「こんなのあるんだ!」 — コーヒーの精製方法とワインみたいなコーヒー
(Photo by Dang Cong on Unsplash)
先週末、みなとみらいにあるハンマーヘッド横浜で開催されていたYokohama Coffee Festival に参加してきた。
40を超えるカフェやコーヒー関連の企業が出展するイベントで、参加者は入場の際に飲み比べのカップとホルダーを購入し、各ブースに足を運んでは各社自慢のコーヒーを楽しむことができる。
前にアラビカとロブスタの品種について書いたが、今回はスペシャリティコーヒーなので基本的には全てアラビカ種となる。
スペシャリティコーヒーといえば生産量最大のブラジルやコロンビアなどの中南米や、バラエティ豊かな品種を栽培するコーヒー発祥の地エチオピアを中心とするアフリカが有名であるが、今回はあまり飲んだことのない中国やインドのコーヒーを試してみた。
どちらも有名な産地に負けないクオリティで特に中国雲南のコーヒーはとてもおいしく、とても楽しいイベントだった。
そんな中で、最後に試飲したコーヒーのフレーバーが衝撃的なあまり豆を購入せずにいられなかったのでその話をしようと思うが、その前にコーヒーの精製について少し話をしたい。
コーヒーの精製とは
先日近所のカフェで家で飲むためにコーヒー豆を選んでいたところ、店員さんに声をかけていただいたのだがその際に「ナチュラルが好きですか、ウォッシュドが好きですか」という質問をされた。
ナチュラル、ウォッシュドというのはコーヒーを精製するプロセスの名前で、このほかにもいくつか種類があるがこの二つが代表的だ。
コーヒー豆は豆と言いながら、コーヒーチェリーという果実の種なのだが、収穫した果実から種を取り出す工程をコーヒーの精製と呼ぶ。
ナチュラルというのは収穫後の果実を天日干しにしてドライフルーツにしてしまい、からっからに乾いたところで砕いて豆を取り出す方法だ。乾燥する途中で果肉がついたまま発酵が進むため、フルーティな風味が強く出る一方で、天候や乾燥台の上での果実同士の重なり具合などにも左右されるため発酵の管理が難しい、という欠点がある。
ウォッシュドプロセスは収穫した果実を水に浸して発酵させ、ちょうど良いタイミングで取り出し乾燥させるプロセスになっており、均一に処理ができ、発酵のタイミングの管理もしやすいため安定したクリーンな味わいになる。
なので飲みやすさ、という点ではウォッシュドがおすすめだが、個性的な味を求めるのであればナチュラルに挑戦するのがよろしい、ということになるのだが、今回発見したコーヒーはそのどちらでもない方法で精製されたものだった。
新しい精製方法、Anaerobic
そのコーヒーに出会ったのは高円寺にお店を構える MÖWE COFFEE ROASTERS というカフェによる出店ブースで、試飲させてもらったのは Anaerobic という製法で精製された豆を使ったコーヒーだった。
Anaerobic というのはナチュラルともウォッシュドとも違った精製方法で、2014年にコスタリカの品評会で出品されたことをきっかけに最近注目されている精製方法だ。
Anaerobic (= 嫌気性) という名前の通り、空気を遮断し、その状態で活性化する微生物による発酵を促す方法になっている。
飲んですぐ感じたのが「お酒っぽい」という印象だったのだがそれもそのはず嫌気性発酵というのはワインの醸造で使われるプロセスで、酸味の中にワインのような残り香がありまさに「こんなコーヒー今まで飲んだことがない」という衝撃的な味だった。
たまらずコーヒー豆を購入し、ルンルン気分で帰路に着いた。2-3週間待って飲むのがオススメ、ということだったので、飲み頃が来るのをとても楽しみにしている。
「コーヒー、飲むけどよくわからない」という方はまずはざっくり大陸ごとの産地に注目して飲み比べてみるのがおすすめですが、その次にはぜひ精製方法に注目して飲み比べてみると自分の好きな味を発見できるかもしれません。
Anaerobic のコーヒーも機会があればぜひ試してみてください。
ではまた。