのでただ疲弊していく。
日本経済の成長の鍵になる
・需要が飽和している先進国経済では「マウント消費」の増加はある種「皮肉な福音」である。
・つまり消費価値が「モノ→コト→マウント」へ移り変わってきている。
・著者が提唱する概念「マウンティングエクスペリエンス(MX)」。
・特別な体験+他者に対する優越感。
・「自分は特別な存在である」と深く感じられる物語性や価値を織り込んだシナリオや演出を秘密に構築すること。
・重要なのは、その体験が消費者によってシェアされた際に「どのように見られるか」という視点まで考慮した上で設計されていること。
・日本はマウント先進国として世界をリードできる。
「さりげないマウント」は欧米にはない日本独自の価値観。
・「自分の価値を証明することができる体験」が現代の消費行動の中心的な原動力となっている。
・銀座のクラブな中年男性の「マウント欲求」を満たす場所。ホスピタリティ+自己肯定の場。
・一見さんお断りという希少性、選ばれた者だけが訪れる特別な場所。
・令和のマウントはさりげなさが9割。
・自慢したいけど嫌われたくない現代人。
・かつて一世を風靡した音声SNS「Clubhouse」は、特別な空間を過剰に演出しすぎたせいで、自分は特別だと強調する態度が反感を招き、急速に失速した。一方で、フランス発SNS「BeReal」は自然体を追求しすぎた結果、特別感に欠け、広範な支持を得るには至っていない。
・日本が進むべき方向は「世界最高の製品をつくること」から「世界最高のマウント体験を提供すること」。
・消費者自身がまだ気づいていない潜在的な欲求を発見し、それを顕在化させることこそがイノベーションの本質である。
・消費者の深層心理を徹底的に理解することが必要不可欠。
海外企業のマウンティングエクスペリエンス(MX)
・Apple「所有すること自体を特別な体験にするプロダクト」
・Instagram「何気ない日常を特別なものに発展させる空間」
・Tesla「環境に配慮し、革新を追求する自分を演出できる車」
・Liquid Death「環境に配慮し、他者と異なる自分を演出する水」
・Harley Davidson「自由を象徴する体験」
・Maison Margiela「再構築デニムは選ばれた者だけが知るアイテム」
日本企業のマウンティングエクスペリエンス(MX)
・Newspicks「知的な優越感を育み、自己表現するための理想的な空間」
・ホームワイン「ワインを楽しむ行為を教養を手に入れるための体験へ」
・慶應三田会「慶應卒である自分を再認識し、その特権的な体験を提供」
・SAPIX「親の教育への情熱と投資を正当化する場、子供を通じたマウンティング」
・NOA A HOTEL「物理的な所有から自己センスと価値観を表現する舞台」
・クライナーファイグリング「所有することで自分をアピールできるブランド」
欲求の革新というイノベーション
・デジタル赤字の本質は「マウント赤字」である。
・真のイノベーションとは、「人々が本当に求めているものは何か」を再定義し、その欲求を満たすことにある。つまり、イノベーションとは「技術の革新」ではなく、「欲求の革新」なのである。
・「プロダクトマーケティングフィット」の更なる先の「プロダクトマウンティングフィット」。
・文化と産業を結びつけ、伝統を未来のビジネスとして再定義する「文化起業家(カルチャープレナー)」の登場。
・人間は常に何かを求め続ける性質を持っている。
・飽くなき欲望が資本主義を駆動する原動力。
・環境に配慮した「エシカル消費」もまた「マウント消費」である。
・人類の歴史はマウントの歴史である。
・新時代に求められるのは「人間心理を深く理解し、マウント欲求を巧みに捉える力」である。
・マウントを理解し、愚かさをデザインする。
- さいごに -
弊社ですぐに活かせる学びも多くとても参考になりました。
興味ある方はぜひ一読ください。
(P.S.)
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